弱ったことに、階段の上り下り、特に上りで頻繁に右膝痛が起きるようになった。この症状は三年前にトライした市道山へのピストン後に発症し、いまだに治る兆しが見えてこない。刈寄山から市道山の往復には十一ものアップダウンがあり、ハードと言えばハードだが、長年に渡って膝にダメージを与えるほどではないと思う。体調が悪かったのか、はたまた故障しやすい年齢に達しているのか。ただ、このトラブルを少しでも軽減させなければ、山歩きはおろか、将来の日常生活にも支障をきたすのは目に見えている。足腰の衰えが原因となって、一気に老化とボケが進んだ両親が良い例だ。
膝痛に悩む年配者の多くは変形性膝関節症を患っているという。一年ほど前に、右膝からぎしぎしと変な音が出るようになり、近所の整形外科で診てもらったことがあるが、その際レントゲンを撮ってもらい、幸いなことに変形等々の異常は認められなかった。ただ、痛みは筋肉の力と弾力性の衰えに起因していることが多々あるようで、その対策として正しいスクワットやストレッチを習慣付けようと、今日に至っている。
スクワットは疲労をためないように一日おきとし、一度に五十回。ストレッチは大腿筋と脹脛の伸ばしで毎日行っている。効果の程はまだ実感できるレベルにはないが、膝関節の重みは軽減しているような気がする。とにかく継続が大事だと思うので、深いことは考えずにひたすら励行していくつもりだ。
こんな奮闘の中、不思議なことがある。痛みが出ても好きな山歩きは抑えられないので、先日も麻生山~日の出山と回ってきた。歩き始めは痛みが出ても、三十分も経つ頃には、ほとんど気にならなくなる。患部に物理的問題があるのなら、軽減どころかますます痛みがひどくなってもおかしくはない。しかも下山後三日間はすこぶる調子がいいのだ。ある種の逆療法にあたるのか、なんともこの経緯の解釈は難しいが、要は定期的に山歩きをしていれば“事なきを得る”といったところか。
話は変わるが、女房が手入れをしているモッコウバラが今年も盛大に咲き出した。咲き始めには丸く小さなつぼみが無数に出てきて、何度見てもその可憐さには目尻が下がる。西久保一丁目にはこのモッコウバラを植えている家が多く、この時期になると一斉に黄色が町を染めていく。
モッコウバラは鮮やかな花だが、桜と同様、年に一度の開花で最盛期も短い。一週間もすると徐々に色合いが褪せてきて、その様子は物悲しい。こんな時はいつも心の中で“おつかれさん”と呟く。