沼津に住む甥っ子や義理の妹が口を揃えてほめる“さわやかのハンバーグ”。
「さわやかって、店の名前?」
「そうみたい」
やや胡散臭いが、皆が美味しいというなら本当に美味しいのだろう。
女房には娘のコメントがとどめを刺したらしい。
「あやがすごく美味しかったって」
ついこの間、会社の同僚と遠州灘を旅行した時、そのさわやかに立ち寄って噂のハンバーグを食したそうだ。
「今度行ってみない」
「ああ、いいね」
こんな話はすぐにまとまる。
9月19日(金)。
さわやかのハンバーグを食べる目的ただひとつの為に、東名高速を走り富士市までやってきた。
インターチェンジを降りると、ものの10分ほどで到着。驚くことに午後一時を回っているのにウェイティングシートは満席である。
「こっちこっち」
甥っ子達も到着した。
午後一時に現地で待ち合わせをしたのだ。
暫く待つとテーブルへ案内され、さっそくメニューを広げる。
ランチタイムなので、看板メニューの“250gげんこつハンバーグランチ”が税込み1,058円とリーズナブル。もちろんランチセットなのでライスとスープが付いている。
迷うことなくこれを注文し、待つこと10分。
鉄板の上でジュージューと音を立てる拳骨状の真ん丸いハンバーグが運ばれてきた。
テーブルに置くと、ウェイターが慣れた手つきで半分にカット。まだ赤い色が残る断面を鉄板に押しつけ更にジュー!!!
もうもうと白い煙が立ちこめて、何とも香ばしい匂いが鼻腔を刺激する。
「凄いね、ハンバーグと言うより肉だね」
粗挽きを越えた超粗挽きの挽肉は、普通のハンバーグにはない確かな歯ごたえがある。
牛肉100%とのことだが、つなぎもしっかりとしていて、ジューシーで肉の味が濃く、評判の高さは頷けた。
この味とサービスならリピーターも少なくないはずである。
一般的なレストランでは、昼休みが終わる頃にウェイティングを見ることはできない。
さわやかから女房の実家へ向かう途中、県道22号を走ってみた。見渡す限りの稲作地帯は、色づき始めた稲穂で秋へとまっしぐらだ。その田園の北には広大な裾野をもつ愛鷹山がそびえ、南には千本松原が駿河湾に沿って長い帯を見せていた。
よく知ったつもりの沼津でも、目先を変えて動けば“お初の絶景”を見つけることができるのだ。