復活! 庄や 飛田給店

な、何と、、、
つい先だって、閉店の告知を出した「庄や 飛田給店」が、突如としてその閉店を撤回した。
もちろん真意は定かでないが、馴染みの店が復活したことは嬉しい限りである。
以下は、店内に掲示された、再開店のお知らせポスターの文面だ。

再開店にあたって!!
一度は、庄や飛田給店を今月28日にて閉店と決めましたが、お客様、近隣の皆様からの辞めないで下さいとの声が大変多く、寂しすぎますのお言葉をこの数週間の間、毎日のように頂きました。
これ程までに庄や飛田給店が皆様から愛され愛着を持たれていたお店だと思い知らされました。皆様の暖かい励ましに、大変な感動を覚え、もう一度皆様方と一緒にという思いが強く成り、再開を決心したものです。

何卒、今後共、よろしくお願い致します。

ややリップサービス臭いが、先日のランチ中、年輩の常連客が板前さん相手に「残念だ」、「寂しいね~」、「お世話になりましたよ」等々と、真剣な眼差しで話しかけているのを目の当たりにした。
繁盛ぶりからしても、常連客にとっては地元の大事な憩いの場だったに違いない。
何れにしても、力強く蘇る“庄や 飛田給店”は大歓迎だ!

冒頭の写真は、復帰後第1弾の販売促進『満満券』!!
但し、ランチライムは使えないとのこと。ご注意ください☆

庄や 飛田給店

昼休みのオアシス【庄や 飛田給店】が今月28日をもって閉店する。
思い起こせば3年前。ワンコインランチの看板に惹かれて、何気にのれんを潜ってみると、

「おっ、ここ、いいじゃん」

と、予想外な寛ぎ空間に魅了され、早速お気に入りの店として足繁く通うことになった。
サラリーマンにとってワンコイン、つまり500円ぽっきりで昼食を取れるのはありがたい。庄やの従業員に聞くと、ワンコインの始まりは“まかないメニュー”とのこと。毎日2品が日替わりになる提供方法なので飽きることがなく、寧ろ「今日は何か」と楽しみだ。
定番メニューである「カレー」には、鶏の唐揚げや一口カツがトッピングされ、しかもご飯の量が多いから若い人達には嬉しい一品。その他、ブリやマグロをさいの目切りにし、ゴマ油で和えた「変わり丼」。体が温まる「モツ煮」、「肉豆腐」。見かけゴージャスな「ブリ丼」、「二色丼」。ちょっと一杯やりたくなる「マグロの竜田揚げ」等々、食欲をそそるメニューがこれでもかと出てくる。
庄やへ行くときは基本的に一人なので、大概はカウンター席を利用する。左右を見回せば、座っているのは馴染みの客ばかり。常連の止まり木とはよく言ったもの。
そして殆ど毎日、何年も通っていれば、従業員達とも顔馴染みになる。
店へ入れば、何を言わずともカウンターへ案内され、

「今日はどちらにします?」
「じゃ、肉豆腐で」

と、こんな感じだ。
庄やのホール係は30~40歳代の女性が中心。ランチは大体3名で回しているようだが、味の素スタジアムでイベントある週末には、これに2~3名ほど増員される。
ランチしか利用したことのない私の目から見れば、なぜこの店が閉店するのか大いに疑問だった。いつ利用しても客入りは上々、店全体の活況も申し分ない。「なんで?」と従業員に投げかけると、肝心な夜の売上が低調だからとの答えが返ってきた。庄やはもともと居酒屋チェーンなので、確かにその辺の客入りが見込めなければ営業の続行は難しいかもしれない。
庄やチェーンの経営陣だって、昨今の“外飲み離れ”の現況は憂虞していることと思う。恐らくランチサービスはこれに対する苦肉の補助策なのだろう。
< 業績悪化又は単純に売上アップ ⇒ 営業時間延長 >
この方程式は飲食店チェーンが古くから使う常套手段だ。
居酒屋でランチを行なえば、新規客の開発や店の知名度アップにはそこそこの成果を生むかもしれないが、反面、客単価は確実に落ち込み、利益率は悪化する。ワンコインランチそのものが薄利だし、それにも況して飲食業は労働集約型の典型的な業態なので、店の運営には頭数確保が必須。つまり人件費を絞るわけにはいかないから、どのように試算してもランチで収益カバーとは成り得ないのだ。

何れにしてもツーカーで寛げる店が無くなるのは寂しいかぎり。
但、飲食業は経営の浮き沈みと従業員の入れ替わりが激しい最たる業界であり、堅調な個人経営店でもない限り、客が安心して長らく利用し続けることは正直難しい。

若い頃・デニーズ時代 23

大卒の新人が、入社後たったの10ヶ月でマネージャー試験を受け、そして昇格していく。
私も含め、新卒達にとっては都合のいい流れだが、社会経験も少なく、殆ど学生と言っていい若者が店舗マネージメントを行なうというのだから、無理もない、仕事は試行錯誤の連続になる。
「使えないUMの下についたら最悪だぜ」と、ぼやくのは、同期で仲のいい井村。目下出世街道驀進中だが、とにかく頭のいい奴なので、細々なところまで目に付いてしまうのだろう。
そもそもUMITを指導教育する立場にあるUMやAMにしても、キャリアから考えればUMIT+α程度だ。よって井村のように“ハズレくじ”を引くことだって十分あり得るのだ。ところが悲しいかな上司は交換できないので、良いところだけを盗んで、あとは強い意志を持って自己研鑽を押し進め、一日でも早く正当なマネジメント能力を身に付けていくしかなかった。

ランチが終わり、ディナーへ向けての準備が始まる。コンディメントの補充からクリーマー作り、そしてケーキカットと、アイドルタイムに入っても忙しさは変わらない。この準備さえしっかりやっておけば、ディナーピークになっても何ら慌てることなくスムーズな対応ができる。逆に手抜きをすればそのしっぺ返しは大きい。
#3ステーションでテーブル磨きを行っていると、駐車場へ入ってきた白いスカイラインに目が留まった。
それは運転していた男の横顔に見覚えがあったからだ。
間違いない。彼は小金井北店で一緒にクックをやっていた槇さんだ。中間社員として入社してきて一緒に遅番を組んだ相方だから、しっかりと記憶に残っている。それにしても何用だろう。

「いらっしゃいませデニーズへようこそ」
「大丈夫、お客さんじゃないから」

入り口からバックヤードまでは#3ステーションの脇を通る。

「おおっ、木代、久しぶり!」

んっ、木代?!
なんだこいつ。俺を呼び捨てにするのか?!
この一瞬のやり取りで、槇が立川店の新しいUMITとして赴任してきたことを悟った。

「よろしくな!」

最悪である。
短い間だったが、小金井北店の遅番を彼と二人で切り盛りしていた頃は、それなりに上手くやっていた。いや、そう思っていただけかもしれない。尤も気に留めるような相方ではなかったので、浦和太田窪へ異動が決まった瞬間に奴のことは頭の中から消えていた。
それがここにきて、今度はあいつの指図を受けながら仕事をしなければならないとは、、、
正直これはいたたまれない。

この後、午後のスタッフミーティングで、添田UMから新任UMITとして槇が紹介された。
つり上がった目と含み笑い。以前と変らぬその風貌は直感的に水商売を想像させ、デニーズの持つ企業イメージとは相容れない下品さである。
自分じゃ格好がいいと思っているのだろうが、IYグループに於てピンカラーのYシャツはいただけない。

「新米マネージャーですが、よろしくお願いします」

皆の前で深々と頭を下げ、神妙さを演出しているようだが、横顔から滲み出てくる狡猾さは見逃さない。
これは是が非でもマネージャー試験に合格してUMITとなり、この忌々しい奴からおさらばせねば。
ところが、そんな我慢のならない槇が、立川店に顔見知りは私だけのようで、何かにつけて話しかけてくるから嫌になる。

「俺がUMでさ、木代がUMITなら、いい店ができるんじゃないかな」

ふざけるな!
本当にむかつく男だ。

「おおっ、いいね。木代、ディッシュアップきれいだよ」

お前には言われたくない。そもそもあんたにきれいなディッシュアップを教えたのは俺だろが!
人の心知らずのやり取りが、来る日も来る日も続いていった。

槇の着任の少し前から、ミスターの仕事と並行して、時々クックの仕事も行っていた。
人員充足率の高い立川店のキッチンだったが、ディナーのKH二名が大学卒業を目前に控え、退職を希望してきたからだ。スタッフの殆どをアルバイトで構成しているデニーズでは、安定的な人員配置を維持することがUMに与えられた最大の職務であり、これができるとできないとでは、売り上げアップはもちろんのこと、店の雰囲気作りに大きな支障が出てくるのだ。
当然のことだが、人が足りなくなれば残った者への負担が大きくなり、度が超えれば楽しく仕事をすることさえ難しくなる。そしてこの状態が長く続けば“離職”の文字が頭をよぎるようになる。
まさに悪循環であり、下手をすると大量離職に発展することさえあるので、各職種、各シフトの充足度には絶えず気を配る必要があった。
アルバイトの多くを占めるのは、大学生、高校生。彼らはディナータイムの要である一方、中間試験、期末試験、そして前期試験、後期試験、更には卒業研究等々、学生にとって最大級の関門を定期的に控えている。悪いことに試験期間はどの学校でもほとんど同じ時期にあり、それは1週間から10日間ほど続く。いくら親デニーズ派のアルバイトでも、試験期間に仕事を入れる者は少ないので、店にとってはピンチの期間になるのだ。
しかしこんな時、優秀なマネージャーとそうでないマネージャーとでは、その対処に大きな差が付いた。
デニーズでは一日の営業スケジュールに対応すべく、マンニングレベルテーブル(略:マンニングテーブル)、すなわち人員配置表を作成するのだが、これの考え方というか、ハンドリングが各UMによって様々なのだ。
例えば、売り上げ予測を立て、ランチピーク(12:00~14:00)を確実にこなす為にはMDが4名必要だとしよう。つまりその4名を12時に出勤してもらい、14時に上がってもらうのだ。ところがちょっと考えたかを変えれば、12時から13時まで4名を、そして13時から14時まで新たに4名、つまり合計8名のMDを使ってもいいわけだ。現実は一時間だけ働いてくれるアルバイトはいないが、前述の試験期間などでは、「一時間だけでもいいから出られないかな」等と話を持ち込める。
X軸に正確な売り上げ予測を上げ、Y軸にはそれに対する適正配置を組んでいく単純な作業だが、これがサービスレベルを落とすことなく売り上げを伸ばす最良の方法となっていた。
せっかく求人募集を見て来てくれたのに、一日2時間しか働けない。試験期間は来られない。春から仕事なので2カ月だけ働きたい等々の話を聞いて、あっけなく不採用とするマネージャーがいるが、いつか必ず人出不足で窮地に追いやられることになるだろう。
頭数確保は基本中の基本なのだ。

写真好きな中年男の独り言