冬枯れの刈寄山

 寒い毎日が続いている。今期の冬はとりわけ寒さが骨身に染みる。
 通勤には相変わらず自転車を使っているので、季節の移り変わりはダイレクトに肌へと伝わってくるのだが、走り出して十数分経つと、手と足の指が冷たさを通り越して痛くなる。これでちょっと風が出てくれば耳まで痛み出す。早く春がやってきて欲しいと心の底から願う今日この頃だ。ただ、寒い寒いとは言っても、引き込んでばかりはいられないので、一昨日の二月八日に、冬枯れ真っただ中の刈寄山を歩いてきた。

 駐車場へ到着すると一台も車の姿がない。これは珍しい。いくら季節外れのウィークデーでも、大概一、二台は停まっているものなのだ。いずれにせよこれはウェルカムである。森を独占する静かな山歩きができると期待は膨らんだ。早速出発準備を始める。
 最近手に入れて、連荘で使っているローカットシューズは家に置いてきた。さすがに足元が寒そうで使う気になれない。履き慣れたモンベル・ツオロミブーツの紐をきちっと締めこむ。ズボンは冬用の防寒タイプにしたが、上半身は半袖肌着にネルシャツ、その上がウィンドブレーカーとやや薄着。おそらく歩きだせばこれでちょうどいいはずだ。

 頂上手前にある、南方面を俯瞰できる展望地に上がると、足が止まった。空気が澄み切り、これまでにない遠景を眺めることができたのだ。富士山の姿がなかったのは残念だが、山系の広さと深さが良く分かる素晴らしい眺めに変わりはない。同じ山道を歩いても、景観、そして感じるものはいつも違うから面白くなる。
 刈寄山山頂に到着すると、持参したダウンジャケットを羽織り、さっそくお湯を沸かした。今回のランチはいつものチキンラーメンとセブンのおにぎり二つ。何てことない食べ物だが、こうして五日市の街並みを眺めながらのランチなら、山歩きの空腹も手伝い、それはそれは極旨メニューに変貌するのだ。

 今回のカメラはCyber-shot RX100M3。インチセンサーにEVF付きという、コンデジながら装備に不足はない。画像処理エンジンは“BIONZ X”。こいつの処理能力はかなりイケてる。コントラストの後処理などは殆ど要らずの高性能。躊躇なくシャッターを切っても白飛び黒飛びが少なく、その意味合いでもシャッターチャンスにすこぶる強いのだ。もちろん色味も好み。あくまでもナチュラルなところはニコンのそれと似ている。

 山歩きと写真撮影のコンビネーションは、年間を通してもっぱらの遊びになっているが、二月と言えば、南伊豆をパッと明るしてくれる菜の花と河津桜が咲き誇っているはず。宿を取ってじっくり構えてみようか。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です