フォルクスワーゲン西東京にて

 車を所有すれば二年に一度の継続車検は避けられない。周知のように、これにはかなりな費用がかかる。うちのPOLOのような小型車でも、なんだかんだんで12~3万円ほどの出費は覚悟しなければならない。しかも、タイヤとかブレーキシューとか、部品の交換が必要となれば、さらに2万円から10万円の追加になる。少しでも安く済ませたいなら、整備工場へ依頼するのではなく、自分で陸運支局へ持ち込んで検査を通せば半額ほどで済むが、車の安全を考えるとお勧めはできない。車を所有した者の必要経費と諦めたほうが無難である。

 うちのPOLOも三月で車検が満了するので、先日にフォルクスワーゲン西東京へ依頼した。担当のフロントマンAさんはとても感じのいい方で、いろいろと話を聞いてくれる。
「木代さん、お久しぶりです」
 Aさんと顔を合わせるのは先回の車検以来だ。
「Aさんも元気そうじゃないですか」
 概算見積もりが出来上がるまで、おおよそ一時間ショールームで待機である。今回は文庫本を持参したので、いただいたココアを飲みながらじっくりと文中に没入できる。
 そのうちひとりふたりとお客さんが来店し始め、人の動きが多くなり、店内全体に活気が出てきた。商談コーナーでは、若い男性客が営業マンとやり取り中である。この店、ずいぶんと繁盛してそうだ。
 POLOはとても気に入っているので、代替えの予定はないが、ここへくると現行車の外装や内装をこまごまと観察できて、ついつい興味が湧いてしまう。実に目に毒だ。
「どうもお待たせしました」
 Aさんが戻ってきた。一時間はあっという間だ。

「なにかありました?」
「バッテリーがやや弱いですが、消耗パーツはすべてOKですね。ただ、右側のかじ取りのブーツに亀裂が入っているので、これは交換となります」
「まっ、しょうがないですよ、長く乗りたいから」
「次の車検時には、おそらく左側が同じことになると思います」
「その時はその時ですよ」
「では恐れ入ります、法定諸費用が53,650円ですね」
 これだけは現金で前払いだ。
「いつ完了かな?」
「一週間後ですね」
 Aさん、社会へ出てからは一貫して車関係の仕事に従事してきたとのこと。車好きが会話の中から窺える。還暦は過ぎていて、あと数年で定年を迎えるが、
「この先どこで働くにしても、車畑と決まっていますから」
 と笑顔で答えていた。

物価高

 二十一日付の読売新聞朝刊。コーナー『気流』の冒頭に掲載された、八十六歳になる男性からの投書“ラーメン価格に国憂慮”に興味を覚えた。
 
 先日昼、久しぶりにラーメン店に入り、一杯千二百円もするので驚いた。
 学生時代は五十円、現役時代に親しんだラーメンは長らく五百円だった。確かに種類も多く、味も良くなったが、「気軽にラーメンでも」という時代は終わったようだ。ラーメン一杯で世の中の物価高の現状を知りえた気がした。同時に我が国の行く末が大いに心配になった。

 一部割愛したが、以上のような内容だ。
 男性は私よりひと回り以上も先輩なので、五十円時代はさすがによくわからないが、現役時代の五百円云々は大いに頷ける。物価高と言われて久しいが、現況は真に憂慮すべきレベルに達していると思う。ラーメンの高級化、高価格化は業者の自由だが、やはりラーメンは庶民食の筆頭であり続けてほしいもの。シンプルな作りでかまわないから、ワンコイン、つまり五百円前後で提供できるような店が多く現れてくれると嬉しい。ただ、同様な考え方を持つ業者はいるはずだが、物価高による原材料の高騰に阻まれ、簡単には実現できないのだろう。

「解散を考えている暇はない!」と繰り返し、政策の柱である【総合的な国力の強化】を推し進めてきた高市早苗首相が一転、衆議院の解散を決めた。恐らく現行の体制に限界が見えてきたのであろう。自民党のみで過半数を取れれば政策が容易に進められるのは言うまでもなく、この対策として“食料品の消費税率を時限的にゼロにする”を選挙公約に掲げれば、現況を鑑みて勝算ありと判断したのだと思われる。
 やり方の是非は問わない。一日でも早く物価高を抑え、総合的な経済成が達成できるようお願いしたいものだ。

 写真は、サバと舞茸とブロッコリーを材料にし、塩、コショウと豆板醤で味付けをしたパスタである。簡単に作れて栄養もあるし、サバ缶一個百七十九円なので、財布にも優しいのである。
 ご馳走さまでした☆

バイク屋時代56 軌道に乗ってくる

 大崎社長の配慮により、モト・ギャルソンに入ってくる中古車は、業販という形ですべてBFがもらい受けることに決定。煮ようが焼こうが俺次第であるが、少しでも利益を上げるために、クズ以外は基本的に直販で頑張ってみることにした。モト・ギャルソンからは薄利で出してくれるのだから、その分可能な限り儲けて、グループ全体に寄与しようと気合いを入れなおしたのだ。
 入荷車両すべてに必要なのは仕上。ドゥカティの仕上げは杉並店が一手に引き受けてくれるが、そのほかの車両については、元スタッフの近江くんが数年前に独立開業した店、Pモーターサイクルで受けてくれることになった。
 これで一応体制は整った。あとは予算と相談しながらいいものを仕入れるだけである。

 契約内容の打ち合わせ等々で、杉並店やPモーターサイクルへ何度か足を運んでいたので、落札した八台のエナクルはまだ手付かずだった。幸いここ数日は晴天と予報が出ていたので、一気に仕上げようと、整備ツナギを着込んで朝から倉庫へこもった。
 ざっと各部をチェックすると、主な錆の個所は、Fバスケットステー、スポーク、リム、ステム、シートポスト。全部きれいに落とすと、それだけで別物に見えてくる。錆落としにはケミカルの“ネバダル”が非常に有効。強い錆にはさらに真鍮ブラシを使う。全体の汚れ落としと艶出しには、モト・ギャルソンでもよく使うバイクワックスが効果的だ。倉庫の奥に古いオフロードスタンドがぶん投げてあったので、これを椅子として使ったが、なかなかあんばいがいい。

 手を入れていくうちにわかったが、どの車両も虫ゴムが硬化して使い物にならなかった。部品としては非常に安価なものなので、全車新品に交換した。チューブも怪しかったが、基準空気圧にして一晩おいても抜けは見られなかったのでそのまま使うことにした。磨き、虫ゴム交換、充電ならびに走行チェックで、おおよそ一台一時間強の時間を要した。よって丸二日間、倉庫にこもり続けた。
 これまでは客相手かディスクワークだったので、だれもいない倉庫で一人黙々作業を進めるってのは意外や新鮮。MP3プレイヤーで好きな音楽を聴きながらは癖になった。もっとも冷暖房のない倉庫なので、真夏と真冬は遠慮したい。

 ヤフオクへは八台全車を出品させると、落札後の作業がてんやわんやになる恐れがあると思い、試しに二台だけを出品した。コメントには、<手渡し歓迎、配送は東京都のみ、配送料は一律3,000円>と記した。すると当日からウォッチリストが入りだす好発進。翌日には入札もあり、安い電動アシストの高需要を垣間見るようである。結局二台とも落札となり、17,500円、かたや18,000円と上々の出来。ただ、両方とも配送希望で、都内と言えども大井と町田だったので、丸々一日がつぶれてしまった。後日談になるが、残りの六台も落札はできたものの、やはり手渡しは一台だけで、あとの五台はすべて配送。これは大きな計算外。配送料はもらっているが、時間的なロスは大きい。
 手間はかかるが確実に収益となる電動アシスト。味を占めた俺は、BDSへ行くたびに買って帰ろうと意気込んだが、はたして同じことを考える連中はいるものだ。回を重ねるごとに落札価格は上昇し、これまで10,000円以下で買えたものが、20,000円を超えるまでになってしまい、旨味は消えた。トータルで買えたのは二十二台。300,000円以上の利益は抜けたが、永続性は望めず、終いには出品すらなくなってしまった。

 一方、メインである中古バイクの販売は、大きな問題もなく順調に推移していた。
 ハーレーの売上は二〇〇七年以降、一時はリーマンショックの影響を食らってかなり落ち込んだが、その後徐々に回復していき、二〇一〇年を迎えるころから試乗会や各種キャンペーンに以前のような活況が戻ってくるようになり、それにスライドして売上は上昇していった。こうなると下取りのある商談も増え、上物が安定して入荷、Pモーターサイクルへの往復が頻繁になってきた。
「BF、ずいぶんと繁盛してるみたいじゃないですか」
「それほどでもないけど、この頃じゃハーレー店からけっこう下取りが入ってくるから、売上以上に利益が安定してるよ」
「いいよな~、うちなんて、こんなちっちゃなところでもけっこう家賃高いから、実入りは低いですよ」
「でも、ギャルソンのお客さんの利用はあるんだろ?」
「ん~~、どうだろ、減ってきてるかな」
 近江くんの店は、二坪強ほどのスペースに机や収納棚を置いて、空いたところで整備をやっている。とても広いとは言い難いが、それでも東八道路沿いなので、やはりそこそこの賃料は取られるのだろう。
「どれだけ仕事を持ってこられるかまだわからないけど、なんか要望があれば遠慮しないで言ってくれよな」
「了解」
 近江くんのメカとしての腕は確かだし、信頼もおける。人間的にも俺は大好きだ。しかし彼にはあまり欲を感じることがないのだ。せっかく独立開業したのに心配である。

 BDSからの仕入れは思惑通りに推移していた。やはりドゥカティは市場人気が低いようで、水冷モンスター系でなければ十中八九落とせた。そんな不人気車でも、多くの人達がアクセスするネット販売の力を借りれば売れ残る心配はない。「こんなの売れないよ」とほとんどの業者が口をそろえるバイクでも、「これを探していたんだ!」と目をらんらんとさせる一般客は必ず一人はいる。

 輸入車の買いやすさをうまく利用して、英国の名車Triumphも数台買ってみた。万人向きのモデル“T100ボンネビル”を中心に、上物があればスラクストン等々にも目を向けた。クラシックスタイルのモデルは、ヤマハSR400を筆頭に、カワサキのW800、W650と流行に関係なく人気が安定してるところが魅力だ。乗ってみると、いずれもバイク本来が持つ爽快感に溢れ、神経質ではないエンジン性能は、どのような用途にもはまることうけあいである。T100ボンネビルをアップさせると、間違いなく一カ月以内に商談が発生した。

 ドイツのBMWは、ハーレーと並んで輸入車の中では人気のブランド。特にツアラーのR1200GS系とレーサーレプリカであるS1000RRは引っ張りだこで、上物を落札するのは難しい。ところが同じBMWでも、小排気量のFシリーズの中にある“F800S”とか“F800ST”は不人気車のようで安く買える。

 しかしグーバイクへアップすれば件数こそ少ないがアクセスはあり、売れ残ることはない。エンジンは驚くほど扱いやすく、小型ボディと相まって操作性はトップクラス。俺が昔から推奨している“ちょうどいいバイク”の典型的なモデルだ。ロングツーリング、街中、ワインディングでのスポーツ走行、どれをとっても一級のパフォーマンスを示す。

 ただ、BMWは最先端のテクノロジーを売り物にしているメーカーであるはずだが、コンピュータートラブルは巷でもよく聞く話。BFでも一度F800のエンジン不動が発生し、突き詰めていくとやはりコンピューターの不具合だった。部品を注文すると、納期に三か月かかると言うバカな返答。購入客は怒るし、部品代諸々で200,000円越えの出費は痛すぎた。踏んだり蹴ったりとはまさにこのことだ。ただ、この一件に際して、BMW正規ディーラーであるFモータースのN氏には大変な尽力をいただき、なんとかピンチから脱出できたのだ。その節は本当にありがとうござました!

もえぎの湯・大多摩湯めぐり

 温暖化が進んでいるとはいえ、やはり冬は寒い。風が強い日などは外出も躊躇しがちになる。しかし家にこもって読書ばかりじゃつまらないし、体を動かさないと、暖房を入れていても体の芯が冷え冷えとしてくる。

「温泉スタンプラリー、行くか」
「いいわね」

 のめこい湯、もえぎの湯、つるつる温泉、小菅の湯、数馬の湯、瀬音の湯、以上六ケ所を一年以内に回ってくれば、一回分の入浴が無料になるという、二年前から始まったイベントだ。昨年の七月に数馬の湯へ行ったのが今回の初っ端になる。よって今年の七月までに残る五カ所を回ればOK。
 奥多摩に点在する日帰り温泉は、それぞれに趣があって私は大好きだ。ただ、どこの温泉に行くにせよ、車で二時間前後はかかるからなかなか腰が上がらない。そんな中、このスタンプラリーはちょうどいいきっかけになる。

「何年もご無沙汰だから、もえぎの湯にしよう」
 てなことで、一月十四日(水)、自宅を九時に出発、幸い新青梅街道が空いていたので、十時四十分に到着できた
「はい、パパのタオル」
「ありがと。何時まで?」
「十一時半でいいんじゃない」
「おっけ~」

 もえぎの湯の泉質は、pH9.85の強アルカリ“フッ素泉”。無色透明でとろみのあるお湯だ。肌がしっとりするのはもちろん、それが長く持続するところがいい。帰宅して、晩酌前にひと風呂浴びようと服を脱ぎ、腕や首周りに触れてみると、しっとり感が持続していた。
 温泉から上がると食堂へ直行。客は三組しかいない。まずは食券を買ってスタッフへ渡す。女房はきつねそばとわさび丼セット、私は豚の角煮丼をチョイス。

 口の中でとろりと溶ける角煮を想像していたが、それほど長く煮込んでない、やや歯ごたえを残した豚肉だった。ただ、甘いたれとよく馴染み、美味しくいただけた。
「このあともう一回入ってくるね」
 二度も浸かるとは珍しい。女房のやつ、気に入ったのかな。

膝の具合 Part 10 自然さ

 膝や股関節の痛みをなんとかせねばと一念発起。それから早くも二年がたとうとしている。毎日のウォークとジョグ、寒い日も暑い日も、我ながら頑張っている。

《 いたわり過ぎず、加減を見ながら鍛えていく 》
 ウォークとジョグをうまく取り入れ、膝や股関節と対話するように、日々慎重に実行している。違和感が出たときは歩幅と着地に意識を向け、逆に調子がよければピッチを上げる。もちろん痛みがあるときや、体調が思わしくないときはきっぱり中止だ。それと、廉価なランニングシューズでも新調すれば、忘れていたクッションのありがたみを思い出し、一般的なスニーカーとは一線をかく性能と快適さを享受できる。

 《 継続は宝なり 》
 半年前にコースを変更。距離は当初の5.6kmから4.6kmへと減らした。これだけの差でも心身への負担はだいぶ軽くなり、おまけに新たな街の景色が気分をリフレッシュさせた。
 とにかく続けていけば大なり小なり効果は出るもの。おかげで最近は調子がよく、ほぼ毎回ジョグを行っている。楽な走り方がわかってきたことと、多少だが筋力がついてきたからだと思われる。こうなると走ることが苦ではなくなり、むしろ爽快感を味わえる日課へと変貌した。古希を越えた我が身、この先いつまで走れるかは定かでないが、より一層コンディションに留意し、怪我だけはしないよう注意を払いたい。

 この頃、老化ってのは具体的にどんな感じで訪れてくるのだろうかと考えることが多くなった。
 自己申告ではあるが、見た目が弱弱しくなったとか、歩く様がおぼつかなくなってきたこともない。それに背中だってまだ丸くない。物忘れの多さは以前からだが、人の名前を覚えられなくなった。聴力はやや減退してきたが、会話に支障はない。ただちょっと寂しいが、皮膚のたるみと皺は見事に高齢者だ。やはり引力には逆らえない。顔ならば、目の下、頬、口角、顎が顕著。体全体では、尻、二の腕、胸あたりが怪しくなっている。

 私は見た目の老化はさほど気にならない。なぜなら、そうなるのが自然だから。
 一例をあげよう。
 若禿げへの対策としてかつらを利用するのは大いに結構なことだが、年配者、特に爺さんのかつらはいただけない。皺くちゃの顔と黒々とした頭髪はあまりにもアンバランスであり、むしろ人の目を引く。歳を取ったら禿げたり白髪になる方が極々自然なのだ。禿や白髪については当の本人が気にしているだけで、周囲はまったく気に留めない。その歳なりの自然な見た目や雰囲気を、もっと胸を張ってアピールすべきである。

写真好きな中年男の独り言