次の連休は山歩きを予定していたので、ここのところ出番がめっきり減っていたV2を磨いておこうとカメラケースから取りだした。
グリップゴムに若干の使用痕はあるものの、アウトドア専用として酷使している割にはきれいな状態を保っている。軽量コンパクトのボディーは山歩きに必要不可欠な性能であり、これに慣れてしまうと、D600を持ち出す気にはなれない。
あらかじめフル充電していたバッテリーを装着して電源を入れた。
「うん?」
何故かモニターがオンにならず暗いままだ。何ヶ月も使っていなかったので設定が狂ってしまったか?
恐々設定ボタンを押すと、瞬時にモニターが起動。ちょっとほっとした。
全ての設定をリセットした後、ついでにSDカードも初期化した。一旦電源を落とし、気を取り直してオン。
「ダメだ…」
EVFを覗いても同じく真っ黒。ところが良く見ると微かに映像は映し出されている。但、合焦はできないようで、シャッターは下りない。
ついにV2はお釈迦か…
最後の頼みとして、V2のトラブルに関してググっていくと、面白い記事を発見。
http://www.nikon-image.com/support/whatsnew/2015/0203.html
【1 NIKKOR レンズ「1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6」ご愛用のお客様へ】という題名で、まさに私のV2に装着してあるレンズに関してのリコール記事だったのだ。
と言うことは、この故障は若しかするとV2本体によるものではなく、レンズトラブルの可能性も出てきたわけだ。あわよくば無償修理が適用になるかもしれない。
こうなるとニコンサービスに行ってみる他なく、たまたま翌日に休みを取っていたので、さっそく新宿サービスセンターへ持ち込んだ。
新宿西口エルタワー28階にあるニコンサービスセンターは、THE GALLERY(写真ギャラリー)を併設しているのでちょくちょく足を運ぶお気に入りの場所。A1等、大判に引き伸ばされたプロやハイアマの作品は実に見ごたえがあり、且つ勉強になる。
エレベーターを降りると眼前に新宿の街並みが飛び込んできた。
西武新宿駅方面から東口までが、まるで箱庭のようだ。更にサービスセンターへ入ると、今度は眼下に中央公園を置いて、東京の西方面を遠くまで見渡すことができる。
整理券を取るとすぐに呼ばれたので、症状やリコール対象のことを詳しく伝えると、担当者が徐にチェックで使うミラーレス機を取りだして、持参した1Nikkor10-30mmを装着、電源を入れた。
やはりV2と同じ症状が出た。
「レンズが原因のようですね。このレンズは未対策なので、無償修理対象です。ただちょっと、ズームの部分にガタが出ているのが気になります」
これまで気が付かなかったが、係員が差し出した色違いの同レンズを触ってみると、なるほど、そのガタが分かる。
「今回の症状がこのガタによるものだと、有償になります」
「予算的には?」
「8,000円前後ですかね」
なんとも微妙な数値だ。新たにレンズを入手しようとすれば、中古品でも8,000円ではとても手が届かないので、ここは素直に修理依頼することにした。
「お届けまでに10日間から2週間ほど掛かります」
一応リコール対象品なので、送料は無料とのことだ。
V2は我が写道楽に欠かせない機材となっているので、修理は致し方ないことだと思うが、それにしても品質と信頼のNikkorレンズが、こんな容易く壊れてしまうとはちょっとがっかりである。
活況を帯びるミラーレス市場で、天下のニコンが苦戦を強いられているのは周知の事実。1Nikkorの戦略が良いか悪いかは別としても、カメラ業界全体がようやく掴んだ進むべき方向に対して、ニコンだけが右へ左へと迷走しているように見えるのは、恐らく私だけではないと思う。