白黒写真は何ともいえぬ深い味わいがあり、見入ると不思議に心が落ち着く。もちろん写欲をそそられることは言うまでもない。ただ、色がないだけに、きれいな花を単純に被写体として選んでも、殆どつまらない画になってしまう。やはり白黒に適した被写体選びや設定を念頭に置かなければ、納得のいく画を切り出すことは難しい。
まずシーンとしては、光と影のメリハリに富んだコントラストやや高め、という条件を狙いたい。逆光の中も面白いかもしれない。そして被写体には人工物・人工構造物をおすすめする。都市部の町中では、次から次へとターゲットが発見できるので、歩いているだけでうきうきしてくるし、構造物に人が絡めば言うことなしだ。
見栄えのいい白黒作品の殆どは、全体的に暗いイメージのものが多い。アンダーな露出を選ぶのは前述の“光と影のメリハリ”が出やすくなるからだ。場面々々にもよるが、露出補正は大胆に▲2.0~3.0ほどでもいいだろう。私は普段の撮影でも▲0.7~1.0ほど補正をかけることが多く、これは理想的なレタッチを行う際に不可欠な白飛び防止のためだ。