腎嚢胞・体調不良

原因の分からない体調不良が続いている。
2カ月ほど前から疲れがすっきりと取れなくなり、特に起床直後の気怠さと膝回りの筋肉痛は気になるところ。
ベッドから立ち上がる際はそれほどでもないが、着替えようと洋服ダンスの前でしゃがみ込むと、膝周りの筋肉に痛みが走る。リチャードと散歩へ出かける頃には治まってしまうが、老化も含めて何某かの変化が体内に起こっていることは間違いない。
そう、5月には久々に風邪をひいた。ここ数年体調は良好で、女房がインフルエンザに罹っても移らなかったのに、ある日喉に違和感を覚えたので、大きく口を開いて観察すると、喉チンコ周りが真っ赤。おまけに熱も出てきた。幸いなことに、女房が医者から処方された解熱鎮痛剤の「ポンタール」を二日分ほど残していたので、それを服用。
三日後には殆ど回復できたが、ひきはじめの経緯からして、何ともしっくりこない。

そして2週間前。朝、起床するとやけに怠くて、若干寒気もする。
<また風邪か?!>
それと左肩に張りを感じたので、何気に首に手を添えると、
<腫れてる…>
首の左側のリンパ節が大きく腫れ上がり、押すと痛い。念のために熱を測ったら37.1℃。どうりで怠いわけだ。
これまでに歯を痛めて顎にグリグリができたことはあるが、今回の腫れ方はその比でない。
尋常でないものを感じ、さっそく耳鼻咽喉科を訪ねてみた。スカイゲートタワーに入っている「もろほし耳鼻咽喉科」だ。

「けっこう腫れは大きいですね。5センチ位あるかな」

メジャーを持った女医さんがグリグリを触診している。それにしても耳鼻咽喉科は女医さんが多い。吉祥寺の小野耳鼻咽喉科然り、北口のてらむら耳鼻咽喉科然りだ。

「鼻や喉を詳しく診ましょうね。はい、これは麻酔です」

鼻の中のいきなりスプレーが発射されると、間を置かずに湾曲した細いファイバースコープのようなものを鼻腔奥深くまで差し込まれた。

「これが映像です。見ててくださいね」

少々強引な操作だったが、映りは実に鮮明である。

「喉まわりはけっこう赤くなってますね」

初めて見る映像なので判断がつかないが、先生がそう言っているのだからそうなのだろう。

「風邪に罹ってリンパ節が腫れていると思いますが、念のために血液検査をやりましょう。三日後には結果が出ますので、予約を入れといてください」

段々と話が大きくなっていくが、喉まわりがそれほど赤かったとは意外だ。
風邪をひくプロセスには人それぞれの特徴がある。私の場合、先ず喉が唾を飲み込めないほど痛くなり、同時に熱が出る。ぐったりとした容体は2日間ほど続き、その後徐々に快方へと向かうが、必ず後半から咳が出始め、長いときは2~3週間も続いてしまう。
と、こんな流れが私の風邪パターンなのに、今回はまるで異なる症状にも拘らず、“風邪らしい”とのことなのだ。
喉は痛くなく、咳も出ず。しかし首脇の腫れと微熱で、これも風邪だという。

三日後の夕方、再び病院へ行くと、すぐに説明が行われた。
リンパ節の腫れに対して最も危惧された、白血球、赤血球、血小板にはどれにも異常がなかったが、なんとグリグリには関係ないと思われる 、肝機能障害の疑いが出てきたのだ。

「紹介状を書きますので、お近くの内科で再検査を行ってください」

思ってもみなかった方向へ進みつつある。
ここ数カ月、やや晩酌の量が増えていたことは確かである。アルコールによる急性症状ならいいが、ウィルスによる肝炎や、肝硬変、癌だったらえらいことだ。
楽観視していた今回の一件だが、“紹介状”の一言でまさに急展開。宛先は「武蔵野陽和会病院」にしてもらった。年一度の健康診断はここで行っているので、診断の際には何かと都合が良いはずだ。

7月5日(木)。8時過ぎには受付を済ませ、内科ドアの真ん前に陣取った。この時間帯でも陽和会の待合室は6割以上の席が埋まっている。
そして待つこと30分。

「木代さ~ん、3番へお入りください」

診察室に入ると、マスクをした小宮郁子先生が待ち受けた。紹介状に目をやりながら、色々と質問をしてくる。
そして触診が始まった。

「まだ腫れてますね」
「徐々には小さくなってますが…」
「首以外にあります?」
「ないと思います」

首の次は肩回りを探り始めた。

「股にはどうですか?」
「ないです」
「お酒は飲みます?」
「晩酌でウィスキーのロックを3~4杯ほど…」
「ちょっと飲み過ぎかな~」

紹介状に同封された血液検査の内容を見れば、AST:76、ALT:57、CRP:0.38と何れも高い値なので、再度の血液検査と、上腹部超音波検査の必要性を告げられ、次回の来院予約を取った。血液採取は先回からちょうど一週間経っている。
超音波検査は7月9日(月)に行い、翌日10日(火)には総合結果が出た。
問題だった数値は、AST:26、ALT:32、CRP:0.05と何れも正常値へ戻っていたが、今度はγーGDPが93と高くなっている。

「恐らくγーGDPも下がっていくでしょう。何某かのウィルスが影響してリンパ節が腫れれば、肝臓はそれに反応して数値が上がりますので、腫れが引いて行けば数値も下がります。それと超音波の画像を見ても肝臓は形も良いし問題は見受けられません。但、左の腎臓がちょっと気になりました」

やっぱり、、、
以前、健康診断で左腎臓の大きな石と嚢胞を指摘され、同じく陽和会で精密検査を行ったことがあるのだ。

「石はさておいても、嚢胞が大きくて、その嚢胞の中にまた嚢胞があるようです」

当時のカルテによれば、陽和会での精密検査は11年前。定期的に検査を受けた方が良いと言われたのに、それから一度も診てもらっていない。

「にしくぼ診療所で定期的に健康診断をなさっているようなので、次回から超音波検査をプラスしてください。やはり1年に一度は経緯を診た方がいいですね」

今回の腫れもの騒ぎは、回って回って最終的には腎臓に落ち着いた。
大事に至らなかったものの、歳相応の健康チェックは必須という戒めかもしれない。
腫れも殆ど引いたが、体力感を含めてスッキリしたとは言い難く、加齢のせいにするにも初のことなので、良く分からないのが正直なところ。
10月が来れば満64歳。体、労わらなきゃ。

久々に風邪をひいた

喉が痛い。久しぶりに風邪をひいたようだ。
昨日(5/4)の夕方から急に痛み出した喉だが、一夜明けたら症状は悪化し、体もだるくなってきた。
熱は36.8度とそれほどでもないが、典型的な風邪のひきはじめに間違いはない。
アレルケアを愛飲するようになってから、嘘のように風邪とは無縁になっていたが、恐らくここにきて疲労が溜まって抵抗力が落ち、その隙にウィルスが侵入したのだろう。

「薬あるよ」

朝から何度もうがいをしていると、見るに見かねたか、女房が薬袋を差し出した。

「ありがとう。でもこれ古くない?」
「2月にもらったんだよ」

そうか。女房がインフルエンザに罹ったのは2月だった。
これはインフルエンザの検査結果がでる前に処方された薬なのだ。インフルエンザは症状が出てからある一定の時間をおかないと、罹患しているかどうかの判断が難しいらしい。

まず袋から出てきた白いカプセルは、裏面に“ポンタール”と記してある。
これはナイス。風邪の諸症状や発熱に対して、これほど効能のある鎮痛・消炎・解熱剤は他にない。特に市販の風邪薬に頼っている人がこれを一度でも服用したなら、「やっぱり医者の薬は違うな~」と感心する筈だ。
但、私の場合、一度でも風邪をひくと、気管支が弱い故にどうしても咳が残ってしまい、今回も怠さは徐々に楽になっていったが、咳は一向に治る気配がない。
実は先日、引き出しの整理をした際に、定番の気管支拡張剤である“フスコデ”を見つけたが、処方から2年以上経過していたので、思い切って破棄した。この薬、喘息の咳には効果が薄いが、風邪が原因となる咳だったら実によく効く。
そしてポンタールと合わせ入っていたのが“セフジトレン”。定番の抗生物質で、だいたいポンタールと共に処方される。
用法は朝昼晩、ポンタール250mg×2とセフジトレン100mg×1を水などで服用する。

桜の下

桜が散り始めると春本番がやってくる。本来ならば、爽やかな季節の到来なのだろうが、残念ながら今シーズンより花粉症のデビューを果たしたようで、就寝時は鼻づまりで寝苦しく、起きたら起きたで目が痒くなり、何気に一度でも掻いてしまえば、我慢の限界を超える痒みに襲われる。これが2ヶ月も続いているのだから、うんざりこの上ない。
女房からは常々「病院に行ったら」と言われるが、1年の4分の1を投薬による副作用に怯えながら暮らすのもどうかと思い、鼻づまりにはノンステロイドの点鼻薬、目の痒みにはそれ用の点眼薬で何とか耐え忍んでいる。
まあ、新緑が眩しく感じる頃にはおさまってくるだろうから、もう少しの辛抱だ。

「西久保公園の桜、もう散り出してるね」

うちの娘が小さい頃、額に汗して自転車の練習をした、玉川上水沿いの公園である。
被写体として桜にはそれほど興味を惹かれないが、今年は開花後に雨や強風もなかったので、例年以上に豊かな咲きっぷりを見せている。

「そうか。じゃ、ちょっと行ってくるかな」
「りーちゃんいいね、またお散歩だね」

とりあえず記録だけでも残しておこうと、V2を片手にリチャードを連れ出した。
歩き出して数分もしないうちに背中が汗ばみ、たまらずウィンドブレーカーを脱いで腰へ巻く。春の陽気が嬉しいのだろうか、リードを引っ張るリチャードの下肢に力が漲っている。
公園に着くとまだ春休みとあって、大勢の子供たちで賑わっていた。
グランドを横切り、南側の出口へ向かって行くと、

「さわっていいですか」

小学校下級生だろうか、二人の女の子が近づいてきた。

「噛まない?」
「大丈夫だよ」

少女が恐々と差し伸べた指先をリチャードがぺろッと舐めた。

「わっ」

犬に慣れてないようだ。真面目にびっくりしている。
その仕草にビビリ―のリチャードが後ずさり。
しかしそうしているうちに、リチャードも次第に女の子達に慣れてきたようで、しきりにしっぽを振りだした。
何のことない日常のワンシーンだが、青空と満開の桜の下では、なんだかとても眩しく感じられるのだ。