昨日(8日)の仕事帰り、ちょうど時刻が天体ショーの始まるころだったので、ちょくちょくと空を気にしながら自転車を走らせた。
いつものように武蔵野の森公園を横切っていると、案の定、空を見上げている人たちが大勢いる。三脚をかまえている人、スマホを夜空に掲げている人とそれぞれだが、月に向かってこれだけ多数の人たちが目を向けているところなど、これまでに覚えがない。
そんな人たちを眺めていると、これは特別なことなのだと、変に納得してしまい、あんまり月ばかりへ目線をやっていて、危うく車止めのアーチへぶつかりそうになってしまう。公園を抜けて、一般道へ出ても、同じように上を向いている人を多く見かけ、そんな予定は立てていなかったが、帰宅したらとりあえず撮影でもするかと、ペダルを踏みこむ足に力を入れた。
自宅に近づくにつれ、月食は今にもピークに届きそうになっていて、気持ちに焦りがてくる。到着した頃はまさに見ごろを迎えようとしていた。
「ただいま。ちょっと月撮ってくるよ」
自室に上がって、D3000にタムロンの70-300mm・A005が装着されていることを確認し、後は三脚を抱える。細かなセッティングをしている暇はないので、ISOもオートそのままで玄関口で三脚を広げた。夢中になって十枚撮ると、踵を返して写真専用PCに向かった。
取り出したデータをチェックしてみると、まともな画になっていたのはたったの一枚。それでも月が薄い赤茶で発色していて立体感も上々である。ただ、いかんせん300mmだとやや迫力に乏しいところか。
暗部に高感度ノイズが盛大に発生していたので、Photoshopで黒レベルを10%上げたら背景がうまくつぶれ、そのあと元画像を60%にトリミング。何とかみられる画となった。
月を被写体にすることはこれまでそれほどなかったことだが、やはり“442年ぶりの天体ショー”と銘打たれると、いちおう撮っておくかという気持ちになるもの。小市民と言われればそれまでだが、天王星まで捉えられていればな~と、変な欲も湧いてくるから可笑しなものだ。