
Hさんとは定期的に酒を酌み交わしている。付き合いはかれこれ二十五年になるが、彼とは何気に会話のキャッチボールが弾む。恐らく“聞く”と“話す”のバランスがいいからだ。
この日も“いせや公園店”で待ち合わせをした。
十一月十八日(火)。
「いやぁ~、遅くなっちゃいました、すいません」
「そりゃいいんだけど、今日はずいぶんと混んでるよ。ちょっとだけど並んだもんな」
平日の午後六時半であるが、ほぼ満席である。まったく不思議な店で、大昔も、コロナ危機の時も、そして今も、いつでも大繁盛。私が生まれた頃に開業した飲食店としては稀有なこと。
十二年前にリニューアルを行った時、この店の持つ強力な昭和レトロ感はどうなってしまうのか、非常に気を揉んだが、なんとかギリギリのところで上手に収めたことも、売上好調の要因になっていると思う。レトロな大衆酒場の体面なくして“いせや”とは言えない。

七年前、三十年近く続いた焼き鳥一本八十円が九十円に上がったときはがっかりしたが、肉のでかさ、味わい、種類の豊富さなどの“らしさ”をまったく変えずに今日まで至っていることは誠にありがたい。ちなみに現在は、ついに一本百円になってしまったが…
それでも、生ビール四杯、レモネードサワー二杯、焼き鳥四本、餃子二皿、シューマイ二皿、もつ煮込み二皿、以上合計5,570円は、変わらぬ価値である。