秋雨前線がもたらした甚大な被害、そして早朝のドキッとした揺れ。
強大な力で襲いかかってくる自然の猛威には、何人たりともたじたじである。
こんな中、最近ちょっと気になることがある。
ここ数年、気象庁の発表する文言の中に、「経験のない」「これまでにない」「観測史上」等々が連発し、被災された方々へのインタビューでも、「50年住んでいて初めて」「こんな酷くなるなんて考えてもみなかった」等が必ずといって飛び出している。
これは災害危険性が確実に増大している証しであり、言い換えれば、自然現象に【想定外】が頻発していることなのだ。
となると様々な危惧が想定され、早急に国が対策を講じる必要があるのは言うまでもないが、その際一番に考えなければならないのが原発再稼働だと思っている。
先日、川内原発が再稼働を果たしたが、その安全性はどれほどのものだろう。
原発再稼働には新たに定められた【新規制基準】をパスしなければならない。
項目には、“テロ対策”、“電源・原子炉冷却設備の多重化”、“過酷事故対策”、“津波対策”、“火災対策”、“地震対策”等々が羅列され、それぞれには具体的な新基準が設けられている。
冒頭にあるちょっと気になることとは、この新基準が実際に強力無比なものなのかが非常に疑わしいところだ。
例えば、新たに追加された項目に【テロ対策】があるが、原子力規制委員会はテロの定義をどの様に捉えているのだろう。過激派が米軍基地へ飛翔弾を打ち込むレベルだったら、これはかなり心配である。
【過酷事故対策】に関しては免震重要棟について言及しているが、この免震重要棟、一般的な定義として、“震度7クラスの地震が発生した場合においても、緊急時の対応に支障をきたすことがないよう、緊急時対策室および重要な設備を備えた建物”とあるが、これだけでは意味不明で心許ない。もし震度8クラスが襲っても絶対に大丈夫なのだろうか。
また、格納容器が壊れた際に、放射性物質の飛散を押さえる“放水砲”なるものの設置が義務づけられたが、消火には対応できても、果たしてこれで放射能の飛散を押さえることなどできるのだろうか。放水した水は汚染され、そのまま海へと流れるだけではないのか。
この辺も含めて、もっと市民に分かりやすい説明が望まれる。
<新規制基準>
■テロ対策 ⇒ 緊急時制御室
■電源・原子炉冷却設備の多重化 ⇒ 非常用電源、水源タンク、2系統の外部電源、電源車/消防車
■過酷事故対策
⇒ 免震重要棟「免震、自家発電、放射線遮へい機能を備え、事故時の作業拠点とする」
⇒ フィルター付きベント「大気中への放射性物質の放出を押さえながら原子炉の圧力を下げる」
⇒ 放水砲「格納容器が壊れた際に、放射性物質の飛散を押さえる」
■津波対策
⇒ 防水扉「防潮堤を乗り越える津波に備え、重要機材を守る」
⇒ 防潮堤「想定される最大の津波を防ぎ、敷地内の浸水を防ぐ」
■火災対策
⇒ 防火設備を強化「燃えにくい電気ケーブルの使用や防火扉の設置」
■地震対策
⇒ 地下構造の詳細調査
⇒ 活断層「活断層が露出した地盤の真上に重要設備を設置するのは禁止」
40万年前まで遡って活断層を調査