ヨルイチ・武蔵五日市

 八月三十日(土)。JR武蔵五日市駅周辺で行われる【ヨルイチ】なるイベントを覗いてきた。
 きっかけは「夜のスナップなら涼しさもあるのでは」という至極単純なものだったが、浅間尾根登山やつるつる温泉へ行く際に幾度も通るあの無味乾燥な道が、別世界へと様変わりした光景は暫し見惚れてしまうほど。駅前から檜原街道を西へ進むにつれ人いきれが増し、夜店やイベント会場では多くの見物客で賑わっていた。

 カメラを抱えてのんびり歩いていると、ドラムとベースの音が耳に入った。近づくと人垣ができていて、照明の先には年配者のバンドがライブの真っ最中。ボーカルの男性はサングラスで決めているが、私より歳上かもしれない。なかなか渋い声をしていたので聞き入っていると、いきなり“止まらないHa〜Ha”が始まり一気に盛り上がる。ベースの男性も声がよく、サザンのナンバーを披露した。
 道を横断し、はす向かいの会場へ移ると、こんどは年配の太った女性がギターを抱えてしみじみとバラードを熱唱中。その先では年配男性の二人組が、バンジョーとギターでなにやらアンサンブルを奏でている。脇にスチールギターが置いてあったので、待っていればハワイアンでもやるのかもしれない。
 さらに進むと、大きな会場に櫓が建ち、紅白幕の中では全員女性の和太鼓グループによる演奏が行われていた。打音には力強さがあり息もよく合っている。
 次から次へと現れる夜店や出し物に、時間はあっという間に過ぎていく。涼しさを期待して来たのだが、陽が落ちても相当な蒸し暑さがあり、シャツは汗でずぶ濡れである。
 それでも祭りの喧騒に身を浸すのは久しぶりだからか、決して退屈することはなかった。さらにこの町にはこんな人たちが生活してるんだと観察眼を光らせれば、武蔵五日市への印象さえ変わってくる。

 拝島で中央線東京行きへ乗り換える。国立を過ぎた頃にスマホを取り出し、女房へLINE。
ー 風呂沸かしといて
ー かしこまり。ご飯は?
ー つまみがあればOK
 車内の冷房で、シャツに染みた汗が冷えていく。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です