春真っ盛り

 四月二日(火)。朝から青空が広がり、気持ちのいい空気感に包まれた。近所の桜はやっと咲き始めたところだが、こんな日は気持ちよく撮れそうな気がして、ハンドタオルと多めのティッシュをバックパックに入れて井の頭公園へ向かった。今年の花粉アレルギーは正直きつい。
 軽快に自転車を走らせつつも、三鷹駅前を通過するころには早くも目が痒くなってくる。公園の駐輪場に到着すると今度はくしゃみが三連発。飛びまくる花粉は多そうだ。
 池の畔まで下りてくると、桜を眺めつつ闊歩している人達はわんさかいたが、これに対して開花の状態は全体でまだ七分。被写体としてはやや寂しい。ただ、桜以外の花々があちらこちらに顔を出し、公園はまさに春真っ盛りといった様相だ。
「絵を描いているところ、撮らせてもらっていいですかね」
「あはは、撮るほどの画じゃないよ」
 とはおっしゃったが、筆遣いを見れば相当のキャリアを積んでいることは一目瞭然。春のあたたかみを感じさせる素敵な画風だ。
 池を一周する間に十回以上も鼻をかみ、ちょっとヒリヒリしてきた。メンタムを忘れたのは大失敗。

本日の機材:ニコン D7000+タムロン SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD

街中撮影

 花粉を避けるため、引きこもりな毎日が続いている。そんなことで読書量の増加が半端ではない。現役時代と比べればおおよそ倍だ。好きな読書なので不満があるわけではないが、この頃では物語世界への没入傾向が著しく、今が現実か否か一瞬わからなくなることさえある。やはり適度に屋外へ出て新鮮な空気を吸い込まないと、前頭葉の働きが鈍くなるのだろう。

 今日はちょっとした用事があって立川まで行ってきた。駅周辺は一昔前の面影が微塵も感じられないほど大きな変貌を遂げている。特に北改札をぬけて、ヤマダ電機前の広場に立つと顕著に感じる。ビルの合間にモノレールが走ることにより、幾何学的な美しさが加味されたように思う。せっかく外出したので、暫し駅前で撮影を行うことにした。出かける際はたいがいカメラは持参している。
 久々の街中撮影は新鮮で、ファインダーを覗いているだけで次から次へとイマジネーションが湧いてきた。一時間弱はあっという間だった。

家の中で

(左)ダンスパーティー  (右)モッコウバラ

 庭の植物が活況を帯びてきた。
 玄関前にあるダンスパーティーの新葉とモッコウバラの蕾が、春を察知して順調に成長している。植物の生命力ってのは本当に大したものだ。月末にはソメイヨシノの開花も始まるし、そうなってくれば山々の新緑が一気に加速するだろう。
 ただ、ここ数年は花粉症が悪化の一途にあり、三月の山歩きはどうにも腰が引ける。特に目のかゆみがひどいときは、山はおろかちょっとした外出も躊躇する。そんなわけで、広がる青空を恨めしく見上げつつ、部屋にこもって黙々と読書に勤しんでいる。川上未映子の『夏物語』が最近の一番か。

 昨日、NHKのBSで『男はつらいよ 奮闘篇』を鑑賞した。久しぶりの寅さんだったが、思いのほか見入ってしまった。四十八作にもなる人気シリーズに成長したことは、それなりの魅力があるからだ。
 ストーリーはいたってシンプルなものの、渥美清を筆頭とするお馴染み役者陣の演技が唸るほどすばらしい。一例では、寅さんこと渥美清と駐在さん役の犬塚弘のやりとり。何ともリズミカルで、その間合い等々はそれこそコント55号や志村けんにも影響しているのではなかろうか。あとは昭和ムード満点なのがいい。昭和という時代背景があったからこそ寅さんは生まれ、そして光ったのだ。