思い起こせば二十年前。自宅にある画像レタッチ専用のPCが突如起動しなくなり、原因を調べると、HDDのご臨終。これにより、大切にしていた相当量の写真データを失うはめになった。
そんな経緯から、現在使っているHDDも購入から六年を超えてきたので、そろそろバックアップが必要だと痛感。データ量は1TB弱ほどあったので、東芝のDT02シリーズの3.5インチ2TBを玄人志向製HDDケースに入れて、外付けHDDとして使ってみた。フルバックアップに約二時間かかったが、これでひとまずは安心。
バックアップの前準備として、見事にばらばらだったフォルダの整理を行うことにした。「山」、「伊豆」、「近所」等々、大まかにフォルダを作っていき、後で検索しやすいようにした。ところがこの作業を始めると、どうしても懐かしい画像に目が行ってしまい、「こんなところへも行ったっけ」、「北海道では家族に迷惑をかけたな」、「八重山へ行くために超広角レンズを慌ててヨドバシカメラへ買いに行ったんだ!」等々、記憶の噴出が止まらず、作業は止まったまま時間だけが過ぎていく。そんな中、てっきり失っていたと諦めていた、貴重なデータを発見。暫し見入った。
その画像データとは、大規模崩落により、今では簡単に入り込めなくなった、大丹波川最上流域での渓流撮影を行った時のもので、すでに二十数年が経過している。
改めてじっくり鑑賞してみると、自分にとって初のデジイチになる、Nikon・D100を手に入れた喜びから、積極的に被写体を追い求める姿が手に取るようにわかり面白い。構図もよく考えていて、昨今のマンネリ化した画などよりは、よほど生き生きした印象をうけた。NDフィルターを使用し、腰を据えてスローシャッターにトライしたのも、確かこの時だったと思う。
このフォルダの階層を追っていくと、更に貴重なデータを発見。なんと一九九九年発売のNikon・D1に、シグマのマイクロレンズを装着して切り取った、色彩鮮やかな花の写真だ。自宅の門に取り付けたプランターから元気に開花しているさまを、三脚を持ち出して慎重にシャッターを下ろしたものだ。
それにしても266 万画素という、今では考えられないロースペックではあるが、なかなかどうして、いい画になっている。接写ということもあるが、ボケ味も悪くなく、二十四年前のAPS-Cマシンとはとても思えないクオリティー。D100の610万画素も然り。以前も同様な記事を載せたことがあるが、年々確実にスペックが上がっていくデジカメは、世のカメラ好きとの間に、微妙な溝を作り続けている。
オートバイ業界で生計を立てている者として比較情報をひとつ。
最高出力200馬力オーバー、最高時速300kmオーバーという、一昔前のワークスレーサーをまんま凌駕するスペックを誇る夢のスーパー市販マシン。ところが、このような商品群が、なぜか年を追うごとに売れなくなってきている。
これ、カメラ業界の現況にも当てはまる傾向ではないだろうか。