東京も八王子の川口辺りまでくると、ソメイヨシノもいまだに元気がよく、最高の見ごろを迎えていた。桜だけではない。梅も然り、その他の春の花も待ってましたとばかりに開花していて、秋川街道はまさに花の街道を呈している。
暖かい空気を頻繁に感じ始めるこの頃、西の山々ではツツジが開花し始め、大塚山の花のトンネルを思い出す。ただ、それを見る前には足の馴らしが必要なので、今熊神社のミツバツツジを愛でつつ、刈寄山へと登ってみた。
案の定、駐車場はほぼ満車だったが、いつものトイレ前に空きを見つけたので、すかさずPOLOを停た。珍しいことに、駐車場の脇にはテーブルをいくつか並べた、地元産野菜の即売店が出ていた。ミツバツツジを求めてそれだけ多くの人々が訪れるということだろう。
登山道へ入る前に、まずは境内の撮影を行った。薄桃色の桜と紫色のミツバツツジのコラボは季節の移り変わりを表していて、心が躍る。
歩き出してまもなくすると、着実な森の変化を見ることができた。全体的にはいまだ冬枯れと言っていいが、その中に艶やかな若葉がいたるところに顔を出しているのだ。二カ月前には一輪も見つけることのできなかった花も、まだまだ少ないとはいえ開花が始まっている。可憐さの中にある力強さを感じてしまった。
八王子地区の天気予報を参考に、着ていくものを選んでみた。ノースリーブのアンダーの上に長袖シャツ、下はストレッチのタイトスラックスにSALEWAのローカットシューズと完全に春の装いだ。これがドンピシャ。日の当たらないところではちょっとヒヤッとするが、それほど汗をかかなかったので寒いと感じることはない。頂上へ至るまでの間、実に気持ちのいい山歩きとなった。
なかなか治らないのが右の膝痛。今回も登り始めに痛みが出た。あまり酷くなるようだったら引き返そうとも考えたが、十五分から二十分ほど歩くとかなり痛みが軽減されので、そのまま頂上を目指すことにした。ただ、あまりダメージを重ねたくなかったので、下山時にはトレポの出番となった。
つい最近、ザックの中へすっぽりと入る折り畳み式のトレポをAmazonで購入した。トレポはザックの外側に取り付けると、電車に乗る際かなり邪魔になることがあり、新たにコンパクトなものを追加したかったのだ。価格は二本セットで\3,099と破格。無名メーカーだが、意外やレビューが上々だったので、これでいいやとポチッとした。受注生産らしく納期には三週間を要したが、届いてみると作りは満更でもない。ただ、実際に山で使ってみたらなんとなく重く感じた。ただ、メインで使っているのがkarrimorのカーボン製なのでそう感じるのも無理はないが、この使用感は若干気になるところ。キッチンスケールで正確な重量を計ってみると、無名メーカー:277g(一本)、karrimor:195g(一本)と出た。もっとも、一本150gほどの商品はモンベルでも販売しているが、その価格は二本セットで\12,000を超える。そう考えれば今回の無名品は文句なしのCPと言える。それに電車で行く山歩きにしか使わないのだから、耐久性も特段心配する必要はないと思う。
肝心な効果はしっかりと現れた。若い人や脚力に自信のある人だったらトレポは不要かもしれないが、私のような年配者や膝に問題がある人にはぜひ試していただきたい商品だ。一般的にトレポの効果は<歩行の推進力アップ”や“バランス保持>と言われているが、これまでの経験から、確かに前へと押し出す力ははっきりと自覚できるし、足元の悪いところでは度々助けられている。しかし一番効果ありと断言できる場面は下り。一歩踏み出す直前にトレポで着地点周辺を支えておけば、確実に軸足の大腿筋の負担が減る。着地する際の衝撃は、後ろ側、つまり軸足の大腿筋の力で支え低減させるのだから、それは理にかなう。ステップが大きめのところは特に実感できるだろう。衝撃の緩和は膝の負担を減らすことになるのだから、大いに注目すべきだ。