義母が四度目となる心臓血管カテーテル治療を行った。先回からちょうど一か月ぶりだ。担当医師の説明を聞きにふたたび女房と沼津までドライブである。
石が詰まった血管をカテーテルによって治療する医師は数多くいるが、なんでも担当のHさんは、国内で四十傑に入る名医とのこと。説明も明確でわかりやすく、とても好感が持てる。ちなみにカテーテル治療の技術は日本が世界一らしく、年に数回は海外の病院からお呼びがかかるというから凄い。
今回の治療内容と、予定では最後になる次回の治療についての話だったので、おおよそ一時間かかった。その上処方薬の出来上がりに三十分ほど待たされたので、病院を出るときには腹ペコがピークに達していた。しかしこの後、義母の介護申請の件で地域包括センターへ出向かなければならず、もうしばらくランチはお預けである。
「あー、お腹すいたぁ、もう限界」
「おれも~」
「沼津に“さわやか”できたから行こうよ」
「がっつり食うか」
さわやかとは静岡県下にしかないハンバーグのチェーン店で、ちょうど十年前に富士市の店で食したことがあった。挽が荒く、ステーキに迫るボリュームで、味もジューシーこの上ない。ランチタイムでは常時十数人のウェイティングになるようだが、これも頷ける。
市役所の脇から狩野川を渡り、学園通りへ。
「もうすぐのはず」
すると前方左側にさわやかの看板が目に入る。
「空いてるといいね」
減速して駐車場へ入ろうとハンドルを切ると、
「おえっ! 定休日だぜ」
さわやかはファミレス然とした記憶があったので、定休日は予想だにしなかった。後にHPで調べると、昨年九月より毎週木曜を定休日と定めたようだ。
「あー、もうなんでもいいから食べたい」
「じゃ、王将行く?」
「あそこだけは嫌。油があたしに合わないのよ」
女房のやつ、この間武蔵境の王将でラーメンを食べたら、胃がもたれてしょうがなかったらしい。しかし、それって、油なのかよ?!
国道を左折してグルメ街道へ。
しばらく行くと“手打ちラーメン 豚平”の看板が目に入る。
「ここにしちゃおう」
午後二時を回っていたが、広い駐車場は七割がた埋まっている。暖簾をくぐると左側に食券の自販機があったので、手打ちラーメン、塩ラーメン、餃子のボタンを押した。入り口脇のテーブルへ案内されると十分も待たずに、
「おまたせしました!」
いい香りだ。鼻をくすぐる。
手打ちラーメンはさすが看板にうたっているだけあり、腰のある太麺がなかなかいい仕事をしている。昔ながらの飾らない醤油味は好みだ。一方、塩ラーメンは手打ちではなく一般的な麺である。
「王将にしなくてよかったね。ラーメンも餃子も美味しい」
次回の沼津行は来月末だが、またまた木曜日なので、さわやかは当分お預けだ。