4月4日から放映がスタートした、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。ここでは早くも父親の竹蔵さんが放つ数々の名言が話題となっている。
中でも、
「当たり前にある毎日でも、それはとっても大切な一瞬の積み重ねだと思っています。そしてそれは、いつ失うことになるか分からない。明日かも知れないし、一年後かも知れない。」
胸にジーンとくる台詞である。
ひと昔前だったら恐らく何も感じない一節だろうが、昨今では、「今日の後に今日はなし」、「歳月人を待たず」、「光陰矢の如し」等々の意味合いに対し、妙に過敏になる自分がいるのだ。
治る気配のない右手甲の打撲痛。年始から引きずる腰痛。右目の違和感。軽い筋トレにも喘ぐ体。不調の続く鼻…
緊急を要する怪我や疾病はないものの、加齢による体全体のへたりは明らかに進行しており、昨年歩き回った山々を思い出しては、今年も同様に楽しめるのか?!などと、しょうもない不安に駆られることもあり、
情けないが、これまでの人生には存在しなかった“初の変化”に対し、真摯な姿勢で対峙する時がきたと感じている。
【人生一度】
祖父の放った一言だ。
初孫だった所為か、とても可愛がられていたので、晩年になっても二人で良く会話を楽しんだものだが、その中で彼は「人生は一度しかないから、好きなようにやった方がいい」と幾たびも語っていたことを思い出す。
但、若い頃はそんな重みのある言葉も右から左で、心に留まるようなことはなく、寧ろ老人の回顧に浸るつぶやき程度にしか感じなかった。ところが若かった私も歳を重ね、こうして体力の衰えがはっきりと自覚できる年齢になると、何の抵抗もなくその意味合いが体に入ってくるのだ。
ー そう、人生確かに一度きり。
と。
今時の還暦はまだまだ若造。何にだってトライできるし、必要最低限の体力も残されている。しかし人生のピリオドが現実味を持って視野に入ってくるのもこの頃なのだ。