膝の具合 Part 7 ランニングシューズ

 階段の上り下りで右膝に痛みが出て、それがなかなか治らず、診てもらった武蔵境にある形成外科医院のドクターから、「適度な運動は膝の回復に役立つ」と言われ、荒療治にならないよう気をつけながらウォーク&ジョグを進めてきたが、なんだかんだ一年間めげずにやり続けてくると、それなりの効果は出てくるものだ。残念ながら完治には一歩いたらないが、普段の生活に支障をきたすことはなくなり、登山でもハードな山行は避けたり、大きなステップ等々を踏み込む際に、ちょっと意識するだけでほとんど問題は感じなくなった。
 膝痛は悪化させると自然治癒は望めず、治療は外科的手法のみとなってしまう。年配者によくみられる変形性質関節症は、放っておくと悪くなる一方だし、よく耳にするヒアルロン酸注射による治療は一時しのぎにすぎない。根治には人工関節、骨移植等々の外科的手法に委ねなければならない。ただ心に留めておきたいことは、初期の段階であれば、前述のように適度な運動を続けることで、進行を遅らせたり、はたまた止めることも可能だということ。痛いから歩かない動かさないは、さらに悪化させてしまうので絶対に避けたい。関節を支える筋肉を鍛え、さらにはスムーズに動くよう柔軟性を与えてやれば、根治に近いレベルまで回復させることも夢ではないのだ。ただ症状が初期の段階かどうかを見極めるために、一度受診すべきは言うまでもない。

 13か月フルに使ったランニングシューズがかなりやれてしまい、そろそろ潮時と新調した。やれたシューズは当時ヤフオクで手に入れた“アシックス GEL-NIMBUS 24”。新品で購入すれば17,600円もする本格派。これを、使用歴二回、足に合わずという新同品を半額以下で手に入れたのだ。ゲルがたっぷり入ったソールはクッション性が高く、痛めた右膝をかなりカバーしてくれた。ただ、ジョギングとウォーキングを混同させる私のやり方だとウォーキングの際、あまりに柔らかいソールゆえに、左右のふらつきが出てしまうのだ。踵からついて、カチッカチッカチッっと歩きたいのだが、それができない。ジョギングについては、ローペースで歩幅を小さくとる負担の少ない形なので、膝の調子が戻りつつある現況を考えれば、むしろ本格的なランニングに特化したシューズでないほうがマッチするのではという結論に達した。しかもGEL-NIMBUSは軽量化を重視するために、素材に耐久性をあまり考慮しないのか、ふわっと柔らかいソールやインナーの踵まわりの消耗がずいぶんと顕著に出てきたのだ。

よくぞここまで使ったもの。ソールの素材はびっくりするほど柔らかい。
インナーのファブリックも極めて柔らかく、すぐに擦れ穴が開いてしまった。

 こうして新調したのがアシックスの最廉価盤である“JOLT 3”。価格は5,000円強とGEL-NIMBUSの三分の一。安すぎ?にやや不安だったが、使ってみるとこれが大正解。ウォーキングの快適さはぐっぐっと向上、走れば適度なクッション性だって感じられる。やはり高級ランニングシューズってものは、マラソン大会を目指すような本格派ランナー向きに設計されているのだ。

膝の具合 Part 6

 話は昨年の夏。
 雨が降らない限り毎日のウォーク&ジョグを休むことはなかったが、日に日に上昇する気温はいやおうなしに体力を奪い、気持ちは徐々に萎え始めていた。

 私は生まれつきの汗っかき。こんな季節は歩きだすとすぐに汗が噴き出る。だからウォーク&ジョグ前には必ず500mlの水を飲むことにしている。帰宅してずぶ濡れになったTシャツを脱げば、乾いている部分は見当たらず、力任せに絞れば勢い良く汗が床へと滴るほど。もし水分補給をせずに走り出したら、冗談抜きで脱水症状に陥るだろう。
 陽が落ちても焼け石のようになった路面はいつまでも熱を発し続け、体力を回復させる最良の方法である睡眠をしっかりとるのも難しい状況だ。
 ある日のこと。
 浄水場の正門からジョギングにチェンジ、六中~三鷹通り~都営住宅と抜け、GAKKEN保育園の角を曲がったところでいつものようにウォーキングに戻すと、突然息苦しさと脱力感を覚え、足も思うように前へ踏み出せず、立ち止まって大きく深呼吸を繰り返しながら回復を待つなんてことがあった。軽い熱中症もしくは脱水症だったかもしれない。当然ウォーク&ジョグは日中を避け、陽が落ちてから行っているが、体が夏の気温に慣れるまでは、毎度1.5Km以上キープしていたジョギングを中止にし、ウォーキングオンリーに変更した。

膝の具合 Part 5

 健康に気を使ったり、体を鍛えてる人はさぞかし多いことだろう。そんな人達の気持ちはよくわかる。私自身、快調な心と体を維持することは、決して大袈裟ではなく、人生を歩むうえで最も優先すべきことだと思っているからだ。ただ、活力に満ちた日々を追い求めれば、それが消滅したときの失望は大きい。求める気持ちが強すぎれば強すぎるほど、トラブルが生じた際の精神的ダメージは計り知れない。
 現に張り切りすぎてトレーニングがオーバーロードになり、それによって膝や腰などを壊してしまう人は少なくない。特に私のような高齢者は要注意。若いころと違い、ある程度を越えて痛めてしまうと元には戻らず、その時点でアウトである。
 今年の春ごろだが、実際、危なかった。
 ジョギングが可能になると一気にテンションは上がり、少しずつだが距離を伸ばしていった。そんなある日、よくなりつつあった右膝に再び痛みが出てしまったのだ。
 気持ちだけが先行し、限度以上の負担をかけていたのだろう。結局症状を鎮めるまで、二週間以上のジョギング休止が必要になった。
 誰に“年寄りの冷や水”と言われても一向にかまわないが、肝に銘じるべきことは己のコンディションを掌握すること。これさえ念頭におけば、七十代でも楽しみながら体を鍛えられるのだ。