膝の具合 Part 9 ピッチ走法

 <楽に走る = ペースを落とす>
 至極当たり前のようだが、実はこれだけでは楽に走れない。これを半年以上もかかってようやく理解できた。“ピッチ走法”なんてなものは、単純に歩幅を小さくして走ればいいくらいに考えていたから、恩恵などにあずかれるわけもない。
 ピッチ走法には様々なメリットがある。
 ・歩幅が小さく、上下動が少ないので衝撃が軽減できる。
 ・筋肉や関節への負担が小さいから、ケガのリスクは低い。
 ・着地の衝撃も小さく、膝や足首には優しい。
 等々と、まさに高齢者向け。ところが実際に走ってみると、確かに脚への負担は小さいようだが、すぐにハーハー、ゼーゼーと息が切れ、心臓や肺がわめきだす。それだけではない。疲れてくると脚が上がらなくなり、たびたび靴底を擦ってバランスを失いそうになる。ピッチを意識すればするほどこの傾向は強くなり厄介だ。上下動を意識して、躓かないようにすると、途端にハーハー、ゼーゼーが更に酷くなり、とてもじゃないが走り続けられない。一年半前、スロージョギングを始めたときも、この躓きが頻発し、結局続けることができなかった。
 ではどうすれば、負担の少ないピッチ走法を堪能できるのか?
 靴底を擦らないために上下動を多めにとるのではなく、踵をくるっと蹴り返すことを意識するのだ。こうすると上下動は小さなまま、躓きを防止できる。この時ポイントになるのが姿勢。上半身をスッと伸ばして胸を張り、腕の振りはやや高い位置で行うと、リズムに乗って、前へと足が出るようになり、それを意識して続けていければ、
「おお、楽々! これねぇ~」
 と、妙に納得する。

 ここ一か月ほど、どうも体調がすっきりしない。もしやフレイル?! などと、ビビることも屡々だ。とにかく疲れが微妙に抜けないのだ。ただ、あくまで軽度で、なにか行動起こす際の足かせまでには至ってない。いずれにしても改善したいので、まずは期間を決めて断酒をしようと考えている。大なり小なりアルコールは体に負担をかけるもの。五十年以上続いている晩酌によって、私の内臓はかなりなダメージを食らっている筈だ。ただ健康診断の数値を見ると、まだ釈迦ってないぎりぎりのところだから、断酒を行えばな内臓の機能が少しずつ蘇り、それを自覚できればベリーハッピー!ってなところか。
 まっ、とりあえず二週間。やってみましょう。

酒とのつき合い

 六月十五日・父の日。
 娘夫婦から“いいちこスペシャル”をいただいた。この焼酎は普段よく飲んでいる“下町のナポレオン25度”とはまるで異なるワンランク上の一品で、好みな酒のひとつでもある。
 若いころから酒はよく嗜み、香りや味わい、そしてほろ酔い加減を楽しんできたが、やはり古希ともなると、内臓の勢いも落ちてくるのだろう。去年あたりから微妙に酔いの回りが早くなったり、やや度の過ぎる晩酌が続いたりすると、てきめんに腸がやられるようになった。腹がゴロゴロと悲鳴を上げ、それに伴い排便回数も増えると言った有様だ。それでも三日間ほど晩酌を止めれば一旦は回復するが、弱ってきた腸がアルコールの刺激に弱くなってきたのは確か。もっとも、胃腸に関してはこのように黄色信号が点滅して、状態の変化を知らせてくれるからいいが、肝臓、腎臓、膵臓等々は、最終局面を迎えない限り自覚症状は出ないと聞く。やはりこれまでの酒量は一旦白紙に戻し、弱った内臓を窮地へと追い込まないよう、適度な飲酒量、飲酒回数を再考すべきなのだ。

長嶋茂雄 “愛されるスター”

 一途な性格を微塵も隠そうとせず、ポジティブ一本で人生を駆け抜けた稀有な人、長嶋茂雄。“愛されるスター”とはまさに彼のことだ。

 私が産声を上げた年、長嶋は立教大学へ入学する。彼の大活躍により、同大野球部は初となる二期連続優勝をもぎ取った。
 卒業すると読売巨人軍へ入団。天皇陛下を迎えての天覧試合(vs.阪神)では、同点ホーマーとさよならホーマーの二発で試合を決めるという大暴れ。しかも相手ピッチャーは、後の阪神エース村山だ。おまけにさよならホーマーを放ったその時が、天皇陛下退席予定時刻直前だったという、本物のスターにしかできない離れ業を披露。長嶋人気のおかげで、それまで野球といえば六大学だったものが、人気は急速にプロ野球へと移っていく。

 普通のバッターでは選ばない高めのボール球を、“大根切り”と称した破天荒な打ち方でヒットにしたり、サードの守備では華麗なボールさばきを幾度となく見せ、特にサイドスローでファーストへ送球する姿はあまりにかっこよく、今でも脳裏に焼き付いている。そして、ちょくちょくユニフォームの第一ボタンを外していたところなど、茶目っ気もたっぷりだった。