青木ヶ原 ~ 足和田山

富ぅ~士わぁ、にっ~ぽんいちの~やまぁ~~
六月二日(木)は広い範囲で快晴との予報が出たので、たまには富士山の雄大な姿でも拝みに行こうかと、富士五湖のひとつである西湖へ行ってみることにした。
昨年の年末撮影会では、早朝の西湖北岸から富士山を狙ったが、その際、富士山の手前にあった山の連なりに、足和田山という富士山眺望に優れた山があり、色々なサイトで頂上展望台から撮った写真を見ているうちに、一度は行ってみたいと思っていた。

自宅を七時に出発、中央道をひた走る。道が空いていて気持ちのいいドライブではあったが、河口湖線へ入ってまもなくすると、ど~~んと現れた富士山は、悲しいかな盛大な雲に包まれていた。皮肉なことに、そこ以外は雲ひとつない晴天だというのに……
ただ、足和田山の頂上へ立つまでにはまだ大分時間を要するので、それまでに雲が消え去ることを祈った。

紅葉台レストハウスへ至るまでのダート道を慎重に上がっていくと、急に視界が開き、駐車場とレストハウスと思しき建物が見えた。時計を見るともうすぐ九時だというのに、車は一台も停まっていない。人気のあるエリアだとは聞いていたが、やはり平日は閑散としたものだ。さっそく出発準備にかかる。

一応人気のないレストハウスの周囲をぐるりとしてきたが、雲に覆われていなければ、ここからでも十分な富士山展望が可能である。それにしても高速道路から見た時と殆ど変化なしということは、他の被写体探しにスイッチした方が賢明だろう。
地図によると、駐車場から足和田山までのコースタイムは約一時間と出ているので、撮影をやりながらでも一時間半を見ておけば間違いなく行きつく筈。途中にある“三湖台”と称する有名なビューポイントが楽しみだ。
コースは東海自然歩道上にあり、とても整備されていて歩きやすい。しかもアップダウンの少ない林道が並行して伸びているので、帰りはこっちを選んでもいいだろう。森の中は新緑が目にも鮮やか。湿度の低い爽やかな空気感で、歩いていてもそれほど汗をかかない。左方面が明るくなったと同時に三湖台への道標が見えた。

おおおおお!!
展望台からの景観は圧倒的のひとこと。雲に覆われた富士山のことなどどうでもよくなるほどの大迫力。もちろん主人公は樹海だ。三十平方キロメートルという広大な広さを持つ青木ヶ原樹海は、ちょうど西湖、精進湖、本栖湖に包まれるように広がっている。分け入ったことはこれまでに何度かあるが、上方から見渡したことはこれが初めて。このインパクトはハワイ島で溶岩台地を見渡した時と同様のものであり、あらためて自然の力に驚くばかりだ。歩き始めてまだ十五分ほどだったが、暫しこの景色に見入ってしまう。

何度となくアップダウンを繰り返すが、傾斜が緩いので疲労感は少ない。それに空気がおいしいから気分が溌溂としてくる。登山というより、ここは気持ちのいいハイキングルートとしてお勧めしたい。途中、ちらりちらりと西湖の湖面が見えるところもGooなのだ。
次辺りが頂上だろうと目星をつけて力を振り絞ると、開けた空の方から人の声が降ってきた。頂上へ出るとジャージを着た中学生と思しき若い人たちが大勢たむろっているではないか。遠足かなと思い、展望台へ上がって休憩している女の子に聞いてみると、林間学校とのこと。見れば引率の先生たちも四~五人ほどいて、しきりに生徒たちへレンズを向けている。沼津市立第二中学校時代の林間学校は神奈川県の丹沢で行われた。きれいな川の畔にあったキャンプ場や、楽しかったオリエンテーリングを今でもはっきりと覚えている。この林間学校が沼津最後の行事となり、夏休み明けの二学期から再び東京へと戻ったのだ。

やはり富士山は雲に隠れていた。しかし今回は気持ちのいい空気感に終始包まれていたせいか、はたまた樹海の迫力ある景観を堪能できたからか、久々に気分のいい一日になった。
またナイスなところを探しに行こうか。


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