早一年

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前の晩にたらふく飲んだ酒のせいか、床から抜け出すのに一苦労したが、なんといっても年に一度の伊豆撮影旅行だから、ここは重い体に鞭を打って、予定通り爪木崎公園へ出かけることにした。
朝食の前に夜明けの海を撮ろうというのだ。眠い目を擦りながら、参加者全員ワンボックスへと乗り込んだ。

夜の帳に包まれた爪木崎。少ない街灯をたよりにカーブの多い道をひた走る。
車中は暖かいが、外はしばれる寒さだ。

「すこし明るくなってきましたね」

陽が昇り始めると瞬く間に明るさが増してくる。
車を降りると、それぞれが海岸に撮影場所を陣取り忙しなく準備を始めた。

その忙しさから早一年。
一週間後には今年の伊豆撮影旅行が迫っている。
どんな被写体が我々を待ち受けているのだろう。
楽しみだ。

ニコン1 V2・CXの未来

Nikon1_V2この頃ではV2の勘所も大部つかめてきて、スナップを中心に気軽な撮影を楽しんでいる。
小型軽量の恩恵は使う込むほどに実感でき、近い将来、ミラーレスモデルがデジカメシーンの中心的存在になることはもう間違いないだろう。
首に掛けた時の軽さはもちろん、ウエストバッグに入れて歩き回れる自由度は計り知れなく、いざというときにサッと取りだして、意図とする画を切り取れるパフォーマンスはなんとも心強い。

D100から一貫してNikonのデジイチを使っている経緯から述べると、とにかく自由な画作りにトライできる基本性能を、この小さなボディーにまとめた点に感心してしまう。写真撮影をわくわくさせてくれる技術向上にはいつだって拍手喝采だ。
但、Nikon1というカテゴリーは、その生い立ちからして不確実な要素の上に成り立っているということを忘れてはならない。
Nikon1の開発にあたり、真っ先はボディー設計ありきだったのか、はたまたCXフォーマットという1インチサイズ(13.2×8.8mm)の撮像素子開発が主眼であったのかは定かでないが、ややもすると今後どちらも宙ぶらりんになる危険性が大いにあるのだ。
CoolPixA何故かと言えば、それは同社コンパクトデジタルカメラ“CoolPix A”の存在に尽きる。
ボディーはコンデジだから当然小さく、殆どV2と変らない。そこに1616万画素のDXフォーマットを搭載し、デジタル一眼レフをも凌駕する画質をうたっている。
撮像素子の高画質化が今後どれだけ進んだとしても、CXフォーマットはその4倍の面積を持つDXフォーマットに、“ゆとり”の面で絶対に上回ることは不可能だ。システム全体を小さくする為にCXフォーマットを開発したのなら、なぜこうもあっさりとDXを詰め込んだCoolPix Aが現れてくるのだろうと疑問に思う。
“Nikon2”とでも称し、CoolPix Aをレンズ交換式にしようとする動きが出てきたとしたら、悲しいが、その時がCXフォーマットの幕引きとなる。

伊豆 紅葉

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紅葉の季節である。
よくチェックしているウェザーニュースの紅葉情報トップ画面でも、見頃マークが日に日に増えてきて、秋真っ盛りがひしひしと伝わってくる。
富士箱根、奥多摩、鎌倉等々、東京近郊のメッカと呼ばれる地域では、天候にさえ恵まれれば、11月末頃まで毎週末、大勢の観光客が押し寄せることになる。
そう、私の大好きな伊豆半島もこれからが本番。例年だと今月の半ばから色づきが始まり、天城の渓流沿いでは、水の流れと紅葉が作り出す、年に一度の“色彩ショー”が繰り広げられる。
なかでも“滑沢渓谷”は知る人ぞ知る紅葉撮影のグッドポイント。国道から目と鼻の先ほどのエリアなのに、深山ムードに浸れ、景観の多様性も十二分に期待できるので、じっくりと腰を据えて撮影に臨めるのだ。
狩野川と滑沢川が合流する周辺では、一枚岩の上を滑る水の流れに艶やかな赤と黄色が相俟って、思わずシャッターを押し込む指に力が入ってしまうほど。
一般的に伊豆と聞いて最初に頭に浮かぶのは温泉と海あたりだと思うが、なかなかどうして山や渓流も大きな魅力を放っている。寧ろ、南北50km、東西に20kmほどのエリアに、これほど多岐に渡る要素が網羅されているのは希有なことではないだろうか。