ミヤマツツジ・今熊神社遥拝殿

安倍首相による緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日(水)。早朝から澄み切った青空が広がり、初夏を思わせる空気感は気持ちを山へと向かわせた。
もちろん不要不急の外出はご法度であるが、ひとり車で出かけ、山中往復4時間の行程で、行きかう人は1~2名といったレベルだったら、体調や気持ちの管理を考慮すれば許される範囲ではなかろうか。
ということで、今熊神社の遥拝殿へと車を走らせたのである。実はこの日、伊豆は天城山の八丁池へ行こうと計画を立てていたのだが、<他県への移動は極力控えるように>との宣言内容もあったので、急遽馴染みの刈寄山へと変更したのだ。

登山口のある駐車場へ向かう細い道を上がっていくと、対向車が現れた。滅多にないことである。ギリギリすり抜けて進んでいくと、またもや対向車。いつもと異なる雰囲気を感じつつ、遥拝殿の見えるところまで来て、びっくり。
山々が華々しいピンク色を発しているではないか。ここで思い出した。遥拝殿はミツバツツジの群生地で著名なところだったのだ。それにしても艶やかである。ほぼ満車の駐車場は、ツツジを見る為に訪れた人たちだったのだ。
これが全て登山者の車だったらびっくりどころの騒ぎではない。

しかしこのようなご時世、私と同じような考えを持つ方々は多いのだろう。前述のとおり、普段は山中で会う人は精々ひとりかふたりなのに、この日は今熊山~刈寄山間で8人ものハイカーを見かけたのだ。過去最高記録である。
刈寄山の山頂で誰にも邪魔されることなく、ひとりのんびりとランチするのが楽しみなのだが、山頂への到着時間があと40分遅れたら、のんびりどころかそれこそマスクが必要になったはずだ。

つい一か月半前の刈寄山は、冬枯れが全山を覆い、あるのは静けさだけだったのに、今回は芽吹きをはじめとする山の蠢きを強く感じることができた。そして驚いたのは、山中にこれほど多くの桜の木があった事実。一週間前だったら、ツツジと一緒に緑の斜面にパッチワークのようなアクセントをつける、白いヤマザクラのピークも見られたことだろう。


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