7月14日(木)付けの読売新聞に、また熊の被害についての記事が載った。
これまで熊は人を嫌い、鈴の音やラジオの音を避けるのが一般論だったが、一部の地域では音を出すと逆に近付いてくる傾向も出てきたという。これはラジオの音が発するところには弁当やジュースがあると学習したらしく、熊の学習能力を垣間見ることができる。
秋田県鹿角市で熊が人を襲い、その人肉を食べた事件はショッキングだった。
5月から6月の間に5人が死傷したもので、特に3,4人目の遺体は損傷が激しく、複数の熊に食べられた可能性があるという。
本来熊の主食は木の実などの植物だが、順応性が高いが為、状況が揃えば人を獲物として認識することもあり、特に一度でも人を食べた熊などはスイッチが入る可能性が高い。
こうなれば人食い熊の駆除が必要となるが、深い森林を縄張りとする野生熊の中から人の味を知った僅かな個体だけを特定するのは難しい作業だ。
秋田で被害調査を進めている「日本ツキノワグマ研究所」の米田一彦理事長は、12日(火)朝、1,2人目の遺体が見つかった現場近くで体長80cmの熊を見つけ、写真を10枚ほど撮ったが、その間怖がる様子もなく、その後ゆっくりと立ち去ったという。
日本の熊は天敵がいなかった為、他の動物への警戒心が低く、近年は狩猟の機会も減っており、人に対する警戒心も低下しているとのことだ。
野生動物の保護や調査を行っている「知床財団」は、こうした習性の変化に応じ、10年以上前から「クマ撃退スプレー」なるものを貸し出している。
これはトウガラシの辛み成分の濃縮液を噴霧する仕掛けになっていて、4~5m先から熊の顔をめがけて吹き付ければ優れた効果を発揮するという。但し、相当な勇気も求められることだろう。
◆以上は、読売新聞7月14日(木)付け【人襲うクマ 習性変化か】より抜粋しました。
我がホームコースの奥多摩山系にもツキノワグマは生息する。その数は300頭とも500頭とも言われ、幸いなことに襲われて死亡にまで至った事故はこれまでにないが、頬の肉を削がれる等の重大事故は過去に幾件も発生しており、当然ながら充分な注意と警戒が必要だ。
事例からの傾向を見ると、時間帯では早朝や夕暮れ時以降、場所では沢やバリエーションルート等、メインの山道以外で遭遇することが多く、その中にはラジオを鳴らしていたのに襲われた例もあった。
この辺をまとめてみると、良策は【なるべく熊に会わないようにする】ことがBetterであり、山歩きは熊の縄張りへ入り込む越境行為だということを再認識し、然るべき知識を持って臨むことは言うまでもない。
そう、3年前の話になるが、夏に奥多摩小屋でテン泊をした際に、小屋の親父さんとよもやま話が盛り上がり、話題が熊のことに移った時だ、
「おたくがテントを張った近くに、熊の糞が落ちていたよ」
これはリアルに驚いた。
いつした糞かは定かでないが、深夜寝静まった頃にテン場までやってきて頑張ったことは確かなのだ。