ここ一週間、腹の調子がいまいちのせいか、疲れがなかなか抜けず、トーンダウンな日々が続いていた。こんなときは温泉でまったりもいいのではと、“やまと天目山温泉”へ行ってみた。
勝沼ICから大菩薩嶺登山口に至るR218沿いに位置し、施設のすぐ脇には日川が流れる山深いローケーションとなっている。ここを訪れるのは初めてだ。
日帰り温泉に行くときは、たいがい温泉施設でランチを取ることにしているが、今日はリチャードのトリミングが夕方から予定に入っていたので、それを避けるために、午後2時ちょっと前に自宅を出発した。リチャードはパパ好きの甘えん坊だから、私が在宅していると、気が散ってトリミング台の上で落ち着きがなくなり、トリマーさんの手を焼かせてしまうだ。
中央道は相模湖東ICで降り、R20をひた走った。相模湖から西側のR20は適度なカーブと比較的少ない交通量で、気持ちのいいワインディング走行を楽しめる。一刻でも早く温泉に浸かりたい方は、勝沼ICまで行って、そこからR20をちょっと戻るとR218の入り口がある。
灰色の雲が空一面に広がり、いつ降り出してもおかしくない状況下、外気温は29℃を示し、エアコンなしではいたたまれない鬱陶しさだ。ところが温泉に向かう急坂を上っていくと、瞬く間に標高が増し、それに伴い外気温は急降下。駐車場に入った頃には21℃まで下がり、車外に出ると肌寒いくらいである。見回すと平日にもかかわらず10台ほどの車が駐車していた。ただ、ナンバーを見ると他県は私と練馬ナンバー1台だけで、あとは全て山梨ナンバー。恐らくここは地元民に人気のスポットなのだろう。
例外にもれず、コロナ対策も万全のようで、入場の際にはアルコール手洗い、検温、そして利用者名簿に、氏名、住所、連絡先を記入する。520円の3時間券を購入し、さっそく浴場へと足を運んだ。
更衣室は薄暗くやや窮屈な感じだったが、戸を引いて浴場へ入ると、意外や広い。源泉を楽しめる浴槽が二つとジャグジー、外にはもちろん露天が完備されている。大好きな露天に誰もいないことを確認してから、一番奥のベストポジションをキープ。ここで約1時間、温泉のぬくもりときりっと冷たい空気を交互に楽しんだ。
フィニッシュは火照った体を恐らく30数℃ほどしかないぬるい源泉でクールダウン。着替えても汗が噴き出すことがなく、実に快適。湯上り後は、持参した文庫本(吉田修一著・熱帯魚)を、独り占めした座敷で小一時間ほど開いてみた。
やまと天目山温泉は山深い森の中だ。日川沿いを少々戻り、流れの近くまで斜面を下っていくと、待っていたのは噎ぶような新緑の世界。せせらぎと葉の擦れる音に全身が包み込まれると、あたかも心にモイスチャーが掛かったかのように、気分が滑らかになっていくのだ。