地元の夜景

先日行った川崎の工場夜景の撮影は、普段よく行うスナップとはまた違った趣きがあって、ついつい時間の経つのを忘れてしまった。
但、AFの効かないシーンが多々あったり、カメラの固定にシビアさが必要だったり、はたまた絞りやシャッター速度によって光が多分に変化すること等々、同じ撮影でもチェックしなければならない事項が多く、正直なところ簡単ではなかった。
そもそも夜景撮影は、昼間撮影と求めるものが少々異なるのだ。
長時間露光にあるような、目で見た景色をリアルに再現するのではなく、カメラでしか捉えられない特殊な空間を表現するのであって、大袈裟ではなく、“異空間創造”と称して良いのではなかろうか。
そんなことで、空気が澄みきるこの冬、研究がてらに夜景を楽しむことにした。

工場地帯も川崎のほんの一部を見ただけであり、更に都会のビル群なら良さげなところはいくらでもある。だったらそれはそれとして、手始めに地元へ目を向けるのも面白いのではとふと思った。
肝心な撮影ポイント探しにはリチャードの散歩がうってつけだろう。この時期、17時になれば陽は落ちるので、夕方の散歩を兼ねてあちこち回れる。
レギュラーコースは町内を反時計回りでぐるり一周。駅へ向かうと先ず目に入ってくるのがツインタワー。三鷹駅北口のシンボルとなって久しい高層ビルである。地元で夜景とくれば大概これを絡めるだろう。
ツインタワーがストレートに見渡せる、電線の全く掛からないポイントなども既にチェック済みだが、恐らくベタになって、いまいち画になり辛いかもしれない。
パスしてそのまま進み、飯田産業を左に折れて細い路地に入る。ツインタワーは完全に隠れてしまった。更に進んで2つ目の角を曲がると、ふと背後に光を感じた。振り返れば薄暗い住宅街の背後に光り輝くツインタワーが頭を出している。これはいける!と直感。リチャードには悪かったが、急いで家へ戻った。

あの場所なら超広角が面白そうだと、D600にシグマの12-24mm/F4.5-5.6を装着。リモコンと三脚を持ってすぐに現場へ引き返した。ISOは100固定、絞りはF11。ライブビューを使うが、AFでピントが出ない場合が多く、そんな時だけは拡大表示してMFで合わせるのだ。

― こんな薄暗い住宅街で何やってんの?
ありあり分かる視線を浴びながらも、シャッターを切り続けた。予想より通行人が多いのでびっくりしたが、厄介なのは意外と車が入ってくることだ。通行人は無害だが、車が通ればスローシャッター故に盛大な光の帯が入ってしまう。
それでも30枚を撮りきり、さっそく自宅へ戻ってモニター。なるほど、地元の風景をこんな形で表現できるのかと暫し見惚れてしまった。
やはり写真表現は奥深い。D600を持っていても“豚に真珠”と言われないよう、もっともっと勉強して経験を積まなければ☆


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