物価高

 二十一日付の読売新聞朝刊。コーナー『気流』の冒頭に掲載された、八十六歳になる男性からの投書“ラーメン価格に国憂慮”に興味を覚えた。
 
 先日昼、久しぶりにラーメン店に入り、一杯千二百円もするので驚いた。
 学生時代は五十円、現役時代に親しんだラーメンは長らく五百円だった。確かに種類も多く、味も良くなったが、「気軽にラーメンでも」という時代は終わったようだ。ラーメン一杯で世の中の物価高の現状を知りえた気がした。同時に我が国の行く末が大いに心配になった。

 一部割愛したが、以上のような内容だ。
 男性は私よりひと回り以上も先輩なので、五十円時代はさすがによくわからないが、現役時代の五百円云々は大いに頷ける。物価高と言われて久しいが、現況は真に憂慮すべきレベルに達していると思う。ラーメンの高級化、高価格化は業者の自由だが、やはりラーメンは庶民食の筆頭であり続けてほしいもの。シンプルな作りでかまわないから、ワンコイン、つまり五百円前後で提供できるような店が多く現れてくれると嬉しい。ただ、同様な考え方を持つ業者はいるはずだが、物価高による原材料の高騰に阻まれ、簡単には実現できないのだろう。

「解散を考えている暇はない!」と繰り返し、政策の柱である【総合的な国力の強化】を推し進めてきた高市早苗首相が一転、衆議院の解散を決めた。恐らく現行の体制に限界が見えてきたのであろう。自民党のみで過半数を取れれば政策が容易に進められるのは言うまでもなく、この対策として“食料品の消費税率を時限的にゼロにする”を選挙公約に掲げれば、現況を鑑みて勝算ありと判断したのだと思われる。
 やり方の是非は問わない。一日でも早く物価高を抑え、総合的な経済成が達成できるようお願いしたいものだ。

 写真は、サバと舞茸とブロッコリーを材料にし、塩、コショウと豆板醤で味付けをしたパスタである。簡単に作れて栄養もあるし、サバ缶一個百七十九円なので、財布にも優しいのである。
 ご馳走さまでした☆

バイク屋時代56 軌道に乗ってくる

 大崎社長の配慮により、モト・ギャルソンに入ってくる中古車は、業販という形ですべてBFがもらい受けることに決定。煮ようが焼こうが俺次第であるが、少しでも利益を上げるために、クズ以外は基本的に直販で頑張ってみることにした。モト・ギャルソンからは薄利で出してくれるのだから、その分可能な限り儲けて、グループ全体に寄与しようと気合いを入れなおしたのだ。
 入荷車両すべてに必要なのは仕上。ドゥカティの仕上げは杉並店が一手に引き受けてくれるが、そのほかの車両については、元スタッフの近江くんが数年前に独立開業した店、Pモーターサイクルで受けてくれることになった。
 これで一応体制は整った。あとは予算と相談しながらいいものを仕入れるだけである。

 契約内容の打ち合わせ等々で、杉並店やPモーターサイクルへ何度か足を運んでいたので、落札した八台のエナクルはまだ手付かずだった。幸いここ数日は晴天と予報が出ていたので、一気に仕上げようと、整備ツナギを着込んで朝から倉庫へこもった。
 ざっと各部をチェックすると、主な錆の個所は、Fバスケットステー、スポーク、リム、ステム、シートポスト。全部きれいに落とすと、それだけで別物に見えてくる。錆落としにはケミカルの“ネバダル”が非常に有効。強い錆にはさらに真鍮ブラシを使う。全体の汚れ落としと艶出しには、モト・ギャルソンでもよく使うバイクワックスが効果的だ。倉庫の奥に古いオフロードスタンドがぶん投げてあったので、これを椅子として使ったが、なかなかあんばいがいい。

 手を入れていくうちにわかったが、どの車両も虫ゴムが硬化して使い物にならなかった。部品としては非常に安価なものなので、全車新品に交換した。チューブも怪しかったが、基準空気圧にして一晩おいても抜けは見られなかったのでそのまま使うことにした。磨き、虫ゴム交換、充電ならびに走行チェックで、おおよそ一台一時間強の時間を要した。よって丸二日間、倉庫にこもり続けた。
 これまでは客相手かディスクワークだったので、だれもいない倉庫で一人黙々作業を進めるってのは意外や新鮮。MP3プレイヤーで好きな音楽を聴きながらは癖になった。もっとも冷暖房のない倉庫なので、真夏と真冬は遠慮したい。

 ヤフオクへは八台全車を出品させると、落札後の作業がてんやわんやになる恐れがあると思い、試しに二台だけを出品した。コメントには、<手渡し歓迎、配送は東京都のみ、配送料は一律3,000円>と記した。すると当日からウォッチリストが入りだす好発進。翌日には入札もあり、安い電動アシストの高需要を垣間見るようである。結局二台とも落札となり、17,500円、かたや18,000円と上々の出来。ただ、両方とも配送希望で、都内と言えども大井と町田だったので、丸々一日がつぶれてしまった。後日談になるが、残りの六台も落札はできたものの、やはり手渡しは一台だけで、あとの五台はすべて配送。これは大きな計算外。配送料はもらっているが、時間的なロスは大きい。
 手間はかかるが確実に収益となる電動アシスト。味を占めた俺は、BDSへ行くたびに買って帰ろうと意気込んだが、はたして同じことを考える連中はいるものだ。回を重ねるごとに落札価格は上昇し、これまで10,000円以下で買えたものが、20,000円を超えるまでになってしまい、旨味は消えた。トータルで買えたのは二十二台。300,000円以上の利益は抜けたが、永続性は望めず、終いには出品すらなくなってしまった。

 一方、メインである中古バイクの販売は、大きな問題もなく順調に推移していた。
 ハーレーの売上は二〇〇七年以降、一時はリーマンショックの影響を食らってかなり落ち込んだが、その後徐々に回復していき、二〇一〇年を迎えるころから試乗会や各種キャンペーンに以前のような活況が戻ってくるようになり、それにスライドして売上は上昇していった。こうなると下取りのある商談も増え、上物が安定して入荷、Pモーターサイクルへの往復が頻繁になってきた。
「BF、ずいぶんと繁盛してるみたいじゃないですか」
「それほどでもないけど、この頃じゃハーレー店からけっこう下取りが入ってくるから、売上以上に利益が安定してるよ」
「いいよな~、うちなんて、こんなちっちゃなところでもけっこう家賃高いから、実入りは低いですよ」
「でも、ギャルソンのお客さんの利用はあるんだろ?」
「ん~~、どうだろ、減ってきてるかな」
 近江くんの店は、二坪強ほどのスペースに机や収納棚を置いて、空いたところで整備をやっている。とても広いとは言い難いが、それでも東八道路沿いなので、やはりそこそこの賃料は取られるのだろう。
「どれだけ仕事を持ってこられるかまだわからないけど、なんか要望があれば遠慮しないで言ってくれよな」
「了解」
 近江くんのメカとしての腕は確かだし、信頼もおける。人間的にも俺は大好きだ。しかし彼にはあまり欲を感じることがないのだ。せっかく独立開業したのに心配である。

 BDSからの仕入れは思惑通りに推移していた。やはりドゥカティは市場人気が低いようで、水冷モンスター系でなければ十中八九落とせた。そんな不人気車でも、多くの人達がアクセスするネット販売の力を借りれば売れ残る心配はない。「こんなの売れないよ」とほとんどの業者が口をそろえるバイクでも、「これを探していたんだ!」と目をらんらんとさせる一般客は必ず一人はいる。

 輸入車の買いやすさをうまく利用して、英国の名車Triumphも数台買ってみた。万人向きのモデル“T100ボンネビル”を中心に、上物があればスラクストン等々にも目を向けた。クラシックスタイルのモデルは、ヤマハSR400を筆頭に、カワサキのW800、W650と流行に関係なく人気が安定してるところが魅力だ。乗ってみると、いずれもバイク本来が持つ爽快感に溢れ、神経質ではないエンジン性能は、どのような用途にもはまることうけあいである。T100ボンネビルをアップさせると、間違いなく一カ月以内に商談が発生した。

 ドイツのBMWは、ハーレーと並んで輸入車の中では人気のブランド。特にツアラーのR1200GS系とレーサーレプリカであるS1000RRは引っ張りだこで、上物を落札するのは難しい。ところが同じBMWでも、小排気量のFシリーズの中にある“F800S”とか“F800ST”は不人気車のようで安く買える。

 しかしグーバイクへアップすれば件数こそ少ないがアクセスはあり、売れ残ることはない。エンジンは驚くほど扱いやすく、小型ボディと相まって操作性はトップクラス。俺が昔から推奨している“ちょうどいいバイク”の典型的なモデルだ。ロングツーリング、街中、ワインディングでのスポーツ走行、どれをとっても一級のパフォーマンスを示す。

 ただ、BMWは最先端のテクノロジーを売り物にしているメーカーであるはずだが、コンピュータートラブルは巷でもよく聞く話。BFでも一度F800のエンジン不動が発生し、突き詰めていくとやはりコンピューターの不具合だった。部品を注文すると、納期に三か月かかると言うバカな返答。購入客は怒るし、部品代諸々で200,000円越えの出費は痛すぎた。踏んだり蹴ったりとはまさにこのことだ。ただ、この一件に際して、BMW正規ディーラーであるFモータースのN氏には大変な尽力をいただき、なんとかピンチから脱出できたのだ。その節は本当にありがとうござました!

もえぎの湯・大多摩湯めぐり

 温暖化が進んでいるとはいえ、やはり冬は寒い。風が強い日などは外出も躊躇しがちになる。しかし家にこもって読書ばかりじゃつまらないし、体を動かさないと、暖房を入れていても体の芯が冷え冷えとしてくる。

「温泉スタンプラリー、行くか」
「いいわね」

 のめこい湯、もえぎの湯、つるつる温泉、小菅の湯、数馬の湯、瀬音の湯、以上六ケ所を一年以内に回ってくれば、一回分の入浴が無料になるという、二年前から始まったイベントだ。昨年の七月に数馬の湯へ行ったのが今回の初っ端になる。よって今年の七月までに残る五カ所を回ればOK。
 奥多摩に点在する日帰り温泉は、それぞれに趣があって私は大好きだ。ただ、どこの温泉に行くにせよ、車で二時間前後はかかるからなかなか腰が上がらない。そんな中、このスタンプラリーはちょうどいいきっかけになる。

「何年もご無沙汰だから、もえぎの湯にしよう」
 てなことで、一月十四日(水)、自宅を九時に出発、幸い新青梅街道が空いていたので、十時四十分に到着できた
「はい、パパのタオル」
「ありがと。何時まで?」
「十一時半でいいんじゃない」
「おっけ~」

 もえぎの湯の泉質は、pH9.85の強アルカリ“フッ素泉”。無色透明でとろみのあるお湯だ。肌がしっとりするのはもちろん、それが長く持続するところがいい。帰宅して、晩酌前にひと風呂浴びようと服を脱ぎ、腕や首周りに触れてみると、しっとり感が持続していた。
 温泉から上がると食堂へ直行。客は三組しかいない。まずは食券を買ってスタッフへ渡す。女房はきつねそばとわさび丼セット、私は豚の角煮丼をチョイス。

 口の中でとろりと溶ける角煮を想像していたが、それほど長く煮込んでない、やや歯ごたえを残した豚肉だった。ただ、甘いたれとよく馴染み、美味しくいただけた。
「このあともう一回入ってくるね」
 二度も浸かるとは珍しい。女房のやつ、気に入ったのかな。

膝の具合 Part 10 自然さ

 膝や股関節の痛みをなんとかせねばと一念発起。それから早くも二年がたとうとしている。毎日のウォークとジョグ、寒い日も暑い日も、我ながら頑張っている。

《 いたわり過ぎず、加減を見ながら鍛えていく 》
 ウォークとジョグをうまく取り入れ、膝や股関節と対話するように、日々慎重に実行している。違和感が出たときは歩幅と着地に意識を向け、逆に調子がよければピッチを上げる。もちろん痛みがあるときや、体調が思わしくないときはきっぱり中止だ。それと、廉価なランニングシューズでも新調すれば、忘れていたクッションのありがたみを思い出し、一般的なスニーカーとは一線をかく性能と快適さを享受できる。

 《 継続は宝なり 》
 半年前にコースを変更。距離は当初の5.6kmから4.6kmへと減らした。これだけの差でも心身への負担はだいぶ軽くなり、おまけに新たな街の景色が気分をリフレッシュさせた。
 とにかく続けていけば大なり小なり効果は出るもの。おかげで最近は調子がよく、ほぼ毎回ジョグを行っている。楽な走り方がわかってきたことと、多少だが筋力がついてきたからだと思われる。こうなると走ることが苦ではなくなり、むしろ爽快感を味わえる日課へと変貌した。古希を越えた我が身、この先いつまで走れるかは定かでないが、より一層コンディションに留意し、怪我だけはしないよう注意を払いたい。

 この頃、老化ってのは具体的にどんな感じで訪れてくるのだろうかと考えることが多くなった。
 自己申告ではあるが、見た目が弱弱しくなったとか、歩く様がおぼつかなくなってきたこともない。それに背中だってまだ丸くない。物忘れの多さは以前からだが、人の名前を覚えられなくなった。聴力はやや減退してきたが、会話に支障はない。ただちょっと寂しいが、皮膚のたるみと皺は見事に高齢者だ。やはり引力には逆らえない。顔ならば、目の下、頬、口角、顎が顕著。体全体では、尻、二の腕、胸あたりが怪しくなっている。

 私は見た目の老化はさほど気にならない。なぜなら、そうなるのが自然だから。
 一例をあげよう。
 若禿げへの対策としてかつらを利用するのは大いに結構なことだが、年配者、特に爺さんのかつらはいただけない。皺くちゃの顔と黒々とした頭髪はあまりにもアンバランスであり、むしろ人の目を引く。歳を取ったら禿げたり白髪になる方が極々自然なのだ。禿や白髪については当の本人が気にしているだけで、周囲はまったく気に留めない。その歳なりの自然な見た目や雰囲気を、もっと胸を張ってアピールすべきである。

バイク屋時代55 落札!

 毎週水曜日のBDS詣でが始まったのは、新緑の燃えるころ。急激な気温の上昇は、慣れない仕事で疲れがたまる心身へ追い打ちをかけた。
 さて、仕入れ専用車として貸与されたハイエースだが、この車はそもそも商用車である。ルーフに多少の断熱処理をしてあるほかは、もろ鉄板だ。夏の直射が当たればキャビンはすぐにサウナ室へと変貌する。普通にエアコンが効けばそれほど問題にはならないが、日ごろのメンテを怠っていたのだろう、吹き出し口からは温い風しか出てこない。オークション開催日は、短くとも四時間はハンドルを握っているわけで、この劣悪な環境が疲労の原因になったことは言うまでもない。
「社長、ハイエースのエアコン、修理に出しますよ」
「なるべく安くね」
 三鷹にある知り合いの修理工場であんばいを見てもらうと、
「これ、かなり錆びがひどいんで、ちゃんとやると十五万円はいっちゃいますね」
「とりあえず冷風が出てくればいいんですが」
「なるほど、沖縄ナンバーだ。あっちは潮風すごいから錆もね~」
 一週間後。修理完了したエアコンから冷っとした空気が出てきたときは、シンプルに感動した。

 BDSまでの所要時間は、首都高さえ混んでなければ二時間弱。足繁く通うにはかなりな距離ではあるが、現車確認は外せない。いいものを可能な限り安く手に入れる最も確実な方法だから。
 BDS初日は期待感がふくらんだ。出品表を見ると、電動アシスト自転車のエナクルが十一台も出ていた。これまでの落札価格で行けるなら全部欲しいところだが、まずはものを見てからだ。

 駐車場へ車を置き、展示場の入口をくぐる。いきなり目に飛び込んでくるのは、すさまじい数のバイク、バイク、バイク。この中から買付表に記した二台のモンスター、S4RとS2Rをまずは探さなければならない。出品番号順に展示エリアが割り振られていて、しかも輸入車はまとめて置かれているのでおおよその場所はすぐにわかった。それでも入り口からはかなり歩く。
 最初のご対面はS4R。外装、フレーム、油脂漏れ、消耗パーツの度合いを確認したら、エンジンをかけ て、音、排気煙、ミッションなどを確認する。ほぼノーマル車、立ちごけレベルの転倒跡が左右にある。出品評価を見ると五点がついている。品質評価士による評価は十段階で、五点以上が問題も少ない上物で、八点越えは極乗車、十点は新車である。反対に四点以下は、加修にそれなりの金額を覚悟しなければならなく、二点以下は部品取りと考えていい。次のS2Rは、ざっと見てもきれいで、加修はそれほどかからないように思えたが、エンジンをかけると異音が気になった。クラッチは湿式だが、わずかに乾式のようなノイズが出ているのだ。評価は四点。コメントには“※エンジン異音”と記してあるが、BDSの品質評価士がどれだけドゥカティのことを掌握しているかは疑わしい。なぜなら、車両が乾式クラッチの場合、ほとんど“※エンジン異音”と記してあるからだ。乾式クラッチの音ってのは、ドゥカティを知らない人に聞かせれば、ガラガラガラと、あたかもエンジンがぶっ壊れているのではと感じるはずだ。しかも中古車の場合、クラッチの金属カバーをカーボン製などの開放タイプに交換していることが多く、そうすればなおさら音が外へ飛び出し、やかましくなる。
 二台は綿密なチェックの上、合格とした。あとは落札できるかどうかだ。時間が押し迫っているので、この後すぐに自転車展示場へと向かった。

 エナクルの実際の出品数は八台に減っていた。そのうちの二台は錆がひどくパスしたが、残った六台は、見た目も電装関連も特に問題はないようなので合格と判断。仕上げに必要なケミカルやショートパーツ、そしてチューブ、タイヤは、格安品をすでに入手してあるので、落札したらハイエースに載せて持ち帰り、すぐにでも仕上げ作業にかかれる。

 さあ、初の入札だ。少しドキドキしながら応札室へ入り、左通路側の席を陣取った。スタートは午前十時、もう間もなくである。壇上に係員が数人並び、挨拶が始まった。周囲を見回すと、ほぼ六割の入りだ。
 正面の大画面に四台のバイクが映し出され、オークションがスタート。最初に競るのは自転車。右端のDレーンへ集中する。エナクル一番から四番まではだれも押さなかったので、すべて一台7,000円で落札できた。残りの四台には若干の競りは入ったものの、9,000円から10,500円で落札。結局八台すべてを手に入れた。幸先上々である。ドゥカティの二台は午後になるので、ハイエースを自転車展示場へ回して、先に積み込みを終わらせた。時計を見るとそろそろお昼、食堂へ行ってランチだ。

 BDSの会員には、来場するたびにIDカードへ2,500円分の食事ポイントがオンされ、好きなものをメニューから選ぶことができる。レストランコーナーではステーキから寿司まで、隣の喫茶コーナーでは各種飲み物、サンドイッチなどの軽食、ケーキ類と、ほとんどのものがそろっている。朝来場したらモーニングコーヒー、昼は生姜焼き定食、そして帰りしなには紅茶とチョコレートケーキと、これだけいただいてもポイント内で収まるのだ。

 応札室へ戻り、十三時半にS4Rが始まった。0円スタートだからすごい勢いで上がっていく。35万円で売り切りとなると、やや上昇速度は落ちたが、それでも合間なくランプが点灯するのは、落とそうと頑張っているショップがあるのだ。ちなみに競りのボタンを押すと、該当車両にランプが点灯する。買付計画は上限40万円なので緊張が走る。しかし勢いはそのままに40万円を超え、まだひっきりなしに点灯している。こうなると気持ちはイケイケだ。45万円になってしまったが、やけくそになって押してみると、ランプは追ってこない、落札である。オーバーしたがここはドンマイ。整備する際に大きな問題さえ出てこなければ、60万円以上の売値はつけられそうなので十分商売になる。
 一時間後、次はS2Rだ。
 20万円売り切りからぐんぐん上がっていく。買付計画は35万円。
 S4Rと比較すると、市場での人気はいま一歩。四点ものなのでいけそうな気がする。参考までに、S4Rはスーパーバイク996の水冷エンジンを搭載した最高出力119馬力のモンスター。S2Rは排気量800ccの空冷エンジンを搭載し、出力も77馬力とおとなしいが、湿式クラッチ仕様で抜群に乗りやすいモンスター。
 30万円は超えたが、そろそろ落札しそうな雰囲気である。そのまま押し続けると32万円で落とせた。
 自転車に次いで、バイクも計画通りに買え、興奮冷めやらない初オークションである。

 自転車は共進倉庫へ運び込み、俺自ら仕上げ作業を行うが、ドゥカティは杉並店の大杉くんと相談の上、外注という形で仕上げてもらう。
「二台買えたって?」
「まあね。そんなに急がないから、よろしくたのむよ」
「OK。じゃ、明日にでも持ってきたら」
「だいじょうぶなんだ。じゃ、お言葉に甘えるね」
 こんな流れである。
 ところが二台のモンスターを持ち込んだ翌日、整備していた坂上メカから電話があった。
「部長。S2R、高くつきますよ」
「えっ?! まじかよ」
「まじです。クラッチスプリングが一か所折れてました」
「だからちょっと変な音がしてたんだ。お手柔らかにな」
「いや、バッチリいただきます」
 後日、杉並店から請求書のFAXが届くと、通常の仕上げ整備とは別途に、部品代並びに交換工賃として60,000円がオンされていた。これで最終原価は40万円を超えたが、それでも7~8万円は抜けると見込んでいる。中古商売はある意味博打。えらく儲かることもあれば、赤字になることもある。やるべきことは、さらに目利きの力を上げ、売り買い相場に精通できるよう努めることだ。
 モト・ギャルソン各店で下取車のある商談が入ったときは、基本的に俺へ一報が入り、車両詳細を聞いたうえで、下取り額を回答する流れになっている。常に現状の相場や売れ筋をつかんでいれば、下取った車両をBFで直販するにも、はたまたオークションで売るにしても、利益幅を大きくできるチャンスが生まれるわけだ。

 さて、それはさておき、手に入れた八台の電動アシスト自転車エナクル。これをいち早く仕上げ、売りさばかなければならない。ドゥカティ二台は、グーバイクへアップデートすればいいが、自転車にはそのような販売サイトがないので、ヤフオクを頼ることにした。どのような反応がでるか楽しみでもある。
 グーバイクには先日BFとして新たなIDを取得した。予算がないので、掲載台数4台のもっとも小さな契約枠だ。この四台枠をいかに効率よく回していくかで先々は決まる。
 いきなり仕事量が一気に増えたが、久々にやる気が出てきた。

写真好きな中年男の独り言