鰻・鈴木

久々にうまい鰻をいただいた。
6月24日(水)。調布に開業してちょうど20年の月日が経った鰻処【鈴木】。
オーナーであり職場の常連客でもある鈴木氏が、その開業記念にと、な、なんと弊社スタッフ全員、“鰻ディナーコース”へご招待くださったのだ。
知る方々の“鈴木評”は上々であり、昨今流行りの食べログを覗いてみても、すばらしいコメントばかりが並び驚いた。
こうなると期待感は急上昇。当日は昼食を少なめにすまし、万全の準備とした。

鈴木へのアクセスは、調布駅東口から徒歩で1~2分と飲食店としては好条件である。
私は他のスタッフ達と車に相乗りし、旧甲州街道に面したコインパーキングから歩いて行ったが。途中は飲食店が密集する繁華街で、そこから目と鼻の先にある白い高層マンションの1階に鈴木の看板はあった。

「いっらしゃいませ。バイク屋さんの皆さんですか」

コックコートを着た若い女性スタッフが迎えてくれ、奥へ進むとカウンターの中には笑顔満面の鈴木氏が、

「指定席になってますので、まずはそこへ掛けて下さい」

なるほど。カウンター席にも、背後のテーブル席にもネームカード置かれいる。今日は完全な貸し切りである。
私のネームカードはカウンター席にあったので、さっそく腰かけると目の前が厨房になっていて、まな板では鈴木氏が今まさに串を打っているし、炭き台にも真っ赤になった炭が並べられている。そう、カウンターは特等席なのだ。
店内を見回すと、鈴木氏の他に3名の若い女性スタッフがいて、1名が調理アシスタント、あとの2名がホール係のよういだ。
カウンター端にはBruce Springsteenの写真が飾られ、BGMも彼のナンバーがかかっている。一般的な鰻専門店とは一線を画く独自な演出だが、これが鈴木氏の個性を含めてピッタリと馴染んでいるところがGoo。

何はともあれシャンパンで乾杯。
アルコールが入ると、待ってましたとばかりにそこかしこでお喋りの花が咲き始めた。
少し経つと、ホールの女の子が茶わん蒸しを持ってきた。出来立てで舌を火傷するほど熱々だが、何とも出汁がきいていて美味である。その次にタレ味の獅子唐の串焼き、固めた大根おろしと続く。
そして遂に今回準主役の白焼きの登場である。
酢橘を振り、山葵と浅葱をトッピングして少量の醤油をつけ口へと運ぶ。

「すみません、冷酒いただけますか」

日本酒にこれだけマッチする食べ物はないだろう。酒と鰻のハーモニーに心酔しつつ箸を進めた。
出てきた酒も切れの良い辛口で、白焼きの旨味をこれでもかと際立たせるのだ。

いい感じの酔いが回ってきたところで、お新香と吸い物が運ばれた。ということはメインディッシュのお出ましだ。
先ほどから手際よく焼いた鰻をタレに漬け込み再び焼き台に乗せているので、そろそろだとは思っていた。堪らない香りに反応して胃液が滲みだしているのが良く分かる。

「おまたせしました」

予想通り、輝くばかりの鰻丼である。
早速いただくと、先ほどの白焼きとは違って、慣れ親しんだ味わいが口いっぱいに広がった。
タレはあくまでも鰻の風味を邪魔しないあっさりしたものだが、その味わいは深く、思わずガツガツと一気に食べ進んでしまった。しかも箸休めにだされた奈良漬けが、これまたよく鰻に合うのだ。
最後は日本酒のシャーベットで締めとなったが、上品な香りは今回のコース料理のデザートとして最良のものだったことは言うまでもない。

お一人様絞めて、14,000円。
ご馳走様でした。


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