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八重山そば

takenoko

写真は竹富島を訪れた時に立ち寄った、“そば処・竹の子”である。
この島で“そば処”といえば、もちろん八重山そばの店になる。
蕎麦粉を使った一般的なそばとはまるで異なる風味と食感をもつ八重山そばは、そばと言うより、鰹の出汁がベースとなった“肉うどん”と説明した方が現実に近い。
八重山そばは沖縄そばの一種であり、レシピに若干の違いがあるものの、作り方の基本はほぼ同じだ。
その沖縄そばを初めて食した時、意外にインパクトは弱かった。ところが東京へ戻ってひと月もしないうちにまた食べたくなってきた。
沖縄料理はこの他に、チャンプルー、ラフテー等、いずれも美味しくいただいたが、後日思い出されるのは沖縄そばだけで、恐らく独特なスープの香りがしっかりと脳裏に刻まれたのだろう。
その後仕事で二度ほど沖縄へ出掛けた際も、帰りは必ず那覇空港で沖縄そばを楽しんだ。

竹の子のそばは評判どおりだった。
これまでに経験した沖縄そばと較べると、ややあっさりとした印象を受けるが、出汁の旨みは充分納得のできるレベル。腹が減っていたので真剣におかわりを考えたほどだ。
しかし、食へ過ぎで印象が落ちたらオーナーに失礼なので、ここは腹六分で我慢した。

南国でも10月になれば陽光は優しくそそぐ。
ビーチサイドのベンチに腰掛けて島内地図でも広げれば、海風が心地良く頬を撫で、ついウトウトとしてしまう。この穏やかな寛ぎ感は大変なご馳走だ。
日がな一日、レンタル自転車でのんびりじっくりと島内を回ってみた。

遠い南の地

手つかずの河口

これは石垣島の、とある河口で撮影した一枚だ。
時期は2005年の秋だから、もうかれこれ10年近く前のことである。

八重山諸島は憧れの地。
沖縄本島を初めて訪れた時も、その異国情緒豊かな雰囲気と目映いばかりの海と空の青さに圧倒され、尋常でない高揚感を覚えたものだ。
そんな魅力溢れる沖縄の遙か彼方、南西方向500kmに浮かぶ未知の島々には一体どの様な光景が広がっているのだろうと、想像は日に日に膨らみ続け、いつしかそれは期待へと変って行った。

人の手が全く入ってない河口。つまり河川工事や護岸工事が施されていない自然の姿。
これには感動だ。
河口であっても水は澄み渡り、川面へ目をやると無数の魚を目にすることができる。マングローブの群生も南国の雰囲気を大いに演出してくれる。
川沿いに砂地を歩いていくと、足元をカニが駆け足で横切った。
ふと子供の頃の“沼津”を思い出す。
何とも長閑な空気に包まれた時、現実を離れ、遠い南の地に下り立っていることを実感させるのだ。

さて、いつ行こうか、西表島。

酒を親しむ

daiba_aqucity

東京湾の夜景はお台場“アクアシティー”の駐車場から撮ったものだ。
偶然見つけたこの場所だが、なかなか上等な景観を味わうことができる。
人工の光りに浮かび上がるベイエリアは、夕暮れ時に最上の艶やかさを放ち、見とれているとついつい時間の経つのを忘れてしまう。
品川埠頭、屋形船、そして自由の女神もいいが、階下のガーデンテラスも賑やかでいい。アフターファイブに海風を感じながら飲むビールはさぞかし美味いだろう。

ビールと言えば、若者のビール離れが加速しているそうだ。
聞いたところによると、驚くことにあの“苦味”に抵抗感を覚えるらしい。ビール党からしてみれば非常に嘆かわしい話になる。
そもそも居酒屋で大いに飲んで語る若者の姿もずいぶんと少なくなったような気がする。
少子化の問題はさておいても、“酒を親しむ”というステータスと文化が、若者の世界から消滅しつつあるのではなかろうか。

朝夕はだいぶ涼しくなってきた。
秋刀魚が恋しくなる季節である。
美味い吟醸酒と合わせて楽しめればこの上ないことだ。