夏が迫ってきた。行動的な季節の到来である。
暑い暑いとぼやいても、私は夏が好きだ。気持ちが前向きになり、無性に冒険心が湧き出てくるのはこの季節だけだ。おまけに<夏 = 夏休み>という連想が働くのか、ちょっぴり気持ちが若返るところも嬉しいもの。
恒例にしている“夏の一人旅”は、この膨らむ冒険心がもたらすとっておきのイベントだ。
2013年8月。八ヶ岳最高峰【赤岳】へ登った際、改めて八ヶ岳界隈の夏風景に魅了された。
北八や南八の山々はもちろんだが、広大な裾野に広がる別荘地や田園地帯も素晴らしいもので、中でも標高1300mの山麓に広がる総面積273haの八ケ岳中央農業実践大学校は魅力的なポイントが満載だ。
校内にある新鮮野菜や乳製品の直販店には、いずれも裏切られることのない上質な品々が並び、リピーターが多いのも頷ける。数年前にバイクツーリングで立ち寄った時に食したソフトクリームは、正直うまかった。
校内を巡ると畜産関連の授業も行っているのか、多くの山羊や牛が放たれていて、その愛くるしい姿に思わず笑みがこぼれる。
広い校内から東へ向けば雄大な八ヶ岳連峰が迫り、そして遠く西にはアルプスの山々を眺望できるすばらしいロケーションは誰をも魅了すること間違いない。
― こんなところに、、、
駐車場を出て西へ進むと、間もなくして右サイドに池が見えてきた。一見何の変哲もない光景と思ったが、車から降りて湖畔まで歩み寄ると、背後の森が湖面に映り、神秘的な様相を放っていた。
こんな池の一つ一つが山麓全体の魅力を担っているのだろう。
東京から車で2時間も飛ばせばこの夏風景を眺められるのが八ヶ岳の良さ。これまでに何度も足を延ばせた一番の理由である。