あじさい公園

6月12日(金)。3~4日前から突如腰の調子が悪くなり、昨日は荒れた天候ということもあって、一日中ベッドの上でゴロゴロダラダラと過ごした。すると更に腰が悪化。ベッドから立ち上がる時や、はたまた寝返りの際にも結構な痛みが走るようになってしまった。これでは仕事にも差支えそうなので、いつもの腰痛ストレッチを入浴前に念入りに行った。おかげで翌朝は大分痛みが和らいできたので、むしろ少し体を動かした方が良いのではと思い、TR-1でのんびりと多摩湖へ向かうことにした。出発したのは9時を回った頃。このタイミングだと余裕で昼前には戻ってこられる。

多摩湖自転車道には至る所でアジサイがこれでもかと盛大に開花していて、目を楽しませてくれた。
走るだけではもったいないと、多摩湖を一周して戻る際に、小平駅のすぐ近くにある、その名も【あじさい公園】に立ち寄ってみることにした。

坂を下って公園に入ると、左手にあるアジサイの群落は正にピークを迎えていて、見る者を飽きさせない。
デジイチを構えて真剣に撮っている人が3人ほどいたが、珍しく全員ニコンユーザー。なんだか嬉しくなった。
あじさい公園には小さな池があり、そこにはハスの花が開花していて、規模は小さいけれど変化に富んでいて実に楽しいところ。
今回はスマホで撮ったが、一度くらいはデジイチを持ち込んでみてもよさそうだ。

自転車で多摩湖へ

燦々と降り注ぐ初夏の陽光を浴びていたら、無性に体を動かしたくなった。部屋に戻り、短パンTシャツに着替えると、TR-1を引っ張り出して多摩湖へ向かった。時刻は13時を回ったところだ。

タイヤを28Cに替えたルイガノTR-1は、ずいぶんと転がり抵抗が下がったようで滑るように疾走する。NOMADと較べると明らかにスピードの乗りがいい。フレームサイズが体に対して小さいのだが、サドルポストをぎりぎりまで引っ張り出し、更にサドルを後ろへ目一杯ずらしてなんとか踏み込めるポジションを作った。

サイクリングロードは相変わらず人、人、人である。これもコロナの影響からくる健康志向の表れだろうか。
ウォーキング、ジョギングの人達の中に混ざって、自転車、それもスポーツモデルに乗っている人が非常に目立った。年齢層はそれこそ若者からシニアまでと幅が広く、走り方は飛ばすよりマイペースが殆どだ。車両別は、ロード4割、クロス6割といったところか。
東村山浄水場に差し掛かると、年季の入ったランドナーを駆る白髪のご主人とすれ違う。新しめのバイクが多い中、古くても磨き上げた車体が非常に目を引いた。叶うならばランドナーで全国津々浦々を旅してみたいものだ。

いつもの時計回りで、西へ向かって坂を上っていった。
モーテルが見えてくると徐々に傾斜がきつくなるが、体調がいいのかTR-1に慣れたのか、スピードはそれほど落ちない。こんな一瞬は単純に嬉しくなり気合も入る。

オートバイを降りることを決心し、クロスバイクのNOMADを手に入れたのが15年前。
チャリ通に切り替えての第一日目は、無事到着はしたが暫しぐったり。自宅から職場までたったの8kmなのに、自分の体力のなさに愕然。これをきっかけに山歩きの頻度もアップした。
ところがチャリ通を始めて1週間もすると、はっきり自覚できるほど楽になってきて、更に1カ月を過ぎるころになると、通勤が妙に楽しくなり、当然ながら気合や覚悟はいらなくなった。

登りの峠を越えると、今度は西武ドームへ向かって緩やかに下っていく。スピードはぐんぐん上がるが、急なカーブもあるので注意が必要だ。NOMADは35Cという太いタイヤを履いていたので、空気圧も70psiと低く、転がり抵抗は大きいが反面乗り心地は良い。一方、TR-1は28Cなので、空気圧は110psi辺りまで入れるから、ごつごつ感が強く、特にこの北側は路面が荒れているところが何カ所かあり、車体が暴れて怖いほど。

多摩湖の真ん中に架かる橋が見渡せるベンチで暫し休憩。
私が自転車を停めて寛いでいると、次々に自転車が入ってきた。ロードの若い男性2人組、ジャイアント・クロスの年配男性、そして老夫婦。お喋りが盛り上がるこのご夫婦はどう見ても70代、ご主人がトレックのロード、奥様が電動アシスト自転車というのが微笑ましい。

雲が出てきて直射を適度に遮り、湖面を抜ける風は頬を撫ぜる程度、そして適度な疲労が眠気を誘った。
たまらずベンチで横になり目を瞑ると、すぐに寝落ちしてしまった。恐らくほんの数分間の睡眠だろうが、汗が引いて、気分がシャキッとした。

「ん~~~~、気持ちいいや」

思わず口走ってしまった。
これは家にいちゃぁ感じられない二重丸の気分。来週あたりから、そろそろ山へ入るか。

若い頃・デニーズ時代 74・結婚

年を越した月末に結納を交わし、挙式も正式に5月と決まった。会場は日本武道館の隣になる九段会館である。
麻美は元々東京の出身で、親せきは全て東京方面在住だったので、当初から双方の招待客の利便性を考えて場所は東京と決めていた。仲人は私の叔父に、そして木代側の主賓は小寺さんにお願いした。
ただでさえ少ないのに、休日は披露宴の打ち合わせや新婚旅行の段取り等々で慌ただしく消えていき、挙式まではそれこそあっという間だった。

当日は忙しい中、坂下さん以下東海地区UM全員、そして田無店以来の友人となった堀之内さんにもご足労いただき、小ぢんまりではあったが、心に残る式を挙げられたと思っている。
新婚旅行の出発は、日程の調整が取れなかった為に挙式の10日後とした。行先は南国グァムのPIC(パシフィックアイランドクラブ)。人生初となる海外旅行である。この旅行に当たっては、某海外航空会社の日本支社長を務める麻美の叔父さんが全面的に引き受けてくれた。

「少しでも安く行ける方法ってありますか」
「それならビザを自分たちで取りに行ったらどお。ちょっとだけど手数料をカットできるからね」
「それいいっすね。どこで取るんですか」
「アメリカ大使館だよ」

こんな事がなければ、アメリカ大使館へ行くことなどない。経費が掛からない云々より、この目でアメリカ大使館をじっくり観察できることの方がよほど価値がある。
てなことで麻美と二人、行ってきた。

敷地内へ入ると、そこは紛れもないアメリカだった。
匂う、匂うのだ、これまで嗅いだことのない匂いが。外国へは一度も行ったことがないのに、この匂いが外国を連想させるのだ。本当に不思議な気分である。
事務所の入り口に立っているごッつい警備員は黒人、その先に見えるカウンターの奥には金髪の女性事務員、考えれば当たり前な光景なのに、恰も映画を見ているような気分に陥てしまう。
バックから書類を取り出し、受付の列に並んだ。

「ねえ、この匂い、アメリカの匂いかな」

麻美も感じていたようだ。

「かもね」

成田空港から快晴の大空へ向かって、コンチネンタル航空のジェット旅客機が力強く上昇していく。
実は飛行機に乗るのも初めてなので、これには興奮。機体が宙に浮かんだ時などは、思わず“おーっ”と声が出てしまった。
暫くするとスチュワーデスが爽やかな笑顔を発散しながら飲み物満載のワゴンを押してきた。機内サービスだ。
エキゾチック溢れる美人揃いで何とも嬉しくなる。東南アジア系のやや褐色の肌はやはり魅力的。この後暫くしてコンチネンタル航空名物の、スチュワーデス全員による機内ファッションショーが行われた。さすがに民族衣装が良く似合い、先ほどまでの彼女達とは別人のように見えてしまう。
知らぬうちに目尻が下がっていたらしい。ふと横を向いた時、そこには麻美の呆れ顔が。

飛行機はグァム直行ではなくサイパン経由だったので、初めての着陸はここサイパン国際空港になった。
着陸も離陸同様に緊迫した。荒っぽいパイロットなのか、高度の下げ方にむらがあり、スムーズに降下していたと思ったらいきなりドスンと落ちたりして、もう冷や汗ものだ。
着陸後、落ち着いて周囲を見回すと、ちょっとびっくり。戦時中のゼロ戦基地と見紛うばかりの空港である。成田と比べちゃいけないが、小屋とヤシの木しかないのは、凄いとしか言いようがない。

サイパンからグァムまではすぐだった。
だいぶ飛行機にも慣れてきたので、着陸の際は窓際の席へ移ってその瞬間まで窓にかぶりつく。
青い海が徐々に間近になっていく様に感動!
サイパンのそれより近代的なグァム国際空港は、南国リゾートの玄関口をイメージさせると同時に、米軍のヘリや航空機も何機か見られ、ここが極東の前線基地にもなっていることが分かる。
タラップを降りると現地スタッフだろうか、若い女性からレイのサービスがあり、やや照れた。

「Welcome to Guam!」

遂に来た、外国へ。
圧倒的な南国の空気感は一瞬にして旅人を酔わせる。空港のロビーへ移ると甘い花の香りが漂い、ここはリゾート地なのだよとアピールしているかのようだ。
ツアー客が全員が集まると、恐ろしいほど冷房を利かせたワゴン車に乗り込みPICへと向かった。
空港は丘の上。ゲートを出ると暫く坂道を下っていった。
質素そのものの街並みが続く。どこも商店は飾り気がなく、歩いている人も殆ど見かけない。そのうちビーチが見えてきたが、日本のそれとはだいぶ異なる輝きと落ち着きがある。
いくつかの大きなホテルを過ぎ、右折してもう一段坂を下るとPICの看板が見えてきた。ここの最大の特徴は全ての部屋がコテージであること。そして目の前には贅沢なプライベートビーチが広がる。
広大な敷地内には様々な遊びが用意され、日がな一日、PICの中だけでリゾートを満喫することができるのだ。
但、今回の旅行では行きたいところがあった。それはグァムのデニーズ。ラッキーなことにPICからだと歩いて行ける距離だったので、ディスカバリーグァムも含め、初日は街を歩きに歩き回った。

お馴染みの看板はすぐに見つかった。
店内へ入ると、テーブルレイアウトもユニフォームも日本とはまるで違ったが、MDの笑顔は同じだったので安心した。

「大きい!」

日本のそれと比べ、ハンバーガーは1.5倍、フレンチフライやコーラは2倍あるだろう。しかしさすがにハンバーガーの本拠地だ、肉肉しいパティーの美味さが際立っていた。やはりパティーはある程度大きい方が、焼きあがってもジューシーさが残ってGooなのだ。

「FFもボリュームがあっていいけど、とにかくこのケチャップが美味しい」
「甘くていかにもアメリカのケチャップって感じだね」

ふと反対側の窓際に座る白人の年配夫婦へ目をやると、テーブルに置かれた恐らくアイスティーだろうが、そのグラスの大きさにびっくり。

「あれ、Lサイズかな?」
「Mにして良かった~」

高さが30cmに迫ろうとするほどのビッグサイズだ。もっとびっくりしたのが、ご両人、それを普通にお替りしているのだ。こっちのデニーズはコーヒーだけではなくソフトドリンクのお替りもできるようだ。

「これ食べてあれ飲んでりゃ、体でかくなるよな」

二人とも目的を達せられニンマリ。

お土産もたんまり買い込んで、4泊5日の新婚旅行は無事ラストへと駒を進めた。
最終日は空港に早朝4時集合だったので、実際の日程は正味4日、あっという間とはこのことだ。もう帰るのかと思うとやたらと名残惜しかったが、同時に現実を思い出して気が重くなってきた。
実を言うと、内々に異動があることを聞かされていたのだ。正式な通達は後日だろうが、ほぼ決まりだと坂下さんが言っていた。
その移動先が、懸念していた関西。私にとってここグァムとさほど変わらない、遥か遠い異文化圏なのだ。

写真好きな中年男の独り言