若い頃・デニーズ時代 2

代々木にあるオリンピック青少年総合センターでは、デニーズだけでなく他社の新入社員研修も行われていて、施設全体がフレッシュマン達の若い息吹によって活気に満ち溢れていた。
もちろん緊張はしていたが、これから始まる社会人生活への期待感はそれを上回り、なぜだか無性に楽しさがこみ上げてきたのを覚えている。
我がデニーズの昭和53年度新入社員は、大学卒80名、高校卒20名の計100名。全員がスタートラインに並び、1週間の研修が始まった。

「既にデニーズでのアルバイト経験がある人、手を挙げてください」

見回すと7~8名ほどが挙手している。
研修会は始まったばかりなのに、なんだか彼らだけが一歩進んでいるように感じてしまう。

「あなたたちは耳にしたことがあると思いますが、今日は“ました”の練習を行います」

IYグループ独特の挨拶“ました”とは、“わかりました”、“了解しました”等々を省略した言い方で、
ー これからディスカッションを行います。
ー ました!!!

ー すぐにトイレ掃除をやってくれ。
ー ました!!!

ー 今から地区ミーティングに出掛けるので、帰りは午後になります。
ー ました!!!
と、こんな感じだ。

「何となく分かりましたか」
「ました==!!!」

どの様な理由で省略したのか定かでないが、徐々に慣れてくると3文字だからテンポが良くて言いやすく、気持ちも思いのほか込めやすい。
こうして日一日と洗脳が進み、ひよっこデニーズマン達が育っていくのであった。

青少年オリンピックセンター会社概要、仕事の基本、課題、グループディスカッション等々、あっと言う間に日程は消化していく。共通認識は外食産業の明るい未来。追いつけ追い越せの精神で、競合他社を凌駕していく強い思いが埋め込まれていくのだ。
そして最終日には参加者全員が最も気になる、配属店の発表が行われた。
自宅から通勤できれば理想だが、初っ端からの入寮もありえる。
この時は本当にどきどきだった。

「俺はどこでもいいよ。もともと栃木から出てきているから」
「そうか、逞しいな」

皆、それなりに覚悟はできているが、正直なところ気になってしょうがない。

「それでは配属店が明記された書類を渡します」

ー ついにきた。

「おおっ!小金井南店だ」

研修会で仲良くなった三石の第一声。自宅は府中と言っていたから一番近い店かもしれない。

「確認してください」

私の書類だ。緊張の一瞬。

ー やった!小金井北!!

「近くて良かったな」
「ありがとう、お互い頑張ろう」

デニーズ小金井北店は小金井市の五日市街道に面し、自宅からも近く、初配属店としては全てに於て都合が良かった。
あとは初出勤の日を待つばかり。
その間もやる気はぐんぐんと急上昇。
頑張れねば!


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