選んでくれた二枚のアルバムは、“バニラファッジ”と“ブルーチアー”。共にデビューアルバムで、初めて触れた新しいロックの音だった。感想を言えば、バニラファッジの<You Keep Me Hangin’ On>はパワー感に切れのいいボーカル&コーラスがうまく溶け込み、引き込まれるものがあったが、一方ブルーチアーは粗雑で単純な構成ばかりが鼻についた。 「こーゆー音楽があるんだね」 これまで聴いてきた音楽とはずいぶんと異なったが、なんとなくハートをくすぐる感は否めなく、Kちゃん宅はお隣なので、ちょくちょくおじゃまして色々と聴かせてもらうことにした。
Kちゃんの部屋にはおびただしい数のLPが整然と並べられ、それをパイオニアのセパレーツステレオで鳴らせるという最高のリスニング環境が整っていた。そんなことで数時間に渡り二人で聴き続けるなんてことも屡々だった。 徐々に耳が慣れ、ロックが自然と体に馴染んでくると、自分の好みがしっかりと出てきた。そのタイミングで出会ったのがジョン・メイオール&ブルースブレーカーズ。エリック・クラプトンをフィーチャーした<Blues Breakers with Eric Clapton>とピーター・グリーンをフィーチャーした<A Hard Road>は今でもたまに聴くほどのお気に入りになった。