ニコンD100で西伊豆松崎

 昨年十月七日のブログにも記した大好きな西伊豆の港町“松崎”。この時の撮影データは十八年前の恒例年末撮影会のものである。
 HDDに保存した撮影データは、気がついた時などに順次DVDへバックアップしているが、不覚なことにその取り込んだDVDに表題を記入する際、他のDVDと取り間違えていたのだ。一時は紛失したと思い込み、ずいぶん滅入ったものだが、この間抜けなポカミスが判明して嬉しいやら情けないやら。とにかく一件落着である。
 今回、そのデータをひとつひとつチェックして行ったのだが、改めて写真は道具じゃないと痛感。メインで使ったカメラは二〇〇二年に発売されたニコンD100。同社初となるコンシューマー向け本格的デジタル一眼レフ機である。記録画素数は六百十万画素とスマホにも及ばない低レベだが、生成されたRAWデータをじっくり観察すれば、作品作りに耐えうる十分なクオリティに驚かされる。
 データはけっこうな量があったので、先回ご紹介できなかった何枚かを掲載してみた。
 十八年前の西伊豆松崎である。

<参考>
カメラ:ニコンD100(発売日:2002年6月)
使用レンズ:シグマ18-125mm F3.5-5.6 DC(発売日:2004年7月)

山との関わり合い

 ふとしたきっかけである書籍に目がとまり、即購入。一心不乱に読み進めた。
 その書籍とは、金 邦夫著の【侮るな東京の山】。
 著者は警視庁山岳救助隊員として定年退職に至るまで青梅警察署に所属、他の誰よりも奥多摩の山々に精通していた。その金氏が現役時代に経験した数々の救助活動を詳細に書き綴ったのが本書である。

 自宅から最も近い山域ということで、私に登山の楽しさを教えてくれたのは奥多摩である。おおよそ二十年前から足しげく通っているので、〇〇尾根から〇〇谷を抜けて等々、文中に出てくる捜索現場の七割以上はすぐに情景までが浮びあがる。さらにリアルを深めるために、読書の最中は常に昭文社の“山と高原地図”を脇に開いておいた。
―こんなところを下ったんだ……
―このコース、今度歩いてみるかな。
―何度も歩いたあの登山道から滑落なんて……
―これはありえる。気をつけねば。
―焚火しながらビバークね……
 ページをめくるに従い、文中の世界へと引き込まれていった。

 これから登山を始めようとする人はもちろん、十年、二十年のベテラン組も、ぜひ一度この本を手に取って、まずは普段見ることのない登山の裏側事情を知ってもらいたい。<遭難なんてするわけないよ>と思う気持ちのすぐ隣に“隙”という穴が開いていることを具体例と共に認識できるはずだ。
 後半は急増している中高年の登山者についての記述が中心になる。私も本年七十歳をむかえる高齢者のひとりなので他人事では済まされない。
 体力および判断力の低下、そして持病等々、加齢と共に登山への適応力は確実に減退していく。自分ではまだまだと思っていたが、この流れに抗えるはずもなく、一度真剣に山との関わり合いを再考する必要性ありと痛感した。

金 邦夫(こん くにお)
1947年:山形県生まれ。高校時代から山に目覚め、東北の山々を登る。
1966年:警視庁警察官になり、1970年に警視庁山岳会「クライム・ド・モンテローザ」を設立。
1977年:ヨセミテにおける山岳救助研修に参加。機動救助隊、五日市市警察署山岳救助隊、レンジャー部隊などを経て、1994年から青梅警察署山岳救助隊副隊長として奥多摩に勤務。
2003年:警視庁技能指導官(山岳救助技能)の指定を受ける。警察功労賞、警視総監賞詞、人命救助の功績による警視総監賞など受賞多数。
2008年:定年退職。以後再任用、嘱託員(山岳指導員)として後進の指導にあたる。
2013年:山岳救助隊退任。
2024年3月23日:心筋梗塞により急逝

Leica・ライカ

 カメラ好きの諸兄ならば、Leica・ライカと聞くと、何かしらのイメージが脳裏で弾けるはずだ。高価、趣味、デザイン、長い歴史等々と、個人によって様々だろうが、一般的な撮影道具として考えた場合、やや離れた立ち位置にあるということが、共通の印象ではなかろうか。
• 高価すぎて、入手の選択外。
• 価格に見合う性能があるのか?
• CPを考えれば、迷わずメイドインジャパン。
 と、こんな意見が出てくるはずだ。

 さて、時計の主目的は正確な時刻の表示。ごく当たり前のことだが、これを踏まえて、シチズンの電波腕時計<50,000円>とロレックスの廉価版エクスプローラーⅠ<1,650,000円>を比較すると、何とも悩ましい思いが渦巻く。
 ロレックスのムーブメントは自動巻きだ。いかに精度高く製造しても、その構造上、例外なく三日に1~2秒は狂うもの。対照的に電波時計は何年使おうが1秒も狂わず、絶えず正確な時刻を示してくれる。基本性能に対するこの圧倒的な差があるにもかかわらず、ロレックスの支持は変わることがない。
 両社はいわば【ブランディングの覇者】なのだ。
• 芸術品のような美しいボディ。
• 比類ない耐久性。
• 高い精度とブランドの信頼性。
 上記の文言は、Leicaとロレックス共にピタリ当てはまる評価だが、この両社製品の“主目的”を絶賛する記事は、あまり見当たらない。

 うちの“Leica”。ついつい見とれてしまう。歴史が作ったデザインとでもいうのだろうか、風格さえ漂ってくる。
 ボディに収められるフィルムも、うっとりとする甘さなのだ。