新緑

日の出山山頂

 

4月23日(木)。目覚めるとカーテンの隙間から目映いほどの青空が目に飛び込んだ。“スイッチが入る”という表現があるが、この時がまさにそれで、ベッドから飛び出すと真っ先に押し入れのザックを取り出し、必要なものを手早く詰め込んだ。そして忘れずV2の充電を行う。
そう、山だ。山へ行くのだ。

数日前から初夏到来を感じさせる柔らかい空気が漂い始め、何気に街の木々も緑に鮮やかさが増してきた。こうなると山を思い出さないわけがない。新緑の森を歩く気持ちの良さはやはり格別なものなのだ。

ー 8時には出発しよう。

鳩ノ巣の無料駐車場までは、途中の買い出しを含めて約2時間がかかる。順調にいけば10時過ぎに登山を開始できる筈だ。
シーズン初っ端は決まって“鳩ノ巣駅~御岳山~日の出山コース”を選ぶ。足腰に優しく、かと言ってコースには変化があり、長からず短からずの程良い行程は、シーズンスタートの足慣らしとして最適である。
このコースのアレンジとして隣駅の古里から出発するのも面白い。季節的にちょうどミツバツツジの群落を見られる頃で、多くの陽光を浴び、花や葉の彩りを感じられるのがコースの特徴となっている。但、今回は2年間ご無沙汰している大楢峠を久々に歩いてみたいという素直な気持ちに従った。

鳩ノ巣渓谷に掛かる雲仙橋を渡り、一路登山口へと向かう。
人気のない集落の道ばたには、今年も黄色や白の可憐な花が咲き誇り、時の動きを感じさせないローカルな空間の演出に一役買っている。

登山道に入って間もなくすると林道にでる。

― おや、ずいぶんと工事が進んだな。

この林道、2年前まではぶつかったところで終りだったが、見渡すとかなり先まで延びている。このまま南へ進むと、方向的に考えて海沢谷の林道へ繋がるのかもしれない。林業目的には幅員的に豪華すぎるし、はたまた生活道路にはなりにくいルートでもある。奥多摩の深い森にこれ以上開発の手を入れることに、何らかの意味があるのだろうか。
整地途中のの林道を淡々と歩いていくと、ようやく終点が見え始めた。ところが近付くに従い目に入ってきたものは、非常に見覚えのある光景だった。

ー えっ?!

それは、なんと地獄沢の左コーナー。工事の進み具合にびっくりすると同時に、ここも見納めだと思うと無性に寂しくなってきた。
こんなペースだと、大楢峠が消え去るのも時間の問題か、、、
様々な思いを巡らせながら、その大楢峠へ到着。ここで本日最初の小休止を取ることにした。
冷たい風が汗を吸い込んだシャツを冷やし、体から急速に熱を奪っていく。峠は風の通り道。やはり樹林帯の中では、周囲の天候状況を把握するのは難しい。
ちょっと多めの糖分とミネラルウォーター200ccほどを補給すると、疲れが見る見るうちにとれていき、体が幾分軽くなった。今年の秋で61歳になる我が身だが、この回復力ならまだまだ50代レベルの冒険がやれそうだ。

新緑を眺めながら、ほぼフラットな北側斜面を淡々と歩く。
すると突如現れた前方の“物体”に足が止まった。

ー 鹿だ。しかも大きい。

山道に沿うように立ち、じっと私の方を窺っている。そっとV2に手を延ばし、構えようとしたその瞬間、大きな体は上がり斜面へと一瞬にして姿を消した。至近距離だったので急いで鹿の立っていたところまで駆け寄って姿を追ってみたが、ものの見事に気配はなく、 改めて野生の凄さを感じてしまう。
逃げた方向には、足場が悪く、おまけに50度以上はあろうかと思われる急斜面が立ちはだかっているのだ。

相変わらずの賑やかさを見せる御岳山集落。メインの通りには遠足らしき小学生の団体、年輩グループハイカー、カップル等々と、アウトドアを楽しむ大勢の人達が見られ、それまでの山道から周囲の様相ががらりと変るこのコースの面白さを再確認。以前は必ずといって神社近くの食堂へ立ち寄り軽食タイムとしたものだが、居心地の良い環境で一息入れると、決まって結構な時間を費やしてしまうので、出発時刻の遅い最近の御岳山歩きでは敢えてパスにしている。

トレポトレポの使い方が上手になったか、はたまた体調が良いのか、脚や膝に疲れは殆ど感じず違和感もない。GWにはT君と山歩きをするので、前準備としては上々と言ったところだ。
但、このトレポ。両腕を使って推進力を稼いでいるので、当然腕や上半身に負担がかかる。使わなかった頃と比較すると、歩行に際し体全体に疲労を覚え、日頃のストレッチングや筋トレも、この点を考慮した形に変えなければならないだろう。今まではスクワット等々、下半身の強化が中心だったのだ。
それにしても愛用のkarrimor製カーボントレポは実にナイスな商品だ。超軽量(190グラム/1本)だから長丁場の使用にも全く重さを感じず、おまけに価格が10,000円弱というのも魅力的。更に入手の容易なドッペルギャンガー製替えゴムがジャストフィットするのが嬉しいポイントだ。
これからトレポをお考えの諸氏には一押しの商品である。

日の出山から先は基本的に下りが主となる下山路だ。
下山時には登りの際に受けたダメージレベルに乗じて腸脛靱帯炎痛が起きることが屡々で、以前から悩みの種になっている。山以外でも、アップダウンの激しいゴルフコースなどでは、症状こそ軽いものの、痛みが出たことは何度もある。恐らく私の場合、膝の形状に問題があると思うので、山歩きの前、中、後に行っているストレッチングはこれからも欠かせない。

頂上直下の急坂では違和感も覚えず快調そのもの。梅野木峠で小休止にしたが、前兆も出ず不安はない。急な下りがしんどい愛宕尾根でも不思議と何も起こらない。
久々の山歩きでは高い確率で左膝外側に痛みが出るのに、今日は不思議と症状の前兆である違和感も感じられないのだ。
確かな要因は定かでないが、トレポの影響は確実にありだと思っている。

アイス買お!

愛宕神社の真っ正面にはセブンイレブンがある。
御岳集落を歩いていた時から無性にアイスを食べたくなっていた。
手にしたのはセブンイレブンオリジナル商品の“セブンプレミアム アーモンドチョコバー/199円”。汗をかいて疲れた体には染み入る美味さ。冷たさと甘さが喉を通過する時には頭がくらくらっとするほどだ。

いつものようにゆっくりと奥多摩橋を渡っていると、心地良い川風が体を包む。
真夏では味わえない、心休まる初夏の夕暮れである。

サラダセット

Peperoncino

TOKITAの種、“サラダセット”をまいてみた。
ブロンズ(赤リーフレタス)、グリーンリーフ、エンダイブ、サラダ菜、チコリ(青)、チコリ(赤)、クレソンの7種類がミックスされていて、何れもサラダの王道を行く野菜だけに、生育と収穫に期待は膨らんだ。
但、種をまいた時期が真冬だった為か、待てど暮らせど芽が出なく、一時は半ば諦め気分だったが、ある日何気にプランターを覗いたら、なんと無数の可愛らしい芽が一斉に土から顔を出していた。
ちょうどその頃から春めいた暖かな日が続くようになり、発芽した芽は日に日に大きくなっていき、それから約2週間ほどでそれぞれの個体が判別できるまでに成長した。
みずみずしい葉は見るからに美味しそうで、一日でも早く食したく、生育チェックは日課となった。
クレソンの背が7~8cm位になった頃、各種を適量に摘んで食することにした。但、どう観察してもチコリらしきものは見当たらず、この点はとても残念である。
恐らくまいた時期や土の関係で発芽しなかったのだろう。次回はもっと下調べを行ってから7種類全てを収穫できるように頑張りたい。

単純に自家製Peperoncinoへトッピングしたみた。
ニンニクと唐辛子の世界に爽やかさが加味されて、味全体が引き締まったようだ。
この他、朝食のベーコンエッグへ付け合わせとして使ったら、見た目のグレードがアップし、無性に楽しくなった。
予想以上の美味しさと使い勝手の良さで、プランターは3日間でほぼ土だけとなってしまったが、一応、根だけは残してあるので、あと1回位は収穫できるだろう。
但、次は何とか大量且つ大きく育てて、色々な料理に使ってみたいと思っている。

海外 食事

birthday

50歳となった女房の誕生日を、娘夫婦といっしょに祝った。家族の誕生日会は恒例である。
今回は三鷹駅北口、TSUTAYA隣の地下1階『とれたて食堂』を利用した。メニューはどれも美味しくリーズナブルで、店内の雰囲気、スタッフの対応共々◎のイタリアンレストランだ。
特にピザチーズがしっかりした濃い味わいで、クリーミー且つふくよかな食感はちょっと癖になりそうである。
ワインのラインナップも多く、好きな人には絶対うけるはず。

2008年秋。バラク・オバマが第44代アメリカ合衆国大統領選に勝利したその時、ちょうどドゥカティのミーティングへ参加する為に、遙々イタリアのミラノへ来ていた。同業者仲間とホテルのTVの前に陣取り、これで歴史が変るかも?!と大いに盛り上がったことが懐かしい。
海外へ出掛けて印象に残るポイントは皆それぞれだろうが、食べ物はその最たるもののひとつに違いない。
食べ物の好き嫌いは殆どないが、唯一パクチー系だけは苦手としていて、タイへ旅した際に青さと臭さ満載のスープを出された時は、完全にギブアップした。
それと、味そのものではないが、香港のローカルな食堂街で、軒先に吊り下がる個体不明な無数の肉が目に入った時、途端に食欲が減退したことも印象に残っている。
その点、食に関してイタリア~ミラノは完璧だ。
日本人はもともとイタメシ好きだから、口に合わないわけがない。
到着した晩、宿泊ホテルのレストランでドゥカティジャパン主催の夕食会が行われ、イタリアンスタンダードと言うべきシンプルなフルコースをいただいた。
飲みやすいワインに始まり、メインの肉や魚は無論美味しかったが、何より驚いたのは前菜として出てきたリゾットだ。定番のチーズリゾットで、深みのある風味と滑らかな喉越しは、まじめにおかわりを頼もうとしたほどで、それまで<リゾット=おかゆ>程度の認識しかなかった私にとって正に驚きの発見であった。
翌日の昼食は、同室のYさんとミラノ中央駅に程近い大衆レストランでハウスワインとラザニアを食してみたが、これもさすが本場!と唸らせる味わい。いっしょにでてきたパンも実に香ばしく、これとワインだけで食は進んだ。
このミラノ行をきっかけに、お手製Peperoncinoの研究が加速したのだ。

写真好きな中年男の独り言