SONYのカメラ

SONYのα6000+SELP1650。衝動買いしてしまった。
 ここ数年の写真界は、α、α、α、α、と、SONY一色に塗り固められた感がある。一方、二大巨頭と呼ばれるCanon、Nikonの影は年々薄くなるようで、特に20年来のNikonユーザーとしては心配になるほどだ。ただ、写真好きの本音をいえば、“SONYってそんなにいいのか?!”と、常々気になっていたことは確か。これまでNikon以外のメーカーで、どれほど性能のいいモデルが発売されても、あまり関心は湧かなかったが、2013年にα7をヨドバシカメラの店頭で見かけたときは、久々にインパクトを受け、気が付けば手に取ってじっくりと観察していた。薄くて軽くて、それでいてオールドNikonを彷彿させる角ばったデザインに妙に惹かれたのだ。
 カメラ雑誌やネットでは“イカみたいな形”なんて表現されていたが、設計者のセンスには正直脱帽である。とはいえ仮にα7を手に入れようとすれば、レンズ資産の問題があるのでそう簡単には決断できないが、弟分である更に小型のα6000が発表された時には、反射的にこれなら何とかなるかなと物欲が上昇した。
 決してSONYに鞍替えしたいのではない。そもそも使い慣れたNikonを手放す考えなど毛頭なく、ただ単にαってどんな商品群なのか、実際に使ってみて、少しでもいいから業界を席巻する何某かを感じ取ってみたかったのだ。

 入手したのはシャッター数17,000回の中古品。ただ、丁寧に使われてきたようで、小傷もほとんど見られない良品だ。使い方に慣れてくると、なかなかどうして機能的に作られていることがわかる。特にオートフォーカスの精度とスピードは心地よいレベルにあり、普段AFエリアはシングルしか使わないが、シャッターチャンスに強いα6000が街中スナップにどれほどの力を見せるのか、試写ではワイドエリアを選択、そして結果は想像以上であった。
 ゾーンまで使わなくてもターゲットへのジャスピン率は高く、テンポよくシャッターが切れる。バリアブルな液晶はいうまでもなく便利で、特にローアングルでの撮影は楽しい。

肝心な画質については、Jpeg撮って出しが意外やNikonと同系統の色味だったので、違和感を覚えることなく、レタッチフローもこれまでと同様に進めることができた。そしてイメージセンサーがAPS-Cなのはやはり強い。
 Nikon1V2と比較した場合、立体感は際立つし、何よりボケが自然だ。V2もインチセンサーの割には優秀な画質なのだが、センサーのボリューム差による質感だけは如何ともし難いところだろう。

ニコン 頑張れ! その4

 3月2日付Business Journalの記事を読むと、ニコンが厳しい経営状態へ陥ていることが良くわかる。
 2021年3月の連結決算予想は、売上収益が前年対比▲24%、営業損益は何と650億円の赤字となり、これは過去最悪ペース。しかも赤字の60%が映像事業というから深刻だ。
 具体的な売上数字を挙げると、レンズ交換式デジタルカメラ並びに交換レンズが共に前年対比▲47%、コンパクトデジタルカメラにいたっては▲70%と散々たる状況である。ニコンファンとしては穏やかでない。

 2002年にデジタル一眼レフの購入を考えた時、EOSの発売と同時にマウントを変えてしまったキヤノンは選択から外した。一方、レンズ資産を何よりとするプロやハイアマを尊重した運営をモットーとするニコンには、気骨すら感じ、発売されたばかりのD100を即購入。マウント方式を維持してくれれば、先々まで安心して写真を楽しめるというもの。
 カメラのレンズは高価である。しかし趣味としての写真が深まっていけば、様々な画角で捉えてみたいと誰もが思う。標準レンズ以外に広角や望遠が欲しくなるのは、もはや避けられない流れなのだ。
 まだ独身だった頃、カメラはキヤノンのAE-1を使っていて、純正のFDレンズを4本所持していた。ところが前述のように、1987年に発売となったキヤノンの新ラインナップ<EOSシリーズ>は、大口径で完全な電子マウントへと変貌した。これは愛用してきたFDレンズ4本全てが過去の産物となることを示した。
 現在のようにYaHooオークションでもあれば、金銭的被害は最小限に抑えられただろうが、当時のFDレンズ買取相場は、新マウント出現と同時に下落。とてもではないが売り払う気にはなれなかった。よってAE-1共々、屋根裏部屋にいまだ保管中である。

 デジカメ全般の不調はなにもニコンだけではなく業界全体の問題だ。絶頂期である2010年と比べれば総出荷数は“14分の1”にまで激減している。この低落の要因はご存じのとおりスマホの台頭だ。
 単なる付属機能を脱したカメラの超高性能化は、コンデジの存在意味を消滅させた。それだけではない。一番の要因は、FacebookやInstagram等々のSNSの普及だろう。パチッと気軽に撮った写真をその場で全世界の人々に公開できるなんて、一昔前だったら夢物語。しかも全ては無料なのだから普及しないわけがない。そう、もはやスマホと画像は、現代のコミュニケーションツールの最強タッグなのだ。

 それではニコンも含めて、カメラ業界はどのような対策、またどのような方向性を持たせたらよいのか、私なりに考えてみた。
 まず、スマホの爆発的普及の背景には何があったのか。
 どれほど便利で高性能なスマホでも、そのサイズが大戦時代のトランシーバーほどあったら、殆どの人は手を出さないと思う。薄くて軽くてジーンズのポケットにさっと収まるサイズなのに、通話機能だけでなく一般的なPCとさほど変わらない能力を持ち、おまけに高級コンデジほどの撮影機能を有しているのだから、売れて当然というべきかもしれない。昨今では老若男女が挙って使う“LINE”だって、スマホありきの産物なのだ。
 これに対して、コンデジなどは図体がデカいわりに、当然だが撮影機能のみしかなく、最高峰のコンデジといわれるリコーの“GRⅢ”の流通価格は何と約100,000円もする。これに対し最新スマホでナンバーワンの撮影機能を有するSONYの“Xperia 1 II”も約100,000円の流通価格なのだ。
 前々から感ずることだが、スマホはあれだけ薄くて小さい筐体と、一見おもちゃのような小さいレンズ構成なのに、非常にきれいな画を作り出す。ということはその技術を使えば、コンデジほどの筐体と大口径のレンズがあれば、D6並みの性能を詰め込むことだって可能ではないかという、シンプルな疑問があった。
 小さくて軽いという要素は、スマホの普及を考えても注目すべきポイントである。
 だいぶ前の話になるが、2003年に発売されたニコンのプロ機“D2H”に、ニコン初となる自社製のイメージセンサーが搭載され話題となった。ニコンファンとしては当然のように興味が湧き、我慢ができなくなった私は、中古ではあるが手に入れてしまったのだ。
 オリジナルイメージセンサーの魅力もさることながら、何といってもニコンシングルのプロ機である所有感は満点以上。入手すると使い慣れたNikkor24-120mmを装着して、さっそく鎌倉スナップに出かけてみた。
 さすがプロ機と唸る部分は随所で感じられた。だが、半日歩き回ったあとの一番の感想は、「重い」だった。肩はこるし首周りには痛みが走るしと、この日以来の出番は殆どなくなり、早くも防湿庫の常連となってしまう。

 やはり基本は軽さとコンパクト。これからのデジカメは気軽に携帯できることが大前提だし、尚且つプロユーザーをも満足させる撮影能力も備える必要があると思う。そしてSNSとの連携を今以上に考慮した機能も忘れてはならない。分かりやすく表現すれば、ディスコンとなったNikon1程のボディーに、Z7レベルの能力すべてを搭載するスーパーミラーレスだ。ただ、これだけ小さなボディーとなれば、Zマウントでもオーバーサイズになるはず。レンズ設計も0からのスタートとなれば、今のニコンの体力では厳しいかもしれない。しかしこのくらいの技術革新を目標としなければ、現況打開はまず不可能だろう。

 3月10日。ニコンが“最強のZ”というべき<Z9>の開発を発表した。
 詳細はまだ発表されていないが、今年末までには製品として発売開始するという。
 縦グリ、8K、新センサー、ニコン最強のフルサイズミラーレス等々のキャッチが飛び交っていて、何とD6を上回る総合性能というから、恐らく超絶なスペックになるに違いない。
 しかしどうだろう、、、
 これはこれで素晴らしい製品に違いないが、一部のプロやハイアマが喜ぶだけの商品を売り出したからって、何がどう変わるかである。多くの人たちが手を伸ばしたくなる商品と、それを使った新たな写真の楽しみも同時に提供していかなければ、抜本対策とはいえないのではないか。

CELSIUS W520 カスタム

画像加工用のPC「富士通 CELSIUS W520」。
年に一度はケースを開けて丹念に埃の除去を行っている。このPCはカメラ機材と共に、私の写道楽を支える大事な相棒なので、とても大切にしている。かれこれ20年、これまでに画像用のディスクトップPCは、とっかえひっかえ使ってきたが、このW520が最も安定感のある動きを見せ、作業の効率はすこぶる上々だ。
昨年。高い動作環境を求めるLuminar3を導入した関係で、CPUをそれまでのIntel・I3からI5へとバージョンアップ。グラフィックボードもCELSIUSのメーカーオプションリストを参考に「NVIDIA Quadro K600」へと交換したことが、より一層安定感を向上させる決定的な要因となったようだ。
そして今年はさらに手を加えた。メモリの増設である。気に入っている機械だからこそ、更にパワーアップしたくなるのは人情である。
現況でもメモリの搭載量は8GBあって、具体的な問題はまったく出てこなかったが、“Photoshop使い”のサイトを見まわすと、安定した作業を求めれば、メモリは16GB以上積んだ方がいいとの記事が目立っていた。W520は最大で32GBまで増設可なので、とりあえず16GBへと増やすことにした。
メーカーはこれまで使っていたのがサムスンなので、相性を考慮して同じメーカーを選んだ。今度は豪華に4GBの4枚刺しである。本格的にPCを扱うようになったのはWindows98が出たころなので、すでに20年以上のPC歴があるが、メモリを16GBまで積んだのは今回が初めて。どのようなパフォーマンスを見せてくれるか期待は膨らんだ。
ところが、どうせやるならもう少々といつもの悪い癖が出てきて、使い始めて1年しかたっていないCPU(I5)を、この際だからと純正オプションリストにあった「Xeon E3-1275 V2」に交換したのだ。このXeon、発売は2012年と古いが、まだディスコンされていない現役CPUというところが惹かれるポイントだった。Xeonはもともとサーバーマシン用に設計されたもので、一般的にハイパワーなCPUを奢るといえば殆どI7になる。しかしW520はもともとサーバーマシンだから、それ用のCPUは相性がいいはずだし、オプションにもなっている安心感から無性に試したくなったのだ。
今回もヤフオクで探してみたところ、7,500円で良さそうなものが出ていたので、即ゲット。品物が到着すると、何はともあれ即メモリ&CPUの交換作業に入った。

主観での説明ではいまいち伝わらないと思うので、サムスンのSSD管理ソフトである「SAMSUNG MAGICIAN」を使い、デバイスのベンチマークを測定してみた。

Samsung SSD 850EVO 250GBシーケンシャル(MB/s)ランダム(IOPS)
<2.3TB書き込み済み>読み出し書き込み読み出し書き込み
I5 2320+8GB232227485737344677
Xeon E3-1275 V2+8GB350432477714861767
Xeon E3-1275 V2+16GB366134958447264697

この結果を見る限り、CPUの性能差は歴然である。
オリジナルのI3の時はデータを取っていなかったので何ともコメントし難いが、I5とXeonの差は予想していたよりも大きかった。
実際にPhotoshopの起動は速くなったし、プラグインであるLuminar3を使っての変換時間は確実に短縮された。
これだけで現像~レタッチの作業は快適になり、それをやりたいがために写真を撮りに行くという、本末転倒なこの環境が実に楽しいのだ。