サッカーワールドカップ2022 初戦

 久々に心躍る試合だった。
 グループE第1節で、日本は強豪ドイツと対戦。Situation的にもこの上ないカードなので、とくと観てやろうと、早々に入浴夕飯をすませ、麦焼酎のオンザロックを片手にTVの前に陣取った。
 試合開始からドイツの絶妙なパスワークが冴え、日本は防戦一方。たまにロングパスでチャンスをつかもうとするが、ことごとくインターセプトされ前へ進めない。ところが一瞬のスキをついて、伊東純也から繰り出した右サイドからのクロスに前田大然が猛然と食いつき、そのままゴールへと押し込んだ。
「うぉ!やった!!」
 と思ったらオフサイドフラッグ。これにはがっかり。
 防戦が続く中、キーパーの権田修一はナイスプレーを連発したが、混戦のゴール前で惜しくもファウルを取られPKを献上、先制点を許す。これほど強い相手に前半でビハインドをきすと、正直気持ちが萎える。ところがどっこい。選手たちは燃える闘魂を胸に宿していたのだ。
 後半戦がスタートすると、日本は同じ試合とは思えないほどアグレッシブな動きを見せ始める。ドイツの慌てふためきが手に取るようにわかるのだ。その後、堂安律がゴール前のこぼれ球を押し込み同点としたときには、おもわず椅子から立ち上がってしまった。
「よっしゃ~~!!!」

 深夜にもかかわらず興奮の一声だ。ここで麦焼酎のおかわりをするが、TVから一瞬も目が離せないほど日本の動きがよくなってきた。パス回しに軽快感が増し、リズムが乗った日本は、板倉滉が蹴りだしたロングボールに俊足の浅野拓磨がうまいことキャッチ、猛然とゴールへ向けて突進した。
「いけ!いけ!いけぇぇぇ~~!!!」
 興奮のるつぼとはこのこと。強力なブロックにあうが、気持ちが全く負けてない。守護神ノイヤーがゴールを阻むように身がまえた瞬間、この上なく鋭利なシュートを放つと、ボールはノイヤーの肩越しすれすれにゴールへと飛び込んだ。
「やったぁぁぁ=======!!!」
 逆転である。これには涙が滲んだ。ここから先、さらに目線は画面に釘付けになる。ドイツの猛反撃が始まったのだ。
「がんばれがんばれ、ふんばれふんばれ」
 手に汗握るとはこのこと。ロスタイム七分が表示されたときはまじめに脈拍が上がった。
「もうすこしだ!がんばれ!!」
 そして終了のホイッスルが鳴る。感無量だ。会場のサポーターといっしょに一喜一憂した九十分だったので、いやはや疲れた。でも、こんなさわやかな気持ちになれる疲労ってのはなかなか味わえるもんじゃない。
 チームジャパンには心からありがとうだ。


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