
昼前、札幌のOさんからLINEがあり、急遽出張で上京するという。
さっそく飲み会をセットしようとHさんへ連絡すると、週末はたまの会議やらサッカーの審判やらが入っていて、時間が取れないとのこと。残念だが今回はひとまずOさんと二人で飲むことにした。
八月一日(土)十八時。三鷹駅の改札で待ち合わせると、北口ロータリーにある居酒屋【昜木屋・ようきや】へ行ってみた。ここは初となる店だ。外からだとカウンターしかないように見えるが、店内に入ると左手にテーブル席が並んでいた。
「二人だけど、あとからもう一人増えるかもしれないんで」
「じゃ、奥のテーブルへどうぞ」
「とりあえず生二つと唐揚げを」
ちなみに隣にあるたこ焼き屋は、中でここと繋がっていた。
カウンターに空き二席、テーブルは一席と繁盛している。今日はこの夏一番と思えるほどの酷暑、冷えたビールは染み入るようにうまい。ビールは“お疲れセット”(550円)で注文すると、隣で焼いている熱々のたこ焼きが三個付いてくる。ただ、気をつけて口に入れないと、火傷するほど熱い。

LINEのアラームに気がつき開いてみると、Hさんからだ。
― 今、雨がめっちゃ降っていて、ちょっと時間が読めないです。
雨? 窓へ目をやると、稲光まじりの豪雨である。まったく気がつかなかった。
「なっ、すごい雨だぜ」
「うわっ」
Hさん、こっちへ向かおうとしたようだが、激しい雨降りで足止めを食らっているのだ。まあ、夕立だろうからそのうちやむだろうと思った瞬間、ドッカァ~~~ン!!と近場に落雷。やむどころか、雨脚はさらに強くなり、なんだかんだ一時間近く降り続けた。
一杯目の生を飲み干したあたりから酔いが回り始め、二杯目を開けるとけっこういい気分。時計を見るともうすぐ二十時半だ。この店は時間制なのでそろそろお開きである。
再びLINEが鳴った。
― 店の前にいます。
会計を済ませ、表に出ると、濡れた髪のHさんが立っている。
「今日は会議場まで自転車で行ったんで、さっきまで雨宿りですよ」
そりゃそうだ。自転車であんな滝のような降りの中を走ったら、パンツまでずぶ濡れになるし、そもそも危険極まりない。
「今日は残念だったけど、また次だね」
真っ黒に日焼けした顔から、健康的な白い歯をちらつかせるHさん。
「あの~、これ」

Oさん、ショルダーバッグに手を入れてごそごそやり始めた。恐らく手土産だ。彼は律儀深い男だから、必ずちょっとしたお菓子などを土産として持ってくる。
「ありがとう。でも次からはいいからな」
「それじゃおやすみなさい」
「気をつけて!」
Oさんは明日十七時の飛行機で涼しい札幌へと帰る。








