古傷

 遥か昔、沼津市の中学校へ通っているころだ。
 体育の授業で跳び箱をやった際、閉脚飛びに失敗、前方へもんどりうって、運悪く左手親指の付け根を捻挫してしまう。それ自体は数週間で回復し、いつの間にか意識することもなくなったが、忌々しいかな数年前に“古傷”として復活。寒くなると決まって症状が現れ、特に今シーズンは気になるほど痛む。幸いなことにギター演奏にはそれほど支障は出てないが、今後どうなるかはわからない。

 先日、友人のHさんと数か月ぶりにおしゃべりを楽しんだ。彼も十年前に右足首を骨折し、折れ方と初期の手当てにアンラッキーな経緯があって、今では杖が必要になるほど悪化している。Hさんは御年七十二歳だ。
 事故が起きたのはインドネシアのバリ島。
 当時フリーライターだった彼は取材目的で同島へ渡航していた。片田舎を自転車で回っているうちに欄干のない橋へ差しかかる。緊張しつつ渡り始めると、不味いことに前方から車が向かってきた。幅員がひどく狭いので怖いが端に寄ったところバランスを崩し川へドボン。橋はそれほど高くなく川も深くはなかったので大事には至らなかったが、時間経過とともに右足首が痛みとともに腫れてきて、これはまずいと一応現地の病院で診てもらった。ところがその後の経過が思わしくなく、松葉づえを頼りに帰国すると、すぐに地元の形成外科へ。
 わかったことは、すぐに外科的治療が必要だったこと。
 今でもリハビリに通っているが、回復には程遠く、数年前から足を引きずるようになってしまう。これまで生活にそれほど支障は出なかったが、加齢とともに悪化は進んだ。今では立ち上がる時も、なにかにつかまらなければ不安だという。
 軽傷と思われる怪我も、先々を考えればきちんと治す必要は大ありだ。
 あ~~、嫌になっちまう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です