12月6日(木)午後。殆ど落葉となっていたが、地元の井の頭公園で撮影を楽しんだ。
訪れると不思議に気分が落ち着くこの公園は、大好きな街“吉祥寺”の一部として若い頃より親しんでいる。
立地、景観、流れる空気、どれをとっても馴染み深く、いつだってホッとするひと時を与えてくれるのだ。
公園駐車場から坂を下っていくと、公園の風景に溶け込むように佇む井泉亭が左手に見えてくる。老人4人がテーブルを囲んで何やら会食中だ。
向かいの弁財天は平日なのに多くの人で賑わっていた。ここにも外国人観光客が訪れていてちょっとびっくり。先回の大月・猿橋と言い、彼らの観光情報検索は日本の隅々にまで至っているのだろう。しかし裏返せば、彼らが日本に興味を失ったら、外資獲得には大きな痛手となるだろう。
池の畔まで来ると想像以上に水が澄んでいて、これも“かいぼり”の効果だろうかと感心した。但、せっかく透明度がアップしたのに落ち葉が水面を覆いつくして、ぱっと見はちょっと汚らしい。
そのまま池の南側を歩いていくと、左手の水生物園にそびえ立つ背の高い樹木が目に入る。
彩度の高い赤茶色は、モミジの赤とイチョウの黄色、そして常緑樹の中に混じって存在感を打ち出している。
こうした様々な色合いが目を楽しませてくれるのも井の頭公園ならではだ。
更に東へ進むと、同じような樹木がひょうたん橋脇にそびえていて、まるで池を囲む東側の壁のようだ。
そもそも井の頭池は、西側、北側、南側の住宅地より10m近く落ち込んだすり鉢状の中心に位置し、池の水は神田川の源として東端から流れを発している。公園に降り立った時、包み込まれるような安堵感を覚えてしまうのはこの地形が醸し出しているのだ。
池の北側に歩を進めると、冬の花“スイセン”が可憐な姿で迎えてくれた。花弁の白と黄色のコントラストは個人的に大好きで、この花を見つけると反射的にレンズを向けたくなってしまう。
伊豆の話になるが、この季節になると、いたるところにスイセンとアロエの花が咲き乱れ、伊豆ならではの風景が目を楽しませてくれる。
七井橋が見えてくると、チラッと右方向へ目が向いた。なぜかと言えば、数十年来の馴染み店“いせや公園店”があるからだ。
ここは私の昼飲みの拠点であり、数十年来から足繁く通っている。
今年の2月に長年据え置きだった焼き鳥一本80円が90円へと値上ったのはちょっとがっかりしたが、90円にしたって安いことに変わりはなく、もちろん味は伝統を守り続けている。
ネットでは従業員の大柄な態度が指摘され、最悪の接客等々で叩かれているが、あの手の居酒屋に丁寧なもてなしを求めるのは筋違いであり、それをも含めていせや全てを呑み込むような常連客達に支持されればそれで良しなのだ。
論より証拠、創業60年の実績が物語っているではないか。
ミックス焼き鳥(4本)360円に大徳利600円。ほろ酔いを楽しみ1,000円でお釣りがくる店は中々お目にかかれない。
今回も寄りたかったが、車で来ているので我慢我慢である。
いせやから視線を戻すと、平日には珍しくストリートパフォーマーが人だかりを作っていた。
素通りしようとするといきなり盛大な拍手が上がったので、振り向くと5本のスティックが見事に宙を舞っている。足が止まり、ついつい見入った。彼の名は“鈴木拓矢”。トークにも動きにも惹かれるものがあり、演技が終わると躊躇なしに投げ銭箱へと手が入った。
午後のひと時をこれだけ充実したものにしてくれるのは、この公園が持つ魅力に他ならない。
それに地元で四季の変化をしっかりと被写体にしてくれるところは数少なく、私にとっては貴重な場所となっている。
次回は自転車で訪れ、撮影といせやの昼飲みをダブルで楽しみたい。