彼岸花

 自宅の門の前、歩道の生け垣の中から顔を出している彼岸花。どこから来たのか、はたまた誰が植えたのやら。発見したのは大凡二十年前。その後、毎年この時期になるとしっかりと咲き出し、その生命力は健気に思え、また神秘的だ。
 朝の散歩の際に暫し眺めていると、共に亡くなった親父とおふくろが、「お彼岸の墓参りには、きれいに墓を掃除してね」なんて、ふと訴えかけてきたような気がして目を見張る。なんだかこの彼岸花が、菩提寺である大仙寺とつながっているように思えてくるから面白い。

変わらぬもの

いせや公園店

 先日、吉祥寺のいせやで、旧職場の同僚とひと時を楽しんだ。互いに歳をとったので、どうしても健康の話題が出がちだったが、今のところ二人とも大きな病とは無縁の生活にあり、こうして度々焼き鳥を頬張り、酒を酌み交わしている。
 酒はNG、好物を食するにも制限あり、足腰に問題が出てきて山歩きもままならない、そして気がついたら病院通いに毎日の服薬……
 想像するだけで気分はどん底だ。
 いせやの焼き鳥はとてもジューシーで、舌に馴染んだタレの味はこの上ない。これに冷たい生ビールがくっつけば鬼に金棒。会話が弾めばまさに至極の時である。
 地元なので、いせやは学生時代からよく利用しているが、リニューアルを経ても変わらない雰囲気がとてもGoo。旧店舗は“THE昭和”といった趣に溢れていたが、新店舗はその雰囲気を残そうとした意図が見られて拍手拍手。大昔の話だが、元々いせやは精肉店としてスタートしており、今でも本店の西側には精肉工場を有している。だから肉は新鮮で美味しく、且つ安い。大ぶりな焼き鳥を四~五本食し、生ビールをグビグビッとやって千円とは泣かせるお値段。コロナが来ようと何が来ようと、リピーターが増えていくのは頷けるところだ。

無念

 つい先日、高校時代の友人が亡くなった。
 死因は膵臓癌。昨年に手術を行い、その後は入退院を繰り返していたようだ。一年半ほど前に会った時はすこぶる元気そうだっただけに、何とも複雑な気分に陥る。
 私は医者ではないので断定はできないが、彼は大学を卒業すると、ひたすら営業の道を歩み続け、接待等々、飲みたくない酒を飲むのが常事だった。また愛煙家でもあり、終身やめようとはしなかった。当然強いストレスにも苛まされてきたことだろう。こんな環境が続けばいくら屈強な者であっても成人病へとまっしぐらだ。
 家庭を守り、仕事は定年まで勤めあげ、これから人生の後半戦を謳歌するべくスタート台に立った直後の悲劇だけに、その無念さは計り知れない。
 享年六十八歳。好きだったゴルフや魚釣りはもちろんのこと、生きがいとまで豪語していた女遊びも、まだまだやれたはずだ。