鎌倉散歩・樹ガーデン

12月1日(火)朝6時。日課であるリチャードの散歩へ出掛けると、快晴、無風の心地よさに歩みが軽く感じられた。気温はやや低めだったが、風がないので寒さはさほど感じない。間違いなくお出掛け日和である。
家に戻って、さっそくカメラのチェック。
レンズOK、予備も含めバッテリーOK、フィルターOK。
街中の紅葉も見頃は終わりに近付きつつあるので、久しぶりに鎌倉へでも行ってみようかと支度を始めた。

新宿から<湘南新宿ライン逗子直通>に乗り込む。降りた駅は静かな古刹めぐりが楽しめる北鎌倉だ。
ところが改札を出て、目の前にある円覚寺の入口周辺にはひとだかりができていた。更に建長寺方面へ延びる道筋にも大勢の観光客が目に付く。
いや~、興醒めだ。ましてコロナ禍拡大の中、この活況は一体どうしたことか。
とにかく人を撮りに来たわけではないので、神社仏閣巡りは急遽中止。以前トライして印象の良かった“鎌倉アルプス”の続きということで、今回は“葛原岡・大仏ハイキングコース”を歩こうと、踏切を渡って、スタート地点である浄智寺へ向かった。

建長寺や円覚寺等々の大規模寺院と較べて、浄智寺、東慶寺、そして報国寺のような小ぶりな寺院には、はっきりと分かる“しっとり感”が存在する。この感覚こそ仏の存在ではなかろうかと、何故かこの頃思うようになってきた。
境内を右に見ながら脇道である上り坂をひたすら進む。山歩きに慣れた足なら堪えるレベルではないが、最低限スニーカーは履かなければ歩ける道でないことを知っておきたい。
鎌倉アルプスに負けず劣らずの山道が続くが、一部は住宅街を通過するという変化に富んだコースは冒険心をくすぐられ楽しくなる。
歩き始めて20分ほど経った頃だろうか、開けた下りに掛かろうとした時、前方から緊急自動車のサイレンが響き渡ってきた。それと同じくして、消防隊員とジャージを着た年配男性の2人が、前方の坂道を下ってくるのに目が留まる。

「緊急連絡した男性はあそこですよ」

ジャージの男性が指さした方向へ目を向けると、一人の男性が薮の中から現れた。

―あれ? あの男性、メインコースを外れた脇道に入り込んでいた人だ。

好奇心が一気に膨れ上がり、ジャージの人とすれ違い様、堪らず声を掛けてみた。

「どうしたんですか」
「足を挫いて歩けないとか、、、よくわかんないっすけどね」

不用心はNGだ。低山でも致命的な落とし穴はいくらだってある。そもそもあんな獣道のようなところへ、なんで入り込んだのか。木の根に足を取られて転べば、普通に捻挫もありうるし、況して鎌倉だから良かったものの、ちょっとした山中だったら、携帯電話が届かないエリアは意外や多いのだ。
坂を上り詰めたところが“源氏山公園”。普段は静かで、ハイキングの休憩にはもってこいの場所なのだろうが、目の前には消防車3台、救急車1台、消防隊員ざっと10名強と、騒然とした光景が広がっていた。
もちろん休憩などはせず、そのまま鎌倉の大仏がある高徳院を目指して歩を進めた。
ここから暫くは住宅街の中を歩く。
どの家を見ても築は古く、人が住んでいるのだろうかと疑わしい家も多々ある。但、鎌倉駅からそう離れているわけでもないので、車さえ所有していれば、結構快適に暮らせるかもしれない。
途中、銭洗弁天への分岐もあったが、今回は欲張らずにパス。再び道は山道へと変わった。

【Cafe terrace 樹ガーデン】
山中に忽然と現れた看板。そろそろ一服でもしたいと考えていたので、やけにタイムリーである。
つられるままに石段を下りていくと、素晴らしくお洒落なオープンガーデンが待っていた。常連客から“天空のカフェ”と呼ばれているそうだが、まさにぴったりの形容。レンズを向ければどこを切り取っても“インスタ映え”すること間違いなしだ。
手をアルコール消毒したら、最初に入り口受付で注文、続いて代金を払う。後は好きなテーブルを選んで待つだけ。
風が殆どなかったから、座った瞬間から寛ぎムードに浸れた。
ぐるりと見回せば、ワンちゃん連れの若い女性グループ、年配夫婦2組、若いカップル2組、常連と思しき年配女性等々、特殊な場所の割には繁盛している。
その時、ふと疑問が走った。ここにいる人達は皆あの山道を歩いてきたのだろうかと。
年配者や若いカップル客は何とかなっても、ワンちゃん連れの女性達3人は、全員お洒落バッチリだし、ちらっと見えたあのブーツで山道は歩くまい。
さっそくスマホでググってみると、なるほど、反対側には駐車場も完備されており、そこから長い階段がここまで伸びているのだ。いずれにしても多少汗をかくことになるが、この雰囲気の中でのティータイムを考えれば、常連客は少なくないだろう。
トレンディーな店が多い鎌倉でも、ここはちょっと別格だ。


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