NOMAD・自転車通勤

自転車通勤を始めて早14年が経とうとしている。出勤時に雨か雪が降っていない限り、愛車を駆り往復16kmの道のりを走ってきた。その愛車とは米国MTBメーカーの雄、GT社のNOMAD(ノマド)。通勤用だからと最廉価盤を購入したが、乗ってすぐにわかるバランスの良さは、運転の楽しさに溢れ、通勤だけではなく、オフには多摩湖サイクリングロードを快走☆ 往復30数kmのサイクリングを何度となく楽しんだ。よって14年間の累積走行距離は少なく見積もっても40,000kmに達し、これまでに交換した部品を列挙すると、タイヤ&チューブ8セット、チェーン1セット、ブレーキシュー&ブレーキワイヤー5セット、ボトムベアリング1セットとその使用頻度を物語る。
しかしそのNOMADもさすがに各部からガタが出始め、全てメンテすれば簡単に見積もっても車体購入時ほどの金額が掛かってしまうので、仕方なく新たな相棒を物色することにしたのだ。
そんな中、友人のTくんから電話があった。

「今度折り畳み自転車を手に入れるんで、うちのクロス、貰ってくれませんかね」

もちろん快諾! 渡りに船とはまさにこのことだろう。
しかもTくんのクロスバイクはお洒落なルイガノ。

「近いうちに車に載せて店へ行きますよ」

やった! ラッキー☆

思い起こせばNOMADは本当に良き相棒だった。最初は荻窪にある職場までの自転車通勤に少なからず不安があったが、思い切ってNOMADで行ってみれば、クロスバイクの持つ良好な機動性が予想以上の快適通勤をもたらし、最初の二日間こそやや疲労を感じたものの、その後は三日坊主どころか、気が付けば完全に自転車通勤は定着していたのだ。それまではヤマハの125ccスクーター・アクシスを愛用していたが、店までの所要時間を比較しても5~6分しか差がなく、現実的に十分な通勤手段と言ってよかった。
スクーターでは見えなかった街並みや人の動きに興味津々となったり、一方通行の道も自転車ならガンガン行けるので、最短通勤コースを模索したりして楽しんだ。
更に毎日ペダルを漕ぎ続ければ、細やかではあるが運動不足の解消にもつながり、健康維持としての役目もしっかりと果たしてくれたと思う。事実、飯は旨くなったし、ベッドに入れば即バタンキューと理想的な睡眠が得られた。

但し一方では、自転車を取り巻く環境に大きな危険性が孕んでいることを身を持って経験、数々の問題点が露わになってきた。
具体例は山ほどあるが、問題点の根本は【車・バイクにルールあり、歩行者・自転車にルールなし】である。
これについては4年前に書いた投稿「自転車事故」< http://gavin.perma.jp/?p=1047 >に詳しく記した。
自転車は道交法上「軽車両」でありながら運転免許証は不要。即ち、交通法規を全く知らなくても運転してよいということだ。
両耳にイヤホンを差し込み、更にスマホを見ながら堂々と道路の右側を疾走!なんて様は日常茶飯事。事故が起こらない方が不思議である。
ある日の通勤時、そのものズバリな女が前方から急速接近。思わず「危ねえぞぉぉ!!」と叫んでみたが、女が視線を上げた時には既に衝突寸前の至近距離。何とか左へ回避して正面衝突は免れたが、双方のハンドルエンドが接触、振られてあわや転倒と緊張したが、女も自分も何とか持ちこたえた。
この一件から、自転車社会に潜む危険性を身に染みて感じ、通勤時には必ずヘルメットを着用するようになった。
もちろんハッとした一瞬はこれだけではない。数えれば両手の指だけでは足りないほどある。
13年間の自転車通勤で得られた結論は、交通量の多い幹線道路は除外しても、なるべくルール下である車道を走ること。そして自転車専用道や歩道を走らなければならない場合は、普段の2倍の注意力を発揮することだ。

役目が終わり、次世代へとバトンを渡したNOMAD。武蔵野クリーンセンターへ向かったのが最後の乗車になった。
受付で職員が無造作にNOMADを処理棟へ向かう軽トラックに載せた時は、さすがに思いが込み上げた。
ありがとう!NOMAD☆


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