ウッドストック・小金井公園

ウッドストック

「イカメンチ食べに行かない?」
「網代だぜ、遠いよ」
「じゃ、ウッドストックは?」
「うん、いいよ、そこ行こう」

ランチは簡単に決まった。
女房と休日が合うとこんな感じで出かけることが多い。
ウッドストックは五日市街道沿いにある老舗のハンバーク&ステーキ屋だ。ここのシェフは以前TVチャンピオンでステーキ職人の初代チャンピオンになったことがあるらしく、どこかでその情報をかぎつけた女房が、どんな味なのか食べてみたい!と前々からリクエストしていたのだ。
私はかなり以前に職場の仲間と一度だけ行ってみたことがあるが、特にインパクトらしきもは感じなかったので、それ以降この店を意識することはなかった。

「食事のあと、小金井公園はどうかしら」
「行くの?」
「うん」
「それじゃカメラもってくか」

こんな時、V2は重宝する。小型だからさっとウエストバックの中に収まり、コンデジでは難しい本格的な撮影も楽しめる。この魅力を知ったらD100やD2Hの出番はなかなかやってこない。

自宅からウッドストックまでは車で10分ほどだ。ピロティーの駐車場は恐ろしく狭いので、五日市街道沿いにある第二駐車場へ車を停めた。
小さなドアを開けて急な階段を上がる。人気店なのでランチピークをずらして来てみたが、なんと客席は満杯状態である。

「何名様でしょうか?」
「二人です」
「少々お待ちいただけますか」

何ともすごい活気だ。キッチンがオープンなので肉を焼くいい音が盛大に放たれている。何処かしらからうまそうな香りが漂ってきて、空きっ腹が反応してしまった。
恐らく内装は十数年前に来た時と殆ど変わってないと思う。テーブル、椅子、そしてレジカウンターも昔のままだろう。

「おまたせしました」

案内されたテーブルは窓際の4名席だった。

「窓際の一等席だよ!」

ここなら五日市街道の紅葉を見ながら食事ができる。
ランチメニューを手渡され、さっそく開いてみた。日替わりメニューからステーキセットまで意外と種類は多い。一瞬迷ってしまったが、ここの看板は何といってもハンバーグなので、二人とも迷わず“ジャンボハンバーグ170g”を注文。すると間もなくスープが運ばれてきた。このランチセットにはスープとドリンクが付いているのだ。
10分ほどすると、お待ちかねのジュージューと音を発する鉄板が目の前に置かれた。
ウェイターがそれぞれに焼き方を問うと、慣れた手つきで樽型のハンバーグを縦にカットし、切り口を鉄板に押し付けた。この辺の流れは富士の“さわやか”と同じである。
因みに私は“ミディアム”、女房は“ウェルダン”だ。

「ソースをかけます、気を付けてください」

ジュワ====!
広げたナプキンに油と肉汁が飛び散る。その様子をV2で捉えようとしていたので、たちまちレンズが汚れていく。
女房はおろしソース、私はガーリックソース、実にいい香りだ。

「いただきま~す♪」

ソースが薄味なので、肉の味が分かりやすい。旨みは充分感じられ、170gはあっと言う間に腑に落ちた。
確かに人気店の看板メニューだけあって外れのない一品と言えるが、個性は少々乏しく、ランチセット1,390円はそれ相応の値段と言えよう。これに対して、富士市の“さわやかハンバーグ”の歯ごたえある粗挽き肉は、なぜか脳裏について離れない。

「美味しい!」

女房がデザートに注文したレアチーズケーキ。これが意外だった。
甘いものは好物なので、チーズケーキもこれまで色々食してきたが、トータルで満足を感じたのは初めてである。あくまでも主観だが、そもそもここはハンバーグ屋である。
料理に対するオーナーの心遣いに感服だ。
最後に印象度が急上昇したウッドストックを後にして、小金井公園へと場所を移した。

「今日は暖かいね」
「風がないからね」

静かな公園だった。サイクリングロードを横切り、紅葉樹がある一角へ足を踏み入れると、落ち葉を踏みしめる音だけが支配する別空間が待っていた。紅葉のピークは過ぎていたが、寧ろ冬枯れの雰囲気が気分を落ち着かせ、散策の楽しさは膨らんだ。
公園というところは、時間帯や曜日、そして季節の移り変わりによって様々な顔を見せてくれるようだ。今日の小金井公園からは、一時のリラックスをいただいた。

女房がスマホを使って写真撮影に熱中している。
私も江戸東京たてもの園を囲む堀の周辺で、小一時間ほどじっくりとV2を使ってみた。
小気味の良いシャッターテイストはリズミカルな撮影を可能にし、集中力は瞬時に上がっていく。

「そろそろ戻らない?!」
「あっ、そうだね」
「次の休みに、また自転車で来ればいいじゃない」

よし、帰ったらロックの散歩だ。


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