ラーメン 大山家

 大好きなことの一つに読書がある。大学生のころからのめり込み、最近の読書ペースは年間五十冊を下らない。場所を気にせず読めるところから、そのほとんどは文庫本である。調達先はもっぱら近所の“BOOKOFF武蔵境連雀通り店”。二週間に一度ほど来店しては、面白そうな本を物色するのがレジャーになっている。
 そんなことで、ふと気が付けば結構な量が溜まっていた。ぞんざいに積み重ねているだけなので、今にも崩れそうだ。
「あとでさ、本、売りに行ってくるよ」
「BOOKOFFでしょ」
「ああ」
「だったら隣のいつも行列してるラーメン屋いかない?」
 隣のラーメン屋とは、とき卵ラーメンが看板の“大山家”である。
 昼前後に前を通るといつも五~六人は並んでいて、一度は試してもいいなと思っていた。
 段ボール箱半分くらいでもクソ重い古本をPOLOのトランクに載せ出発。十一日(火)は午前中から気温が上がり、前後左右のウィンドウは全開である。
「リーちゃんかわいそうだから、もうエアコンだね」
 うちは愛犬リチャードを中心に動いている。

「おまたせしました。八百五円ですが、よろしいでしょうか」
 店長と思しき男性が、神妙な目つきでタブレットを差し出したが、ラーメン一杯分にもならない。POLOはそのままBOOKOFFの駐車場へ入れておき、大山家へ向かった。
 入店はお昼ジャストだったが、それほど待たずにテーブル席が空いた。女房が“つけ麺キャベツ入り”、私は“とき卵ラーメン”を注文、さほど待たずに料理が運ばれてきた。見た目はうまそうだ。さっそくスープをチェック。なるほど、とき卵がいい仕事をしている。豚骨をまろやかで甘みある味わいに仕立てている。特製の太麺とスープの相性もいい。ただ一点残念なことは、スープがぬるいのだ。家系ラーメンにはよくあることだが、もう少々これについての工夫がほしいところ。
「キャベツがなかったら飽きちゃう味かな」
 女房もなかなかキツイ。
 とき卵ラーメン:九百五十円、つけ麺キャベツ入り:千百円なり。常々感じることだが、庶民の食べ物ラーメンが千円というのは、どうも納得がいかない。高価なトッピングがのっているならまだしも、チャーシューと海苔にとき卵である。これが七百八十円ほどなら進んでリピートもするが、次はどうか……


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