春~よ来い、早~く来い

 ここへきて急に冬が本格化してきたようだ。朝夕がとにかく寒い。
 一月二十六日(火)。夕方から友人のHさんと一杯やろうと約束していた。ちなみに、西久保日記ではHさんと称する男性がよく登場するが、Hさんは二人いて、今回待ち合わせをしたのは、五十をちょっと出た若い方のHさんである。もう一人は私より二つ上の元ジャーナリスト。

 場所と時間は三鷹駅北口十八時半だが、早めに家を出て駅周辺を三十分ほどスナップしながら歩いてみた。北口右手の一角は、以前からスナックや居酒屋が多いところだが、入れ替わりが頻繁なのだろう、知った店はほとんどなかった。中道新道からガードの方へ折れ、ホーム沿いに駅へ向かうと、すぐ右側にある居酒屋がえらく繁盛している。外から店内を覗くとほぼ満席。周辺の店とくらべると圧倒的な差だ。

 待ち合わせの駅前交番まで来ると、Hさんがちょうど階段を下りてきたところだった。
「おう、ひさしぶり」
「寒い中、待っちゃいました?」
「俺もいまきたとこだよ。カメラ持ってその辺をぶらぶらしてたから」
「どこ入ります?」
 さっそく先ほどの繁盛店のことを伝えると、
「魅力があるから混んでるんですよ。そこ、行きましょう」
 店内に入ると人数を訊かれた。
「奥に進んでください、空いてます」

 ラッキーである。店の名称は“かぶら屋”。チェーン店のようだ。
 注文はスマホからと今どきだが、メニューの価格はどれも今どきにはない超安価。とりあえず煮込みとおでんをたのんでみた。
 おでんは煮込まれて味が染み込み、静岡おでんのように黒っぽい。煮込みはそれほど特徴はないものの、ハズレではない。焼き鳥、フライ、ニンニク焼き等々、次々に注文したが、どれも丁寧な調理がされていて酒が進む。いつもはビールスタートだが、あまりに寒いので今回は初っ端から熱燗である。喋っては飲んで、食っては飲んでで、この頃にしては珍しく五合もやってしまう。すいすい入る日本酒は、ほんと危険だ。それにしてもいい店を見つけられてよかった。

「桜の季節になったら、近江八幡へ行こうと思ってさ」
「へー、いいですね。でも桜だったらやっぱ道後温泉ですよ」
 Hさんの地元は愛媛である。
「四国はまだ行ったことがないからさ、手始めにこの夏“剣山”に登ろうと計画中なんだ」
「はいはい、徳島のね。木代さんは悠々自適だからいくらでも計画できるじゃないですか」
「まあね。俺はさ、こーゆー生活をね、首を長くしながら待ってたんだよぉ」
 春~よ来い、早~く来い。


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