ちょうど一年前の十月。階段の上り下りで突如膝に痛みがでた。以前も二度三度同じような症状があったが、たいがい一週間から十日ほどで引いていたので、それほど気には留めなかった。ところが待てど暮らせど良くなる気配がない。痛みの部位が違うのか、はたまた原因が違うのか。自分ではどうしようもなく形成外科を訪ねた。
「写真を見る限り、変形性膝関節症ではないようですね」
物々しいレントゲン写真へ目を凝らす。関節の隙間はきれいで、素人目にも潰れているようには思えない。
「じゃ、痛みはどこからですかね?」
「大腿筋の下部かもしれません。このお皿(膝蓋骨)の下あたりです」
「……」
「ステロイドの注射でもしときます?」
「いやいや、けっこう」
原因が絞れる前にステロイドとはいささか乱暴な話だ。
「膝サポーターが効果的な場合があるので、試してみたらどうです」
結局ドクターお勧めサポーターの提示と、湿布の処方で終了した。なんともすっきりしないやりとりだったが、勧めてもらったサポーターは即入手し、二週間分もらった湿布もしっかりと張り続けた。
そして一週間が経過。湿布は風呂上がりに貼るとスッとして気持ちがいいだけ。そして四千円もしたサポーターは全くの無駄。それどころか圧迫感がさらなる痛みを呼ぶような感じで、装着二日後にはお役御免とした。
さて、これからどうしたものか……