2023年・年末撮影会

 あけましておめでとうございます。
 能登地震に被災された方には、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 さて、毎度の年末撮影会。今回は久々の好天に恵まれたおかげで、二日間を通し楽しくシャッターを切ることができた。
 十二月三十日(土)早朝四時三十分。Tくんが自宅まで迎えに来てくれると、
「おはよう!、あれ?、車が違うじゃんか」
 Tくんは大のジムニー好きだ。つい最近、懇意にしている車屋に最新型で走行距離の少ない出物が入ったとのことで、思い切って代替えしたそうだ。グレーの車体はなかなか渋いし、走り出すと走行ノイズが低く乗り心地もいい。これなら快適なドライブを楽しめそうだ。

 中央道をひた走り、山中湖の北岸に到着。こんな早朝だというのに、相変わらず湖畔の駐車場には車がいっぱい。たまたま一台分があいていたので、滑り込む。
 薄闇の中だが、富士山の姿は麓までしっかりと確認できた。さっそく撮影準備にかかろうと、トランクから機材を下ろそうとしたとき、凍り付く。
「やばっ!三脚忘れた!!」
「なにそれ」
 自分でもあきれるほどポカミスが多い。登山へ行こうと車を走らせているとき、ふと登山靴を忘れてきたことに気がつき、自宅まで引き返したこともある。
「くそぉ、、、ISO3200と手振れ補正に頑張ってもらうしかないか」
 実は今回、浮島海岸で夕陽の撮影を楽しみにしていたが、これは諦めるしかない。まったく自分が情けなくなる。
「今日の夕日撮影は中止!温泉入って酒飲むよ」
「自分勝手!ひでぇぇぇ」

 十三時過ぎ。今宵の宿『浮島温泉・大屋荘』へ到着すると、予定していた燈明ヶ崎遊歩道へと向かった。入口は浮島海岸の右端で分かりやすかったが、遊歩道とは言っても、初っ端から急な階段の連続で、なかなかどうして手ごわい。
「こんなにきつかったっけ?」
 実は三年前に一度訪れたことがあった。
「年とったんだよ」
「間違いない!」 
 それにしても、ひとつき以上前から右膝痛が出ている我が身にとって、楽しく歩ける状況ではなく、おまけに途中から日差しが強くなり始め、慌ててジャケットを脱ぐと、すでに下着は汗でぐっしょり。“フラット~急登”の繰り返しが終わる気配は一向になく、
「もどりましょうか」
「そうしよう。まいったまいった、膝が痛いよ」
 今回もあっさりと弱音が出る二人であった。

 引き返した地点までに、レンズを向けたくなるようなポイントは見つからず、戦果は「0」。宿へチェックインすると、さっそくビールをひっかけ温泉へ直行した。さっぱりした後はますますアルコールが進み、十八時の夕飯を目前にしてかなり酔いが回ってきた。

伊勢海老のおつくり。この殻が翌朝のみそ汁になる。


「おおっ!豪華じゃないですか女将さん」
「年末年始は特別なんですよ」
 大皿の刺身盛、伊勢海老の姿づくり、鮑バター焼き等々、伊豆ならではの海の幸に大感激。これでおひとり様一万二千円(税込)は安い♪
 出されたものは御飯も含めすべて平らげた。これも珍しいことだ。

いずれも地魚☆

 翌朝は七時に起床。しこたま飲んだ割には二日酔いの気配はない。おそらく腹が破裂するほどおいしいものを詰め込んだからだろう。カーテンを開けると、窓の外は薄く靄がはり、昨夜からの雨は小振りになってはきたが、すぐに止む気配はない。二日目はこの空模様を利用して、松崎の町でスナップをするのだ。

 なまこ壁の町並みと那賀川河口の静かな佇まい。何度訪れてもその柔らかい空気感に癒される松崎。そんな松崎の町を、小雨そぼ降る中、ゆっくりと時間をかけて歩けば、これまで見えなかったシーンを、多く見つけることができた。
「いつも静かだけど、今日は輪をかけて静かだね。ぜんぜん人、歩いてないもん」
 
 おおよそ二時間の街中スナップが終了するころ、さすがに腹が減ってきた。
「どっかで昼めし食って、それでお開きにしようか」
「どこにします」
「初めての店なんだけど、隣の仁科に“河津屋”って食堂があってさ、webじゃ評判いいみたいなんだ」
「いいね、そこ行きましょう」
 R136から沢田交差点を鋭角に右折すると、間もなく“食堂 河津屋”のでかい文字が目に飛び込んできた。空いている駐車場へ車を入れ、暖簾を潜ると、「いらっしゃいませ!」の元気な一声が響いた。ちょぴりヤンキー風ではあるが、若社長と思しき男性がテーブルへと案内してくれ、すかさず「初めてのご利用ですか?」と聞いてきた。はいと返せば、いきなりメニューの説明が始まった。看板メニューが“肉丼”であることはHPで下調べ済みだが、その他のおすすめ品も、ウィットの入った流暢なトークでテンポよく耳に入ってくる。店内を見回せばほぼ満席。繁盛が窺えるが、半分以上はこの若社長の人柄によるところが大きいのでは。

肉丼(並) 600円

「肉丼が二つと、醤油ラーメンがひとつですね。ありがとうございます」
 それほど時間を要せず出てきた肉丼は、正直うまかった。甘辛のタレが何とも美味で、やわらかい豚肉と甘い玉ねぎとの相性はこの上ないもの。Tくんもお初のメニューだったが、うまいうまいの連発だ。またひとつ伊豆のいいところを発見した気分である。
「ごちそうさん。はいっ、おあいそ」
「ありがとうございました! また来てくださいね♪」

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河津屋食
静岡県賀茂郡西伊豆町仁科1111-1
☎ 0558-52-0049


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