頭を抱える事態 その10

 政府の及び腰にはいささか呆れてしまう。だいたいあの「まんぼう」って一体なに?
 “まん延防止等重点措置”と聞かされた時には、とてつもなく仰々しい呼称なので、ついに新手か!と、ちょびり期待もしたが、調べればびっくりである。今回も具体的な施策は提示されず、ただひたすら市民の良心へ訴えかける“緊急事態宣言”と何ら変わらないのだ。市民の落胆は手に取るように分かるし、先の見えないコロナ禍に溜息の連発だろう。我々は少々乱暴でも具体的な解決策を欲しているのだ。
 例えばワクチン接種。憤慨するのは先進諸国の中では断トツに低い接種率。これを英国や米国並みへと持っていければ、心情的にも前向きな姿勢へと変化していくはずだ。
 特にワクチン接種で「100人当たりの接種回数:59.7」という英国は先進諸国の中でトップであり、案の定、コロナ禍は収束へ向かって劇的に改善されているという。これに対して日本は1.3と比較にもならない数値なのだ。
 この数値結果には訳がある。医師も一般市民も総じてワクチン接種に対しての危険性を感じているからだ。それは既に国民性といって憚らない。
 2013年から定期接種になった子宮頸がんのワクチン。しかし、その後副作用の可能性がマスコミで大々的に報道され、挙句の果てには『積極的勧奨の中止』となってしまう。歩けなくなった、計算ができない、痙攣するなどの症状を訴える車いすの少女たちの映像が連日マスコミから報道され、“ワクチンの副作用は恐ろしい!”がしっかりと定着してしまったのだ。ところがその後、この症状がワクチンの副作用と断定される科学的証拠は出ることがなく、子宮頸がんワクチンとの関連は否定されたのだ。それより日本では毎年1万人が子宮頸がんにかかり、約3千人が亡くなっているという事実に目を向けなければならい。
 また、2005年5月には、日本脳炎のワクチン接種後にアデムと呼ばれる重い脳炎の人がでたことで、接種が実質上見合わせになったことがあり、2006年、この問題を受けてWHOでは専門委員会が検討を行い、その結果日本脳炎は大変重大な病気でワクチン接種が必要であり、ワクチンでアデムになるという日本政府の見解は根拠がないと結論づけている。
 まずは国民全体でワクチン接種への意識改革を行わなければ問題解決は難しい。
 政府が科学的根拠を掲げ、ワクチン接種は安全であることの訴求を続けること、そして決して「0」にはならない副作用に対しては、良い意味で“大陸的おおらかさ”を持つことが肝ではなかろうか。


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