「日記」カテゴリーアーカイブ

日が短くなった

 リチャードの散歩で、ウォーキング中の姿をたびたび見かけるご近所のOさん。ある日市民プールへ行ってみると、
「あら、どうも」
「あ~、こんにちは」
 Oさんは、ぱっと見た感じ七〇代半ばほどで、やや背は丸くなりつつあるが、いつも両手に1Kg程度の鉄アレイを握って、四季、天候問わず歩き続ける健康志向の高齢者だ。
「泳ぎもやるんですね」
「そうですね。好きで、外のプールがやってる期間は毎日来てますよ」
 マイペースのクロールで50m泳ぐと、一旦一息付ける。これを何度も繰り返す。オープンの九時には一番乗りで入場し、十時になる前に引き上げる。夏の間はスイムの前に早朝四時半起きで、一時間ほどのウォーキングを済ましているとのこと。
「そりゃ凄いな~」
「いやいや、ほかに趣味もないから」
 さらに話を聞くと、自宅にはベンチを含む筋トレ機材もあるようで、とにかく体を鍛えることが好きなのだ。
「それじゃそろそろ」
 おっと、もう一時間経ったか。
「お疲れさん」

 私のウォーキングは、陽が落ちたことを確認してから出かける。殺人的な日射の下、大汗をかきながら走ったり歩いたりしている人をたまに見かけるが、マラソン大会出場のためのトレーニングならまだしも、なにゆえ盛りの時間帯に行うのかがわからない。ウォーキングもジョギングも気分のいい環境下でなければ楽しくないと思うのだが。
 そう言えば、出かける時刻が早まってきたことに気がついた。そう、日が短くなったのだ。ひと月前とくらべれば三十分は違う。あいかわらず酷暑は猛威を振るうが、季節は着実に秋へと向かっている。
 晴天が続くので、夕焼けがきれいだ。特に入道雲が紅く染まると、つい足を止めてしまう。

夏バテ? 熱中症? コロナ?!

 昨夜は、モト・ギャルソン時代のお客さんと“いせや”へ飲みに行き、焼き鳥、煮込み、餃子、シュウマイと、ひととおりを中生四杯で流し込んできたので、気分的にも肉気はノーサンクスである。
「たまには、くら寿司行ってみる?」
 どうせこの時間帯じゃウェイティング間違いなしだと、女房は用事ついでに先に出ていった。あとから到着すると、案の定二十名以上の空席待ちで入口はごった返し。ふと渋い顔をした女房と視線が合った。
「やめてピアーズいこう」
 ピアーズはチェーンのインド料理屋だが、夫婦そろって好きな店。他のインド料理屋とくらべると、日本人の舌に合わせた味づくりが好ましいし、フレンドリーな対応もリピートの理由になっている。
 注文したのはいつものランチセット。女房は豆カレー、私はチキンとチーズのカレー。それほど待つことなく料理が運ばれてきた。焼き立てナンの香りが食欲を掻き立てる。辛さは“2”を選んだが、“3”でもよかったかもしれない。酷暑の季節には、自然と体が辛みを求めてくるのだ。

 帰宅すると、夏のお約束、昼寝。冷房の効いた居間でタオルケットにくるまり横になると、瞬く間に夢の中。一時間ほどで目が覚めたが、いつものようにスッキリとこない。頭が重く、ちょいだるい。夏バテ? 熱中症?
「やだパパ、コロナじゃないの」
 おいおいちょっとまて。
 ただ、この頃疲れが抜けきれないのは事実。どこまで加齢によるものなのかが判断つかず、やや心配。それでも陽が落ちたら、体に鞭を打ってリチャードとお散歩である。

しつこい疲れ

 来る日も来る日も続く、高い気温と湿度。朝からエアコンをつけたり、市営プールで涼んだり、はたまた大根おろしをたっぷり入れた冷たい素麺を食べたりと、考えうる涼はそこそこ取っているつもりだが、如何せん、体の奥底に溜まり続ける疲れはいかんともしがたく、消沈すること屡な昨今である。
「ひさびさに温泉いかない?」
 おそらく女房も疲れがたまっているのだろう。お互い歳を取った。
「いいね、どこいく?」
「温泉巡りのとき、お財布忘れてご飯が食べられなかったとこ」
「数馬の湯だよ」

 七月十五日(火)。日帰り入浴で温泉効果を得られるかは微妙だが、湯に浸かることは血行を向上させ、新陳代謝も図れるはず。今抱えている疲労も、もしかすると低減できるかもしれない。そんなことを女房と話しながらPOLOを走らせた。

 数馬の湯はぬるめの40℃。ジェットバブルに腰を当てると、すぐにリラックスできて、いつの間にか瞼が沈んでくる。実にいい気分だ。
 熱めの湯だと頻繁に出たり入ったりを繰り返すが、ここは長湯になりがち。そろそろ上がろうかと手すりにつかまり踏み出すと、思わぬ立ち眩みが襲ってきた。しかも、これまであまり感じたことのない強力なものだ。手すりがなかったら倒れていたかもしれない。湯船の縁に頭でもぶつけたら、それこそ一巻の終わりである。

「いいお湯だった~」
「浸かりすぎて、なんだか疲れが出てきたよ」
「それって脱水症状じゃない」
 食堂へ行って、とにかく冷たい水を立て続けに二杯飲んだ。
「食券おあずかりしま~す」
 ざるそばと舞茸天ぷらの食券をそれぞれ二枚手渡した。冷たい水が胃腸を刺激したのか、急速に食欲がわいてきた。
 そばは大盛りにしたので、つゆも二つ付いている。舞茸天ぷらからいただくと、身が厚くてジューシー。さすが“数馬もの”だ、ひと味違う。
「パパはもう入らない?」
「おれはいいや。疲れが増しそうだから」
 これ以上ぐったりすると、帰りの運転に支障が出そうだ。なんだか情けない。特別に体を使っているわけでもないのに、なかなか疲れが抜けないとは…
 お土産の支払いをしていると、
「パパ、これ」
「おっ、また始めたんだ、スタンプラリー」
 こいつを利用して、温泉に浸かる機会を増やそうと思う。少しでも疲労回復につながればこの上ない。

デニーズOld Boy’s 喉元過ぎれば熱さ忘るる

 晩酌を二週間やめてみた。胃腸を労わるためである。悲しいかな、加齢とともに内臓も疲れてきたのだろう、冷たいビールが美味しく感じるこの頃では、ついついもう一杯が日常化し、気がつけば厚労省のガイドラインの倍ほどのアルコール量を摂取しているありさま。腸の不快感も頻発、てこ入れの必要性を感じていた。
 さて、二週間の断酒という、我が人生初となる健康的トライは、短期間だったにもかかわらず、効果なるものが体感できた。不安定だった大便の状態が一週間ほどで理想的な“硬さ”へと変わり、排便回数も朝食後の一回だけになり、肛門への負担がだいぶ減った。痔持ちの私にとってこれは大きな成果である。痔の状態は、排便状況と密接な関係があって、下痢や硬い便が続くと、例外なく痔の悪化につながってしまう。
 喉元過ぎれば熱さ忘るるタイプの私は、足取りも軽やかにデニーズOB会へと出かけて行ったのだ。

 七月二日(水)。立川の居酒屋【おっ魚・おっとっと】へいつものメンバーが集まった。
「あれ、木代さん、酒が進まないじゃないですか」
「ちょっとセーブしてんのよ」
「ならいいけどさ。いつもすげー飲んでたから体調悪いのかと思って」
 お気遣いありがとうございます。いやいや、体調は至極好調。ただ、せっかくアルコール抜きがうまく行ったから、後戻りしてしまうようなバカな飲み方はできないんだよね。ちゃんぽんなど滅相もない。ひたすらビールのみである。それにしても全員前期高齢者にもかかわらず、飲むは食べるは喋るはで、元気いっぱいだ☆

大根おろし

 毎年七月一日になると、武蔵野プールの屋外がオープンする。
 今年はクソ暑くなるのが早かったから、この日が待ち遠しかった。ギラギラと降りそそぐ熱射があったって、プールへ滑り込めば、
「太陽、ありがとう!」
 全身を冷たさが包み込み、天にも昇る気分である。浮力を感じたら、ゆっくりと腕を出す。
暑さがつらくてもこういう瞬間があるから、夏も悪くない。
 この日はオープンの九時から一時間少々、泳ぎに興じた。
 水泳は全身運動。普段使わない筋肉をフル稼働するので思いのほか疲れる。大汗をかくが、水の中だから不快感はまったくなく、プールから上がって着替えを終える頃になると、無性に水分が欲しくなる。いつものようにポカリを一気飲みした。

 自宅へもどると、まだ昼前だったが素麺を作った。氷をちりばめ、見た目の涼しさをアップ。もともと冷たい蕎麦や素麺は好物で、夏でなくても度々食しているが、この頃、少し手を入れてみた。めんつゆに大根おろしをたっぷり入れるのだ。辛みが爽やかさを呼び、特に夏にはもってこいの味わいになる。大根はいなげやで一本買っても二百円ちょっとなので、遠慮なく使えるところもいい。