謎多し

空自機不明

4月6日(水)午後2時半頃。鹿児島で航空自衛隊の小型ジェット機が行方不明になった。
この事件はYaHooニュースにも、そして読売新聞4月7日(木)朝刊の一面にもでかでかと載っているのだが、記事を読み進めていくと、何やら次々と謎が出てきて、この先の動向が無性に気になってくる。

操縦桿を握っていた機長は40歳代の3佐。Topの空将から数えて5番目に位置する幹部であり、どう考えても相当な操縦経験と技術がある筈だ。おまけに副操縦士も乗っていたとのこと。
この他にも、機上で整備や無線を担当する専門の隊員までが乗り込んでいて布陣としては完璧だ。

消息を絶った小型ジェット機は、40年間も製造改良を続けているベストセラー機で、航空自衛隊では飛行点検機(航法施設検査機)として運用されており、これは航空航法設備などの動作点検を行うことが目的らしく、自動飛行点検装置なるものも搭載している。

当時の気象状況は山に一部雲がかかる程度で、視界は悪くなかったという。もちろん雨や風に関する注意報や警報は出ていなかった。

とにかく、隊員全員の無事を祈るだけだ。

ハンドクラフト

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「明日、仕事?」
「休み」
「じゃ、どっか遊びに行こうか」
「ディズニーランドは?!」
「勘弁してくれ」
「それじゃ、富士五湖で手作りがいいな」

3月18日(金)。女房とふたり、山中湖湖畔にある【クラフトの里・ダラスヴィレッジ】を目指した。
思い起こせば8年前。やはりこんな話の流れにより、同じく山中湖畔にある【アントヴ】という体験工房で、サンドブラストで仕上げるガラス工芸を体験し、それが夫婦共通の楽しい思い出として心に残ったのである。
そのアントヴではウィスキーグラスにイラストを画き、今でも宝物として大切に使っている。

「何作るの?」
「シルバー細工。パパは?」
「俺は陶器の絵付けでもやろうかな」

ダラスヴィレッジは、吹きガラスや陶芸などの本格的技術を要するものから、石鹸に柄入りナプキンを貼り付けるアートソープや万華鏡など、誰でも手軽に着手できるものまで、様々なコースを用意してある。
私がトライする陶器の絵付とは、あらかじめ選んでおいた陶器へカラーシールを貼り付けていき、完成したらスタッフに預けて後日釜で焼いてもらい、大凡2週間後に自宅へ届くという仕組みだ。
カラーシールはカッターやはさみで自由な形に切り抜くこともできるが、アルファベット、数字、そしてハート、星、花、動物等々のひな形カッターが用意されているので、絵心に自信のない人でも好きな絵柄を並べていくだけで、見栄えの良い一品を作ることができる。
darasu__makeカットしたカラーシールを水に浸すと、2~3分ほどで台紙が剥がれてくるので、空かさずピンセットでつまみ上げ陶器にレイアウトしていく。厄介なのは陶器とシールの間に必ずと言って気泡が入り込み、これを出来る限り抜かなければならない。何故なら気泡の部分は色が乗り辛いので、結果的にムラになってしまうのだ。
今回はロックを画いてみようと四苦八苦したが、お恥ずかしいことに似ても似つかぬ不細工犬となってしまった。しかし作業は楽しく、あっと言う間に一時間が過ぎ去った。

「どお? あら、いいじゃない」
「変な犬になっちゃった」

一方、女房は何やらウミガメの銀細工をこしらえて、ネックレスにしたそうだ。何れにしても、手作り品は作業も思い出の一部として残るので愛着はひとしおだ。約1時間少々遊べて、二人分の材料代込み込み5,000円強はとてもリーズナブル。しかもスタッフの方々は皆フレンドリーで、手ほどきも丁寧だからとても安心なのだ。

「あ~、お腹すいたね」

気が付くと午後一時を回っている。腹も空くわけだ。

「吉田うどんでも食べにいこうか」
「美味しいの?」
「分かんない。でも、この辺の名物らしいよ」

yoshida-udon工房を後に駐車場へ戻ると、湖畔はまるで春のような暖かさ。午後の空気感と相俟って心地よさはこの上ない。
出発して鎌倉往還を河口湖インター方面へ進んでいくと、木々の間から富士山が見え隠れし始めた。麓から頂上へ至るまで全て雪で覆われた真冬の姿は、寧ろ早春を演出して好ましい。
吉田うどんは河口湖インター手前にある【玉喜亭】でいただいた。
ふれ込みでは堅くコシの強い麺とあったが、実際はそれほどでもない。名古屋の味噌煮込みうどんのようなサプライズはなく、普通のうどん屋で出しても違和感はないレベル。
しかしここのうどんは料理としての完成度が高く、掻き揚げ、煮キャベツ、甘辛肉等々のトッピングはどれも丁寧に調理されていて、肝心な麺の食感は非常に良好だ。そして一滴残らず飲み干したくなる汁はリピーターの多さを想像させた。
但、敢えて一点挙げるならば、スリダネの風味がイマイチ。よく利用する河口湖の【ほうとう不動】のそれと比較すると、残念ながらやや個性に乏しいのだ。
料理にアクセントを与える甲州の名物スパイスだけに、もう一歩の工夫が欲しかった。

シーズン前の静かな山中湖。
しかしゴールデンウィークを皮切りに、鎌倉往還の交通量は一気に増えることだろう。

春爛漫

菜の花畑

朝夕の寒さの中にも、少しづつ空気の柔らかさを感じるようになったこの頃。毎度のことだが、桜開花情報が気になってくる。
昨年の今頃は思いもよらない厄介事に翻弄されてしまい、カメラを持って出掛ける気分には到底なれなかったから、今年はその分も含めて楽しんでやるつもりだ。

思い起こせば数年前。気持ちの良い陽気を追い続けるうちに、気が付けば南伊豆まで足を伸ばしてしまったことがある。
最初は伊豆高原辺りでぶらつくつもりだったが、車のウィンドーから流れこむ爽やかな空気が「もっと南へ行こう!」と誘ってきたのだ。
目的はなくとも行けるところまで行って、大海原を見ながら思いっきり深呼吸ができればそれも良しと思った。

「おおっ、こりゃ凄い」

下田を越えて更に車を走らせると、マーガレットライン入口の交差点脇に広がる“菜の花畑”が見えてきた。目映い黄色の絨毯の脇にはピンクの花弁を持つ河津桜が立ち並び、このコントラストが実に見事だった。
これぞ春爛漫。そこに佇めば体中に春色が染み込んでいくようだ。