還暦・女房とランチ

 この日、女房が武蔵境駅前にあるauショップに用があるというので、いっしょに行って、目と鼻の先にある町中華“東大楼”でランチでも、ということになった。この店は飛び上がるほど美味いわけではないが、何を食しても味付けは甘めで、そのせいか、ちょっとご無沙汰すると不思議に足が向いてしまう。
「自転車で行く?」
「あたし、歩きたいんだよね」
 女房は一日当たりの総歩数にこだわりがあって、スマホの万歩計アプリで絶えず記録をつけている。最低10,000歩はやらないと気が済まないらしく、私に夕食を出し終えると、さっさと着替えてウォーキングへ出かけるのがここ十年ほどのルーティンになっている。よほどのめり込んだのか、雨の日以外欠かしたことがない。
 まっ、そんな健康志向があってか、今までのところ大きな病気に罹ることもなく、日々元気でいてくれるのは本当にありがたいことだ。
 三月末。そんな女房がついに還暦を迎えた。娘ファミリーが祝いの席を作ってくれ、やんちゃな孫娘を中心に楽しいひと時を過ごした。義理の息子のご両親も元気そうで何よりである。
 やはり大切なものは健康。この頃では特にそう思うことが多くなった。

「決まった?」
「おれはマーボー丼セット」
「じゃ、あたしは回鍋肉定食にしようかな」


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